幕間 リィのお妃講座 その2
俺は急にくしゃみをした。猫じゃらしで猫と遊んでいる妹の秋を眺めつつ、最近、魔界の女はもう十分だと思い始めた。あいつらの相手は疲れる。だが、彼女の立松寺が黙認しているのも、相手が魔界人であるからといってもよい。
(もし、俺に人間出身の側室ができたら…)
さすがに立松寺華子も嫉妬の炎を燃えたぎらすはず…それでなくとも怖いのに…
だが、リィはファナが側室に加わったと知った時に、この敵だった女に怒り狂いつつも、その実力は認めていたので、最後はぶつぶつ言いつつも認めた。ファナが意外にも殊勝な態度でリィのプライドを守ったこともあったが。だが、リィは小さな声で俺に
「だが、魔界や天界の出身の女はなるべくやめておけ…」
と言うのだった。何故?と問い返す俺に
「知っているように側室は、戦場では全軍の先頭となって戦う。時には戦死することもある。その時、人間界出身者は魔界に住む魂が壊れるだけで、そのまま人間界に生まれ変われる。無論、記憶はすべて失ってしまうが、それでも生きている。だが、魔界や天界人は死ねばそれで永遠に失われるのだ」
俺は立松寺一筋とは思っていたが、それでもリィやファナのことも愛しく思っていた。そんな女の子たちがいなくなったら…。リィが言いたいことはそういう悲しい思いを俺にさせたくないからだろう。そう思うと急にリィが愛しくなって、弁解に出向いたリィのマンションでまたしても彼女を押し倒してしまったのだが…
リィのエロい肢体を思い出しつつ、人間の女…とつぶやいて、この前、送っていった少女の顔を思い出した。
(雪村美国っていったけ…あの子)
「いや、あれはないない…」
いつぞや吐いたセリフを俺はつぶやいた。いくらなんでもあんなドジっぽい娘が側室なんて勤まるはずがない。リィやファナならともかく、あんな娘が魔界軍を率いて戦うなんて無理がある。いや、そんな指揮官を戴く魔界軍兵士のおっさんたちが気の毒だ。
リィと夏妃の特訓は続いている。講義といってもただ単にガールズエロトークみたいになってしまったが、一応、実習をしている
「ねえ、リィ。これって何の実習」
実習と言っても棒状のアイスクリームを二人で編側に腰かけて食べているだけだ。だが、食べ方にリィはいちいち細かい注文を付けてくる。
「はい、御台様、根元から舐めあげて、先をツンツン。それからくわえるのです」
「くはえる?」
アイスを口に含んでいるから夏妃の声もおかしい。
「ほれで、ほんなほとでひひのはしら…」
アイスを口から放して、リィは顔を赤らめた。
「御台様、これをしてあげると私の魔王様はとっても喜ばれるのです」
(そんなものかしら…)
夏妃はくだらないと思いつつも、リィの言うとおりにアイスを食べた。アイスの次には冷えたキュウリが出てきた時には参ったが…




