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魔王様と16人のヨメ物語  作者: 九重七六八
胎動モード
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幕間 男の秘密談義 その1 ~胎動モード~

「三ツ矢さん、これはどういうことだ!」


生徒会の会長席で机を叩いて生徒会長が叫んだ。机には本日、発売の週刊乙女林第13号が広げられている。表紙には、


学園アイドル土緒夏妃、3人の男と乱れた関係?


という見出しで、会長の隆介と副会長の元馬と剣道部主将の宗治とのトリプルデートの写真が大写しで掲載されていた。生徒たちの中では大評判で、たちまち売り切れで増刷希望が殺到しているらしい。


「あら、会長。事実を報道したまでです」

「事実と言ったって、この書きようでは夏妃が悪女みたいじゃないか!」


呼び出されて会長席の前に立っている三ツ矢加奈子は、クスッ…と笑った。この生徒会長は切れる男だが、女にはガードが甘い。特に夏妃が絡むとお馬鹿さんになる。会長とはいえ、年下の坊やに呼び出されるのは癪だが、ここは報道の自由を認めさせねばならない。


「夏妃さんが3人の男を天秤にかけているのは事実でしょう。この通り、デパートでは源くんとこんなに仲良く…」


ページをめくると元馬に試食品を食べさせている夏妃の姿や、公園のベンチで仲良く座っている写真が所狭しと掲載されている。さらに宗治のバイクに乗っている写真が続く。

思わず、見入ってしまう隆介の抗議の熱が下がっていくのを感じながら、加奈子は続ける。


「それに乙女林の売り切れの理由は、記事の内容だけじゃないんですよ。3つまた疑惑なんて夏妃さんくらいのモテキャラなら当然ですから。一番の売り切れの理由はこれ!」


そういって、ページをめくると夏妃の水着姿の写真が多数出てきた。そう自分とのデートで夏妃がモデルになってくれた時の写真だ。


「一体どうやって…」


カメラマンは自分が雇った人で信用のおける人物。そこから漏れたとなると…まさかと思うが、この女、ハッキングしたのか?三ツ矢加奈子にかかっては、デジタルデータにすることは情報持って行ってくださいという行為に等しい。モデル事務所のコンピューターに潜入して、画像データを入手するくらい簡単だろう。


「この夏妃さんの露わな姿を見ようと、それこそ男子生徒が2冊、3冊、中には10冊も買う人がいたから、500部なんてあっという間だったわ」


隆介は写真に写る夏妃の水着姿に見とれて固まってしまったが、気を取り直す。


「個人のプライバシーの侵害だ!即刻、写真データの破棄、雑誌の回収を要求する!」


「あらあ、生徒会長だけ息巻いても…他の生徒会メンバーの方はどう思っていらっしゃるの?剣道部主将の一柳くんなんて、掲載インタビューしたら、一言」


「夏妃は俺の女だ」


「ですって、生徒会長、可愛い幼馴染、盗られてしまうわよ」


「ふざけるな!」


「ふざけるも何も、生徒会長さんとしてはどう思っていらしゃるの?」


「夏妃は俺のモノだ!」


「ハイハイ、ご馳走様。せいぜい、がんばってね。私はこれから用事があるので、バイバイ。次のスクープの取材があるので」


勝手に出ていく三ツ矢加奈子だが、同時にドアが開いて源元馬と新堂ひかるが入ってきた。2人とも手に週刊乙女林が…ひかるちゃんに至っては10冊も抱えている。


「おい、元馬にひかるちゃん、それはどういうことだ!」


「いや、夏妃の水着姿が見たいとか、そういうんじゃなくて」


と元馬。


「ひかるはお姉様の美しい水着姿を永久保存するだけです!」


とひかるちゃん。まったく、反省の色がない、


「なあ、隆介。結局のところ、成り行きに任せるしかないんじゃないか?夏妃が誰を選ぼうとも決められた運命だ。だが、どんなになっても俺は夏妃をあきらめない。彼女の力になるんだ。お前もそうだろう?」


「まあ、そうだが…」


2人とも夏妃が一番ではあるが、状況は隆介にはメグルが側室としているし、元馬に至っては妹の満天に側室戦争で争ったアレクサンドラまでが側室になっている。これからの闘いのためとはいえ、夏妃には申し訳ないことになっている。


「それにあと2か月だっけ…」


そう2か月以内に残りの側室候補を見つけて、カオスとの戦いに備えることが次期魔王の2人に課せられたミッションでもあるのだ。


「俺が2人、隆介が1人、宗治先輩が、えっと、確かカテルさんが加わったから2人、夏妃にひかるちゃんだろ。夏にリィとファナの2人」


「残り8人か…」


「何だか、エロゲーのハーレムルートみたいだが、現実の主人公は苦労するなあ…」


2人の場合、夏妃が嫉妬深くないのでよいのだが、立松寺華子を正室に持つ、イレギュラーの魔王は、正室が思いのほか嫉妬深いのでこれ以上側室を持つのは気の毒だ。だからと言って、自分たちもこれ以上、女の子と関係を持つとわけが分からなくなってしまう。


「なあ、隆介、ぶっちゃけ聞くが、お前、メグルちゃんとはどこまで行った?」


隆介は、飲みかけていたペットボトルのお茶(今日は夏妃がいないので、自販機で買った佐藤園の渋いお茶だ)を噴出した。


「ど…どこまでって…」


隆介は思い出して顔が赤くなる。


「イケメンの生徒会長も意外と純情だな」


「バカヤロ…お前だって、満天ちゃんはともかく、アレクサンドラさんとは行くところまでは行ってるんだろ…」


「あ、あれは、なんというか、なんといえばいいのか…」


「宗治先輩はもちろんだろうなあ」


「あの先輩は完全にSキャラだからなあ」


「蝶子先輩もカテルさんも…」


2人は共通の画像を頭に思い描いた。2人が縛られて宗治に責められている姿。

2人とも思わず屈んでしまう。


(いや、いくら宗治先輩がSキャラ風でもそういう展開は失礼というものだ。それに蝶子先輩もカテルさんも考えによってはSキャラだから、意外に責められているのは宗治先輩の方だったりして…いや、暴虐の魔王がそんなわけないか)


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