カルタゴの戦い 後編 その6
他人のモノを自分のモノにする「書き換え」これは凶悪な能力だ。ちょっとというより、かなり鬼畜なカンジがしないでもない。
「美国ちゃん!今だ!」
俺は美国ちゃんに叫ぶ。
「飛び出せ!穴掘りウサギ!」
美国ちゃんが笛を吹いて合図をすると地面を掘り進んでいた黄色のウサギ精霊が地面へと飛び出した。そこはカルマさんの前。俺はすぐさま、カルマさんの足を掴んで穴へ引きずり落とす。飛び出した巨大な黄色のウサギ精霊は、両足を2,3度打ちつけるとその穴の入り口を体でふさぐ。そこへ千本の槍が突き刺さる。ウサギ精霊は消えるが、俺はカルマさんをお姫様だっこをしてぽっかり空いた空を見上げた。
「間一髪だったよ、美国ちゃん。よくやった…」
「う~っ…先輩に褒められてうれしいですけど…美国もお姫様抱っこして欲しいです~」
「はいはい…」
そう俺ことイレギュラーの魔王こと、土緒夏はカルマさんを救おうと、美国ちゃんに命じて、秘かにカルマさんの本陣まで地下トンネルを掘らせたのだ。実は自分の「強化」の力で美国ちゃんをパワーアップしたのだが、現れた新たな精霊は穴掘り名人の黄色の巨大ウサギ。瞬時に地下に穴を掘れるという微妙な能力であった。
(まあ、美国ちゃんとは2回目のキスしただけだから、こんなもんだが。一応、役に立ったから良しとしよう)
しかし、同じ「強化」でも、ランジェの方は凶悪だった。
(ランジェの奴、あんな攻撃ができるなんて…やっぱり、昨晩はちょっと過激すぎた?)
ランジェの奴、俺が「強化」の能力が覚醒したことを知って、昨晩、俺の陣に夜這いをかけてきやがったのだ。俺は思わず、ランジェのツルペタをモ○○ミして、その先端の小さな○○に吸い付いたり、舐○○り…ともう大変だったのだが、
「あ~ん…ランジェ…もうダメアル~」
と気絶してしまった割には強化された技は凶悪であった。
(おいおい…Hなことすればするほど強くなるって、どんなエロゲーだ?)
いずれにしても、美国ちゃんのおかげで、またしてもミッションコンプリートだ。えっ?ミッション?もちろん、カルマさんを救うミッションだ。
「これはどういうことアル。どうして敵を助けるアルか?」
穴を見下ろし、ランジェが俺を見つけて叫ぶ。キンキン声が穴に反射して耳が痛い。
「ランジェ、戦いは終わりだ。カルマさんは助ける」
「しかし、魔王。物部カルマは暴虐の魔王の側室アル。助けたところで意味はないアル。
ここでとどめを刺してやった方がその女のためアル」
「まあ、待て…」
俺は上に向かって叫ぶ。ひらひらとランジェの戦闘ドレスが風に舞っているのが分かるが、思いっきり下から見上げているので、ランジェのパンツがちらちらどころか、モロ見える。
「ランジェ、いくらなんでもクマさんはちょっと萎えるぞ。昨晩の純白レースのパンツの方が色っぽかったぞ」
かあ~っとランジェの顔が赤くなる。
「バ…バカ…こんな時になんてことを言うアルか!」
クスッ…と俺の腕の中のカルマさんが笑った。初めは九死に一生を得たことで、混乱して成り行きを見守るだけであったが、魔王とランジェの掛け合いに気を取り戻したのであった。
「夏くんは、お姉さんを助けてどうしたいのですか?」
カルマはそう言って、両腕を俺の首に絡ませてきた。そう、俺は正室である立松寺からある指令を受けてきたのだ。それは…宗治の側室である物部カルマとカテル・ディートリッヒをものにすること。いくら勝つためとはいえ、夫に愛人を増やすように指示するとは、よくできた嫁いうか、戦いに勝つために手段は選ばないというか…。
だが、すでに暴虐の魔王によって覚醒されているカルマさんを自分のものにすることはできない。普通はそうだが、実は大賢者オージンによって覚醒した俺の力は側室の武器に特殊能力を付与する「強化」だけではなかった。
「カルマさん、ごめん!まずは俺を信じて!」
そういってカルマさんを地面に降ろすと、彼女の戦闘ドレスの胸元をグイと引きちぎった。
「え?」
破れたところからカルマさんの美乳がポロリと顔を出す。
「きゃああ~」
思わず、叫び声を上げて真っ赤になるカルマさんに、
「ごめん、本当にごめんなさい!」
と言って、俺はカルマさんの両手を掴んで上に押し付け、その美乳の乳首に口づけした。そしてそれを吸い上げる…
「あああああっ…」
のけぞるカルマさん…そして、光が彼女を包み込む。彼女の体に刻まれた6の数字が消えていく。それを見た俺はすかさずカルマさんに口づけをする。深い、深いキスだ。宗治先輩の元婚約者だと思うとちょっと興奮してしまって結構激しくしてしまった。
光がさらに増し、再び、彼女に6の数字が浮かび上がった。
そう俺のもう一つの能力…「書き換え」である。
長きに渡ったこの作品もあと少しで終わります。約1年の連載でしたが、読者の皆様、最後までよろしくお願いします。