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魔王様と16人のヨメ物語  作者: 九重七六八
胎動モード
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みくにちゃんの大冒険~胎動モード~

いよいよ、新章の胎動モードが始まりました。この章は人間界にいる側室候補の女の子を探すお話を中心としています。主人公の一人は覚醒モードと同じ、イレギュラーの魔王(土緒夏)ですが、もう一人は新ヒロインの雪村美国ゆきむらみくにちゃんです。

ドジッ娘キャラの美国ちゃんですが、大活躍?する予定です。

どうか、よろしくお読みくださいませ。

 私の名前は雪村美国ゆきむらみくに。乙女林高等学校1年生。成績は中の下。容姿普通、スタイルも普通(みんなはチビっていうけれど…145センチもあるのに)、胸はちょっと残念だけど、ぺったんこよりはマシ。


こういうものって大きい方がいいなんて、男の子のアニメや漫画だけの話。一部には貧乳の方がニーズがあるなんていうけれど、そんなニーズなんて私には理解できない。全然ないより、私ぐらいの方がいいに決まっている。確かにあまり取柄はないけれど、学校では「週刊乙女林」の新人記者として、鬼の三ツ矢編集長に怒られながら頑張っています。


 そんな私に訪れた一世一代の出来事…それは「恋」

そう「恋」なのです…私のようなどこにでもいるモブキャラが「恋」なんて笑っちゃうなんて言う人はいるけれど、私は真剣なんです。モブキャラだって主人公を好きになれば、一挙にレギュラーキャラに昇格なのです…。


えっ?誰を好きになったのですって?


決まってるじゃないですか…土緒夏どおなつ先輩です。夏先輩と言えば、双子のお姉さんの生徒会第1書記の夏妃なつひさんが有名だけど、私は有名じゃない弟さんの方が好きなんです。


生徒会と言えば、頭脳明晰、運動神経抜群でしかも御曹司の橘会長や熱血正義感の源副会長が女子の中では人気で、さらに3年生の一柳宗治先輩なんか大人の男性みたいで1年生の中ではファンが多いけれど、私は地味な…なんて先輩には失礼だけど土緒先輩が好きなんです…どうしたらいいかな?私みたいななんの取柄もないドジな女の子は先輩は嫌いかな?そんなことを考えるだけで、美国は夜も眠れません。


「えーッ…みくにって、ドーナッツ先輩が好きなの?」


親友の高木七海たかぎななみが大きな声を張り上げた。私は慌てて七海の口を抑えようとしたけれど、抑えたのは七海の額。そんなところ抑えたって、おしゃべりの七海の2言目は阻止できない。


「美国には無理だから、あきらめなって!」


「うーっ!無理なんて、決めつけないで!」


「だって、ドーナッツ先輩って、彼女がいるよ。確か、立松寺先輩。容姿端麗、スタイル抜群、頭脳明晰のお嬢様。誰が見たって完璧な彼女。それに立松寺先輩の他にもドーナッツ先輩の傍にはダイナマイトボディのリィ先輩とか、お人形さんみたいなロリ少女のエトランジェちゃんとか、目立つ女の子がいるから、美国なんて相手されないって!」


(そんなこと、最初から分かってます。どうせ私は容姿普通、スタイル幼児体型、いつも赤点スレスレでクリアするギリギリの頭、ドジばっかりで転んでばかり…)


そんなことを考えると涙が出てくる。でも、七海ちゃんがそっと頭を撫でてくれた。


「でも、美国も可愛いところはある。何事にも一生懸命なところ、友達想いなところ、バカ正直なところ…。頭がハネているところも可愛いぞ!」


ツンツンと七海ちゃんは私のハネている頭の毛を引っ張った。


「うーハネてるんじゃないよ!これはくせ毛なの!美国のチャームポイントなの!」


「そういうのをアホ毛っていうの。2次元大好き男子なら美国ちゃんはどストライクだよ」


確かに、学校の一部アニメおたくの男子たちには、秘かに雪村美国は人気であった。小さくて幼児体型で、でも胸は多少あって、高校生にあるまじきチビ。七海の言葉を借りるでもなく、ストライクである。だが、相手がオタクだけに、表立って行動しないから当の本人はまったく気づいていないのだが。


「ちょっと!1年生!私語をしている暇があったら取材よ!もうすぐ生徒会の記者会見が始まるわよ!七海さんは、生徒会室へ。美国ちゃんは…ドミトル先生のところへ行って、インタビューしてきて。今度、新任の先生特集をするから」


編集長の三ツ矢先輩が、原稿を書きながら命令する。視線は原稿にくぎ付けなのに、なぜか私たちの行動はお見通しなのだ。


「は、はい!」


私は慌てて部屋を出ていく。でも、メモを忘れてもう一度部屋に戻ったが、編集長の三ツ矢先輩は気づいていないようだった。


(いや、気づいていて無視したと思う。いつものことだからなあ…)


 私が入学早々、この週刊乙女林編集部に入部できたのは、三ツ矢先輩がなぜか私のことを気に入ってくれたからだ。週刊乙女林は数ある文芸系のサークルの中でも女子に絶大なる人気のサークルで簡単には入部できない。希望者は編集長の厳しい試験にパスしないと入部できないのだ。


(えっ?私が厳しい試験に合格したなんて信じられないって?)


人生いろいろあるんです。試験の結果はともかく、私は鬼の編集長から認められて今現在、週刊乙女林の記者として活躍してるんです!


「よし!今日も…今日こそは、スクープをものにして、編集長の期待に応えるぞ!」


私は取材メモをぎゅっと握って、職員室へ走った。



「ドミトル先生と言えば…」


原稿から離れて窓辺にたたずみ、後輩から入れてもらったブラックコーヒーをすすり、走っていく美国を眺めながら、三ツ矢加奈子は気になる情報を思い出した。


(ドミトル先生、吸血鬼説…まさかね…)


 今は初期段階の調査で記事にはできないレベルだが、新任教師ドミトル・ラ・ツエッペリには様々な疑惑があった。ものすごい美形ということもあって、女子生徒にいつも取り囲まれているのだが、実は謎も多くあった。さらに、最近、貧血で倒れる女子生徒が校内で頻発している。倒れた生徒の首筋には2つの噛み跡があるとかないとかという不確かな情報もあった。


なにより怪しいのは、貧血になった女生徒はそれまで、ドミトルの取り巻きでなかったのに倒れた後は、熱烈な親衛隊になっているということ。貧血で倒れた生徒は決まって背が高く、プロポーション抜群の美女であるということだ。胸はDカップ以上という報告もある。


(美国ちゃんに取材に行かせたけれど…彼女は、まあ、大丈夫ね。それにこの調査は彼女には無理。もし、本当に疑惑があるなら私自身が乗り出さないといけない事件ね。でも、今はそれどころじゃない…)


三ツ矢加奈子は、先ほどまで書き込んでいた原稿の見出しに目をやった。


「学園アイドル、土緒夏妃!ついに3人の男と乱れた関係に!」


「弟のドーナッツ君は爆乳娘に首ったけ!清楚な立松寺ちゃんは勝てるか?」


(今は生徒会から目が離せないわ…)


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