許嫁と復讐と…その3
もともと魔王が側室候補者を覚醒するには、キスだけでよかったのに、それ以上進む(愛されると)強くなるという設定のせいで、女の子自ら望むケースが多くて、魔王たちはモテモテなのですが。肝心の本命(夏妃と華子)は、全然進んでないのですが、いいのでしょうか?魔王様方。
病院に運転手の須藤がいつものメルセデスを滑り込ませたのが、午後6時。まだ、日は落ちてなく、診察で訪れる患者でごった返す中を隆介は救急車で運ばれた三ツ矢加奈子を探した。ほどなく、緊急治療室から担架で運ばれる加奈子を見つける。付き添いをしていた、三輪桃花先生が隆介を見つけた。
「隆介くん…大丈夫よ。一命は取り留めたわ」
「そ、そうか…」
橘隆介はほっとした。とりあえず、死ななくてよかった。だが、桃花先生の言葉は、その安堵感を打ち消した。
「加奈子さんの序列は13位。ウェポンは「スカルの杖」あなたの思った通りの情報収集系の魔法の杖ね。カオスとの戦争では派手じゃないけれど計り知れない活躍を期待できるわね」
「先生…」
「隆介くん。ここまで話している私がただの人間ではないことくらい分かるわよね」
「人間界では三輪桃花、乙女林高等学校の国語教師、23歳、独身。魔界では、大貴族バール公爵家の次女、名前はエセル・バール」
「お見事ね」
そういうと、エセルは隆介の手を取った。加奈子は、まだ意識が戻らないから個室に移されたものの、容態は落ち着いている。心配することはないだろう。隆介を連れて入ったのはVIP患者専用のスイートルーム。通常、カギがかかって入れないが、なぜか開いて中に入る。そしてカギを閉めた。
大きなベッドを背にして、エセルはくすり…と笑った。
「私がバール家の令嬢って、ここで分かったんだ」
そう言うとスカートをそっと上げて、パンティを見せた。あの大人のベージュの奴だ。そこの片隅には複雑な模様が描かれていた。
「ああ」
隆介はリィからバール家のことを聞いていた。姉のイセルは前魔王の側室で、カオスとの戦いで英雄だったこと。そして、勝利と引き換えのために亡くなったこと…なぜ、その妹が人間界に潜入したのかも察しがついた。
「あなたの思っている通りだわ」
隆介は言葉が出ない。エセルはベッドに腰かけて、片膝を上げた。先ほどのエッチなパンティがちらりと見える。
「私は姉の仇が取りたいの。カオスの奴らに復讐をしたいの。そのためには魔王様の側室にならねば無理。だから、私と…私と…」
大胆な行動をしているエセルの声がだんだん小さくなる。
「私と…して」
ごくり…と隆介は唾をのみ込んだ。
(や、ちょっと、今日は厳しいよな。さっき、杏子としたばかりだし…)
この豊満な肉体を目にしてこれはかなりエネルギーが消費しそうだと本能で理解した。
「せ、先生…いや、エセルさん。どうして俺なんです?」
「確かに魔王様なら誰でもいいはず。だけど…」
エセルは立ち上がり、隆介をそっとその豊満な胸に埋めた。そして耳元で、
「あなたが、私の好みだから…。抱かれるなら好みの男の子に…してほしい」
そっと隆介を抱えたまま、ベッドに倒れ込んだ。隆介は夏妃に悪いと思いつつも、2連戦に挑むことになった。
側室序列9位、エセル・バールの誕生である。




