表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王様と16人のヨメ物語  作者: 九重七六八
胎動モード
69/139

ファナの生い立ち

 ドミトル伯討伐が終わり、一時の平和な時が戻ってきた。魔界に行くまであと1か月。明日が1学期終業式で、夏休みへと続く。夏休み終了時には魔界へ行って魔王としての暮らしが始まる。そんなことを考えながら、ベッドで転がっていると猫の姿をしたファナがジャンプしてベッドに乗ってきた。同時にホントの姿に変わる。一糸まとわない姿だ。


「ねえ、殿下…」


「ファ…ファナ…いつも言ってるだろう!お前は猫から変わるとスッポンポンだから、服に着替えてから姿を現せって!」


「殿下、承知していますが、ファナは戦闘用のドレスしか持っていないのです。ブラと下着だけでは、この前、殿下の鼻血が止まらなくなったので、今日は刺激しまいと…」


「バカ!刺激が倍増したわ!」


 ファナは以前は前側室として敵として現れたが、今は俺の側室になっている魔界の娘だ。前側室とはいえ、前魔王は手を付けていなかったらしく、おかげで自分がおいしく戴いたわけだが、ファナは魔界年齢ではリィよりも少しだけ年上らしい。


だが、見た目はリィより幼く見える。カテルやアレクサンドラよりも年下ということだが、当然年齢は自分よりはるかに(500歳以上も)年上だ。人間年齢だとファナは21ぐらいという話だが、同年齢と言ってもおかしくはない。戦闘力では前側室軍のリーダーを務めるだけあって、かなりのものでリィと遜色なく、性格もキツイ。


だが、自分の前では常にデレデレで病的なくらいである。ここがツンデレの立松寺やリィとは違うところだが、公的な顔と私的な顔がこうも違うのはこれで魅力ではあるが、デレデレしすぎのサービス過剰で若干、俺は苦手である。


やはり、女たるもの見えそうで見えないのがいい。リィの爆乳もパツンパツンの制服も下着が見えそうで見えないのがいいのだ。立松寺に至っては清楚そのものでエロさが0であるが、それだからこそ脱がせがいがあるのだ。


だが、スッポンポンとはいえ、今日のファナはいつもと違っている。確かに一糸まとわないが後ろを向いていて胸を両手で隠している。この姿が妙にそそられる。俺が改めて目を見張るのをそっと振り向くファナの視線は下から上へ伺うような感じで、これもまっすぐ見つめてくるいつものファナらしくない感じである。


「殿下、ファナは私服を持っていないのです。ねえ、殿下、買って!」


「買ってって…」


確かにファナは自分が飼っているから(猫として)、飼い主として服くらい買ってやらないと…とは思ったが、買うということはファナと出かけるということだ。


「秋に教えてもらったの。人間界の愛し合う男女はデートなるものをして、女は男に欲しいものを買ってもらうのだと。私も殿下にデートをして欲しいの。ねえ、ファナとデートしてくれません」


「いや、秋のって、お前、秋の前で正体ばらしたんじゃ」


「ファナが猫の時に秋の部屋へ行ったら、秋が猫のファナに教えてくれた」


「ファナも雌なら、デートをした時には雄猫に貢がせるのよ」


妹の秋が猫のファナに言ったらしい。秋は冗談で言っていたらしいが、猫の正体であるファナとしては、興味津々で話した内容を心に書き留めた。


「殿下、明後日の10時に、駅前の花時計のところで待っているから」


そういうとファナはまた猫になってベッドから飛び降りた。


(しょうがない…ファナも可愛がってやらないといけないし、服くらい買ってやるぜ)


俺は通帳の残高を思い出しながら、


「おい、家に一緒にいるのだから、一緒に行けばいいんじゃ」


と言ったが、ファナは


「殿下、秋が言っていた。デートは待ち合わせをするところから勝負だそうよ」


そう言うと「にゃあ…」と言って姿を消した。それから、どこへ行ったのか明後日までファナの姿を見ることはなかった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ