カミラちゃんの悪巧み その2
カミラは去っていく2人の後姿を見ながら、
(みくにちゃんの憧れの人をいただいたら、あの男の子もいただいちゃおう。みくにちゃんたら、あの
男の子が自分に気があるなんて全然気づいていないようだし)
そして、いつもの口癖をつぶやいた。
友達の物は私のモノ 私の物は私のモノ…
(くくく…)
カミラはメモを取り出すとサラサラと書き出した。
夏先輩へ
私、大変な秘密を知っちゃいました。
至急お話ししたいので、10時30分の休憩時間に体育館倉庫に来てください。
雪村美国
PS:誰にも知らせちゃだめだよ。先輩、一人で来てくださいね。
カミラは土緒夏のクラスに忍び込んで、彼の机にそのメモを入れた。ご丁寧に1時間目の現国の教科書に挟んでおいたのだ。
三輪桃花先生の現国の授業。俺は教科書を開く。ぱさっと小さな紙が落ちた。小さく折ってあった紙。
(えっ?なんだ)
何か分からないが、後ろの立松寺や横のリィに見つからないように紙を開く。いや、見つからないよう…というのが後ろめたいが、最近の自分の顔には完全に女難の相が出ている全然関係なくても立松寺やリィに勘ぐられる愚は避けたい。
メモを開くと自分の用心深さを褒めてやりたい気持ちになった。これが立松寺に見つかったら…完全に殺される!いや、美国ちゃんとは何でもないのだが、前回あった時に少々誤解されたので、今回も変な誤解を招きかけない。だが、無視するわけにはいかないだろう。「大変な秘密」というのが気になったのだ。あの子のことだから、大した秘密でない可能性が十分予想されたが、ここはやはり一人で行くべきだろう。決して、普通の女の子とちょっと付き合ってみたい…などと思ったわけではない。いや、少しだけそういう気持ちはあったかな?なにしろ、自分の周りにいる女の子はみんな強烈な娘ばかりなのだ。
だが、邪な気持ちは相応なる報いを受ける。
体育館裏のひっそりとした倉庫には、変な格好をした女の子がいた。
「美国ちゃん?どこにいる?」
体育倉庫は古いが中は結構広い。中には跳び箱やマット、ハードルなどの体育器具が所狭しと置かれている。中は薄暗い。
「ふっふふ…。あなたがみくにちゃんの愛しの彼氏。そして魔王様。全然、そんな力がありそうには見えないけど」
「君は?」
「私はカミラ…カミラ・ラ・ツエッペリよ」
俺は嫌な予感がした。カミラと名乗る少女は色白の整った顔で口からちょっとのぞく牙や背中でこちょこちょ動く小さな翼。
(この娘、明らかに魔界関係者だ)
リィやファナには翼はないが、ちょっとのぞく八重歯は同じだ。
「美国ちゃんは?」
「みくにちゃんは来ないわ。だって、用があるのはカミラですもの」
カミラちゃんの目が赤みを帯びる。あのドミトル伯爵の魅了と同じだ。俺はやばい!と思ったが、ふにゃふにゃと力が抜けていくしかなかった。
「フフフ…。魔王様の血はどんな味がするのかな?」
明らかに中学1年生としか見えないカミラちゃんが俺を抱きとめ、体育倉庫のマットに横たえて馬乗りになった。表情はどこか色っぽい。だが、見た目は中学生。いつもアダルトなリィやファナに囲まれている俺からすると、こんなガキは全然好みではない。だが、カミラちゃんは、俺の上半身を脱がせ、自分も下着1枚になって肌を合わせてくる。さらに舌で俺の胸を舐めてきた。ペロッと唇を舐めるカミラちゃん。
(くう~…俺は、俺は…)