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魔王様と16人のヨメ物語  作者: 九重七六八
激闘モード
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カルタゴの戦い 前編 その3

さあ、戦闘が始まる!まずは最強のヨメ、立松寺華子VS藤野蝶子先輩。負けん気の強い者同士の戦いです。

 ついに暴虐の魔王と残りの3魔王との内乱の武力衝突が始まった。最初の戦いは、魔王同士ではなく、正室と側室の代理戦争という形で始まった。イレギュラーの魔王の正妃、立松寺華子率いる2万が主力の3魔王軍前衛は、後方に第1側室リィ・アスモデウスの1万5千、第16側室雪村美国の8百人がいた。


対する暴虐の魔王軍は、カテル・ディードリッヒの1万が中央、左翼に物部カルマの8千、右翼に藤野蝶子の4千5百が展開する。


直接対決では、暴虐魔王軍がわずかに勝っているが、後方に十分な予備軍を持っている3魔王軍の方が有利ではあった。


「相手はカンネの戦いで名を轟かせた妃殿下元帥。これを破れば、我々の名は魔界の歴史に刻まれるぞ!」


カテルは兵たちを叱咤激励する。兵同士の戦いはおそらく互角であろう。要は妃殿下元帥本人との一騎打ちで彼女を倒すことだ。


(私一人では、さすがにしんどいだろう。リィはともかく、妃殿下の札の舞は私には相性が悪い)


立松寺華子のウェポンである呪符は、特定の武器ではない。無数のお札が彼女自身の周りを浮遊し、敵のあらゆる攻撃を防御し、そしてあらゆる属性攻撃の弾丸として敵に向かってくる。長距離も至近距離も問題なしという凶悪さだ。


(あの札の舞をかいくぐって、妃殿下に直撃しないと勝ち目がない)


相性で行けば、カルマの方が向いているかもしれない。弓による射撃で遠くから行えば、あるいわ…この反則気味の正妃を討てるかもしれなかった。


暴虐の魔王の本拠地であるカルタゴで戦いが始まった。魔界軍は妃殿下元帥こと立松寺華子が2万を率いて、攻勢をかける。それに対してカテル、カルマ、蝶子の3側室は両翼を伸ばしてそれを包囲しようとしていた。


元々、3側室陣営の方が若干、兵数が多く、華子の方が後方にリィ、エトランジェと予備軍が多いため、攻勢をかけるのは3側室の方であったが、予想反して、魔界軍は突撃してくる。


 蝶子は自分の軍を無視して、中央のカテル目指して突っ込んでくる立松寺の軍を横腹から攻撃し、立松寺華子本人めがけて、一騎打ちを仕掛けることに成功した。


「迂闊だわ、妃殿下!ここでお命、頂戴します」


蝶子は自分のウェポンである、グレイプニルを召還する。グレイプニルは鎖鎌で、その鎖は相手をとらえれば、簡単には引きちぎることができなくなる特殊能力がある。ここで、魔王の正妻を捕えれば、戦いが一気に有利になる。


だが、そんなに甘いわけがなかった。


「蝶子先輩…私の命…安くはありませんわ」


華子を中心に無数のお札が下から上に向かって、複数のらせんを描いて動いている。華子の得意技、呪符による防御と攻撃の表裏一体の態勢であった。


「その呪符の防御陣は簡単に突破できないと言うが、本当かどうか、私が確かめる。敵を討て!グレイプニル…」


蝶子の鎖が回ったかと思うと、渦を巻きながら、華子に襲い掛かる。


だが、高速で螺旋移動する多数の札にグレイプニルが阻まれる。鎖が札に触れた途端に数十枚の攻撃呪符が反射的に蝶子に襲い掛かる。何とかかわした蝶子だったが、剃刀のような攻撃に何か所か戦闘ドレスがかすり、うっすらと血がにじむ。


「カオスの将軍を八つ裂きにした、妃殿下の十八番ですか…」


蝶子はグレイプニルを右手で回しながら、距離を取った。正直、あの呪符の螺旋を突破しなければ、まともな戦いをすることができない。


「蝶子さん、あなたに私の防御は破れません。降伏しなさい。そうすれば、命までは取り

ません。まあ、人間出身のあなたは元の世界に戻るだけでしょうが」


「私は嫌ですわ…人間界に戻ると言っても記憶を一切失って、しかも暴虐の魔王様がいない世界に戻ってなんの意味があるの!私は暴虐の魔王様…宗治とともにこの世界で生きる」


「宗治先輩は夏妃さん一筋で、相手にされないのに尽くすなんて、ちょっとうらやましい愛ですけど…そろそろ、あきらめたらどうです?」


「あなたなんて…正妃とか言われても、肝心の夫は愛人囲って、あなたも相手にされてないんじゃない?それに比べて宗治は一筋よ…」


「あなたじゃなく、夏妃さんにね!」


蝶子は立松寺の挑発に激高して、グレイプニルを振り回し、自分が持つ最大の攻撃方法で、立松寺の防御網を突破しようと図った。


「食らいなさい!グレイプニル最大の奥義…狼捕縛ウルフトラップ


蝶子のグレイプニルが伸びて、立松寺の螺旋の呪符に巻きついていく…何重にも巻き付き、それを押しつぶそうと締め付ける。


「私のグレイプニルは捕えた相手は逃がさない!」


蝶子が叫ぶ。だが、立松寺は意に介さない。


「それは体を捕えた場合。私の呪符の舞を捕えるのは不可能!」


立松寺がそう応えるとグレイプニルは弾き飛ばされる。同時に呪符が反射的に蝶子に襲い掛かる。蝶子は後方へ急速離脱を図るが、呪符の攻撃でダメージを受ける。


「蝶子先輩、ここまでです。ご退場願います!札の舞、桜吹雪月照!」


立松寺の必殺技が蝶子に襲い掛かる。無数の淡い光に包まれた呪符が蝶子めがけて飛んでいく。


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