経理ガールを口説け その2
10分後、
「ぷ…ぷっ…はっはは…」
杏子はこらえきれず笑い始めた。隆介は想像していた反応のひとつを見て、ため息をついた。
(そりゃそうだ。こんな話を信じる女の子がいるもんか)
隆介は笑っている杏子をじっと見つめている。だが、杏子は笑いながらも意外なことを口にした。
「はっはは…ご…ごめんなさい。笑うつもりじゃなかったけど、つい面白くて。その話、面白いじゃない」
「えっ?面白い」
「ええ。面白いし、興味深いわ。確かに荒唐無稽でバカげたウソ話みたいだけど…」
「みたいだけど…?」
杏子の目は真剣に隆介を見ている。
「あなたは冗談をいうような人じゃない。それに女の子をナンパするような軽い人でもない」
「そりゃ、どうも」
「ほめているのよ。もっと嬉しがりなさい」
「別にほめられるようなもんじゃない」
「そうね。あなたの正妻が夏妃さんなんて、どんな希望的な願望かしらとも思ったけど」
「悪かったな」
「いいわ。その話、本当なら乗ってあげる」
「本当か?」
「ええ。本当よ。側室って、一応、魔王であるあなたの愛人ってことよね。魔界の財務大臣か、後方司令官か何か知らないけれど、そんな地位をくれるなら私のポリシーに反するけれど、どうぞ、してくださいな」
そういって、杏子はおもむろにスカートのホックをはずした。パサッと落ちるスカート。才女らしい白のパンティがまぶしい。
「いや、いきなり、ここでってわけじゃ、それにとりあえずキスだけで…」
ドギマギする隆介に杏子は苦笑して、会長席のテーブルにそのままの格好で腰を下ろした。
「あなたって、女の子にはヘタレってうわさだけど、やっぱりヘタレね。まあ、わたしはその方が好きだけど。本当にキスだけでいいの?」
「ああ。覚醒するだけならそれで十分だ」
「私は十分じゃないわ。そんな力があるなら、十分能力を発揮したいじゃない。あなたにならいいのよ。これはビジネス…私には十分な見返りがあるわ」
そういって、隆介の顔を両手で挟んでそっと目を閉じた。杏子の体から光が発せられ、彼女の首筋に15の数字がはっきり浮かんだ。だが、光が収まっても唇は離れない。杏子は制服のリボンをそっと外し、シャツのボタンを上から一つずつ外した。
「こんなことするからって、私が経験豊富なんて思わないでね。初めてなんだから」
唇を放し、隆介の耳元でささやく。
「橘君は初めてじゃないんでしょ?優しくしてね」
流れでこうなってしまったとはいえ、隆介の方はもう童貞とはおさらばしていたので、慌てることはなかった。相手は夏妃だったら最高だったのだが、側室戦争で夏妃を救うために自分の側室になってくれた日下部めぐる、本名はメグル・インドラ・ハヌマーン。天界のエージェントの一人。
そのメグルと2週間前にこの部屋で同じように関係してしまったのだ。おかげでメグルも能力が上がり、序列7位として恥ずかしくない力を得たのだが、好色とは関係ない隆介にとっては、あまりうれしい出来事ではなかった。
だが、事を終えた時のメグルのうれしそうな顔を見ると非常に複雑ではあったが。最初は何だか分からないうちに終わったが、それから数回メグルとしてしまって隆介のテクニックのレベルも上がっている。
そんな複雑な感情をこの娘にも持つのか?と隆介は思ったが、手は杏子のブラを巧みに外し、その下のまだ異性に触られたことのない白い双丘に触れた。
「あん…魔王様…上手…」
杏子の声が生徒会室に響いた。