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魔王様と16人のヨメ物語  作者: 九重七六八
激闘モード
122/139

私の王子様 その3

とりあえず。リィ様は主人公の元に…いよいよ、仲間同士で争う魔界内乱編へ突入です。しばらく、ラブコメ路線は封印?

「ウサギの笛!いでよ…スケープゴート…ラビッツ…」


甲高い声とともに白いウサギ精霊がリィとイズルを取り囲んだ。


「こ、これは美国の!」


 リィがカルマたちの軍勢の後ろを見た。薄明るくなった東の空にはっきりと見える旗は2つ。赤い旗だ。黒い旗は宗治の支配下の軍勢だ。赤はイレギュラーの魔王。赤地にウサギシュルエットと黄色の跳ね馬は、序列第16位の雪村美国とイレギュラーの魔王こと土緒夏の軍勢だ。といっても、美国ちゃんは800人ほどだし、イレギュラーの魔王は30人だが。


「いつのまに…あの子ったら!」


カルマは懐かしい土緒夏の顔を遠くに見つけて、そう何だかうれしそうにつぶやいた。カルマは、宗治のところに行くことを選んだが、土緒夏とも浅からぬ関係であった。敵という認識がなかった。


「くっ…。魔王と美国が来たところで、たかが800程度。我らもほぼ同数で、3人だ。攻撃すれば勝ち

ますことよ。美国の特殊能力など所詮は時間稼ぎだわ」


藤野蝶子はそう叫び、兵士に突撃を命じようとしたがカルマに止められた。


カテルもスケープゴートラビッツに向かって突撃命令を止めていた。

美国ちゃんの部隊の後ろに天上天下唯我独尊の文字の旗を見たのだ。


「すぐカルタゴに引き返すぞ」


「はっ…カテル様」


「カルマや蝶子にも伝令を…急がないと、カルタゴが危ない」


そう後方に妃殿下元帥率いる立松寺華子の先鋒が近づいていたのだ。その兵力2万。

急ぎ、カルタゴに帰って防衛線を固めないと、一挙に本国を失うことになる。


カテルたちが去って、リィはほっと安堵した。少なくともここで死ぬことは免れた。


「リィ!」


懐かしい声が聞こえる。


「な…なつくん!」


馬車の窓から手を振って近づいてくるのは、夫であるイレギュラーの魔王だ。

馬車が止まるとドアが開く。だが、そこへ飛び込んだのはリィ本人。

どさっと、彼女の迫力バストが顔面に押し付けられる。


ぐいぐい抱きしめられて、俺は窒息しそうになる。


「むぐぐぐ…リィ…ちょっと…し…死ぬ~」


「やっぱり、ピンチの時に助けに来るなんてお前は私の王子様だ」


「ぷはあ~」


リィのバストの海から息を吹き返す俺。


(マジで死ぬかと思った。リィの奴、この胸、俺以外に触らせていないだろうな)


とちょっと独占欲が頭をもたげたが、そんなことはおくびにも出さなかった。


「リィ、王子様って、ちょっと恥ずかしくないか?」


「バ…バカ…私はそんなこと言ってないぞ!」


「いや、思いっきり言ったぞ…」


「それは聞き間違いじゃ」


「それより、リィ」


俺はマジ口調になる。イレギュラーの魔王としてやはり妻にはガチンと言わねばならない。


「夫に黙って、男と外泊旅行はいけないと思うのだ」


「はあ?」


「だから、外泊旅行だ!」


「…なぜ?行けないのだ?」


「そりゃ、いけないに決まっているだろう」


リィは沈黙して俺の顔をじっと見る。見つめられると俺は照れてしまう。

リィは急に笑顔でがばっと俺を抱きしめる。また、リィのバストの胸の海に溺れる俺。


「うれしい…もしや、なつくんは、焼きもちを焼いてくれているのか?」


「むぐぐ…や…焼きもちなんかじゃないぞ」


「もう、バカ。私が魔王様以外の男に体を許すと思うのか?」


「いや、そりゃ、俺は信じていたけど…」


「うそ!」


「嘘じゃないけど…リィは俺のもんだから…」


「もうバカなんだから。華子ちゃんの後ろに私の軍もいるみたいね。今晩、私の陣地に来ること。私、待ってるから…」


リィはそうウインクした。


(今晩はこの悪魔ねえさんにエネルギーを吸い尽くされそうだ)



馬車でリィが魔王と抱き合う様子を見ていたイズルは、苦笑して


「はあ。やっぱり、魔王様と側室の縁の固さに割って入るのは無謀でしたか…」


と小さな声でつぶやいた。


(でも、あきらめませんからね…)


イズルはデビルパレスへ戻ることにした。魔界の内乱には、正式には天界が関わることはできないからだ。


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