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魔王様と16人のヨメ物語  作者: 九重七六八
激闘モード
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エトランジェのフィアンセ その2

あのランジェに天界のフィアンセが・・・それもかなりの美少年。へん、でも彼女は俺のもんだからね~と思う土緒夏ことイレギュラーの魔王だったが…

 だが、リィの話は全く違った。あの生意気ジークの奴、とんだDV野郎で、気に入らないことがあるとランジェを殴るらしい。付き合っていた当時、よくケガをしたランジェから聞かされたそうで、リィも憤慨して一度そのDVフィアンセをとっちめてやろうと思ったが、あのランジェすら暴力で屈服させる男だ。覚醒前のリィでは、それこそ逆にぼこぼこにされていただろう。


「ランジェのキリン族は天界でも奴のクレルモン家の家来筋らしくて、縁談を断れなかったらしい。一応、ランジェは魔王監視団に入ったのでしばらく奴の目から逃れていたらしいが」


「なるほどね」


俺はリィの話で合点した。あの強気で実際に途方もなく強いランジェですら、屈服されるのだから、奴の強さは半端じゃない。だが、俺は許せない。


「男たるもの、どんな状況でも女を殴るなんて最低だ!俺がランジェを守る!」


「はあ~」


リィがため息をついた。


「だから、言いたくはなかったのだ。私の旦那様は無謀にも奴にケンカを挑みかねないからなあ」


「殿下、いざとなれば、わらわたちが加勢します。殿下は殿下の好きなように行動していいのです」


そうファナがフォローしてくれた。そうだ、ランジェも側室として覚醒したから、戦闘力は依然とは比べ物にならないはずだ。あんなDV野郎にいつまでも服従するはずがない。


俺は迷わず、部屋を出た。(みんなには自分の部屋に戻るとは言ったが)

目的地はランジェの部屋だ。


トントン…と部屋をノックする。侍女がドアを開けると俺の顔を見て慌てて、かしこまった。デビルパレス内の後宮、第2側室ランジェの部屋だ。部屋と言っても中は広大な敷地が広がり、森や池まである。ドアを開けると別世界とはこのことだ。ランジェはその敷地内の大きな館にいるという。俺は案内されてランジェの寝室に行った。予想通り、ランジェの奴、枕に顔を埋めて座っている。ぶるぶる震えている。


「ランジェ、心配するな」


俺はおもむろにそう言った。ランジェは俺が来たこと自体が意外だったらしく、可愛い大きな目をきょとんと俺に向けた。


「あんな奴、俺がぶっ飛ばしてやるからな」


「ぷっ…くく…」


急にランジェが笑いをこらえだした。


「おい、何笑ってんだ?俺がお前を守ってやる…ていったんだぜ?」


「くく…は…っはははは…」


ランジェが笑い転げる。これでは何だか俺がかっこ悪い。


(普通、魔王様~って、抱きついてくるって…)


と勝手なストーリーを描く俺はやはり考えが浅かった。一人仕切り笑った後、ランジェは、


「守ってくれるのはありがたいアルが、ただの人間のお前とジークフリートでは話にならないアル。同盟の手前、殺されはしないだろうが、かなりのケガは覚悟の上だろうアルな」


「えっ?」


そこまでは考えてなかった。確かにあの小僧とけんかになれば、ただの人間の俺は軽く死ぬに違いない。


「死なずに済む方法を知らなくもないアル…」


ランジェが急に顔を赤らめて語尾が小さくなる。枕に顔をうずめて上目づかいで俺を見る。


(く~っ…これが可愛い。ランジェの奴、側室になってから妙に男心の萌えをくすぐることがうまくなったようだ)


「ランジェ、それを教えてくれ」


「それは…その…なんだアル。以前、人間界でお預けになったあれアル…」


小さな声でランジェが言う。なんだか聞き取れない。


「よく聞こえない。俺は精一杯がんばるから、教えてくれ!頼む!」


「だから…私を…そのアル…」


「そのってなんだ?ランジェ、はっきり言え」


ランジェは思い切ったように俺に抱きついてきた。


「だから、私を抱けって言ったアル。この鈍感魔王!」


(そうか…そうだった。側室の力は魔王の愛で決まるのだった。ランジェとはキスまでだったから、俺が抱いてやれば…ランジェの力はさらにアップする)


俺は任務を遂行することにしたが、


(待てよ?ランジェが強くなったところで、俺には何のメリットもないのだが…?)


そう思ったが、悩ましげに体をくねらすランジェに俺の理性は吹き飛んだ!


「ランジェ~」


「あん、慌てないアル。慌てなくても…ランジェは逃げないアル…」


そういうと一枚、一枚ゆっくりと脱ぐランジェ。リィやファナのように男を悩殺する肢体を持たないランジェであるが、こういうしぐさでそれを補うとはなかなか自分を生かす術を知っているではないか。


その後は、あれよ、あれよという間にランジェと…。


だが、この出来事が後で俺の命を救うことになるのだが。


 

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