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魔王様と16人のヨメ物語  作者: 九重七六八
激闘モード
138/139

黒の夏妃 急

いよいよ、最後です。あとはエピローグで終了。

 連れてきた兵士は次々と撤退する。夏妃の解放による破壊で全滅するのを防ぐためだ。できるだけ遠くへと脱出していく。残ったのは魔王と側室たちのみ。(俺のハーレム小隊は残るのだが)たった20人で戦うのだ。


「町へは全員で突入します。人間界出身の側室、2魔王様は城へ突入します。橋頭堡として、イレギュラーの魔王様と美国ちゃん、妃殿下元帥にはこのポイントを死守していただきます」


「それでは、夏妃を倒した時に全員、あの世行きじゃないか?」


俺は杏子の作戦に口をはさんだ。無論、俺も男だ。女の子たちを犠牲にはできない。


「いや、イレギュラーの魔王様にはもう一つ、秘められた力がある。発動すれば、魔王様の近くにいる女子おなごは、破壊の災禍から逃れられる」


「ということは、爆発前に夏くんのところにたどり着ければ命は助かるということだな」


リィが地図上で支援ができるぎりぎりのラインを確かめる。


「少なくとも、あと30分以内に倒さねばカルタゴの町一つ吹き飛ぶだけでは済まされなくなる。猶予はないな」


出発前に橘隆介と源元馬は、それぞれ魔界、天界出身の側室の手を握って、別れを惜しんだ。


「アレクサンドラ…今までありがとう。君は生き残って、この魔界の平和を守ってやってくれ」


「元馬様…」


アレクサンドラは別れ難く元馬の手を離さない。


「私はカオスの王さえ倒せれば本望です。最後まで連れて行ってください」


「私も…会長と一緒に…」


隆介の方は一緒に行くと言い張るエセルとメグルを説得した。


「杏子さんや、加奈子さんは人間界戻るだけだが、君たちはそうじゃない。だから、残るべきだ。命を失ったら何も残らないのだよ。エセルは、お姉さんの仇を取って、バール家を継ぐ仕事があるでしょう。メグルちゃんも天界のために働く仕事がある。それに分かれても永遠じゃない。人間界にくればまた会える」


2人とも納得するしかなかった。


「カルマさん、行くのですか?」


俺は城へ突入する隊に加わるという物部カルマに尋ねた。彼女は現在、自分の側室になっている。(まだベッドは共にしていないが)


「はい。私も人間出身ですから、少しでも戦力になれます」


「でも、君は…」


と言いかけて止めた。たぶん、カルマはこの戦いで散る覚悟なのだろう。2魔王は愛する夏妃のために命をかけ、その魔王を愛する人間界出身の側室は、そのお供をする。カルマはこれには入らない。残って魔界の統治に力を貸すのが役目であろう。


でも、宗治が散った現在、やはり元婚約者としては複雑な気持ちなのだろう。この戦いで命を落とすということは、「リセット」と同じことなのだ。もしかしたら人間界で宗治と仲良く暮らす未来もあるかもしれない。


「カルマさん、もし、気が変わったら急いで俺の元へ帰ってきてください。少なくとも、この魔界を統治する20年は幸せにしてあげられます」


クスッとカルマは笑った。


「そうね…それもいいかもしれないけれど…私には…」


そう言って少し悲しい目をした。


(私には華子さんやリィさんたちとあなたの寵を争うなんてできないわ…)


そういって森羅万象を握りしめ、俺と最後の別れの口づけをした。嫉妬深い、正妻の立松寺もリィも何も言わなかった。彼女の思いを感じたのだろう。


 2魔王と側室たちが突入していく。カオス兵を次々になぎ倒す。俺は立松寺が繰り広げる札の舞と美国ちゃんのうさぎ精霊に守られ、時折、かいくぐってくるカオス兵をハーレム小隊の女子たちが寄ってたかって袋叩きをする光景を見ながら、その時を待った。


やがて城が光り、黒いオーラが城全体を包み込み、それが膨張していく。夏妃が討たれ、そのエネルギーの解放がされたのであろう。


「みんな手をつなげ!」


俺は大賢者オージンによって覚醒された最後の能力を使う。自分と手をつないだ人間(女子に限る)を守る最強の防御陣「ハーレム」の発動だ。右手に立松寺、ファナ、エセルさん…ハーレム小隊のロレックス嬢、ティソちゃん…というようにすぐ手をつなぐ。端っこのランジェと俺の左手をつなごうとした瞬間、大事なひとを忘れていたことに気付いた!


「リィ!リィがいない!」


俺は叫んだ。黒い爆発が次々と辺りを飲み込んでいく。その光景をバックにして赤い長い髪をなびかせてリィが駆けてくる。黒いオーラが彼女を飲み込む寸前、伸ばされた彼女の手を俺とランジェが握り、ハーレムが発動した。


みんな死ななくてハッピーエンドでこの物語は終わります。次回のエピローグ編でその後が明らかに。こんな拙い作品に付き合ってくださってありがとうございました。

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