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魔王様と16人のヨメ物語  作者: 九重七六八
激闘モード
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カオスVS暴虐の魔王 その2

反則キャラの土緒夏妃とほぼ無敵の宗治先輩が戦場に出ます。この強さ、チート気味ですね。倒されるカオスもかわいそう…。

 デュラハンは大きな戦斧を振り回し、2将軍とともに単騎で乗り込んできた暴虐の魔王に襲い掛かった。いかに強大な力を誇る魔王とはいえ、ここまで来るのに消耗しているはずだし、妃の回復エリアから外れたカオス軍陣地のど真ん中である。真っ向勝負すれば勝算は間違いなくあった。


だが、2将軍はあっけなく魔王に切り捨てられる。時間稼ぎすらできないのだ。


「バカな…暴虐の魔王は無敵か?」


 デュラハンはカオスの住人らしからぬ恐怖を覚える自分の感情が信じられない面もちではあったが、よく見ると魔王の体にはいくつもの切り傷があり、かなり疲れている様子であった。


(倒せぬ相手ではない。それに我はカオスの上将軍である。将軍よりもはるかに強い)


デュラハンは己の力を信じて、戦闘に移る。ここで魔王を倒せば、カオスの中での自分の地位は上がり、大将軍への道も開ける。


左手から火炎玉を数十発発射して威圧し、その隙に魔王に接近し、巨大な戦斧による一撃を見舞う。だが、魔王はゆらり、ゆらりと動いたかと思うと瞬間、自分の懐に飛び込んできた。慌てて左腕に装着された盾で防ぐが、宗治の強烈な居合の一撃はその盾を真っ二つにする。


「さすが上将軍。並みの将軍なら、今のであの世行きであった。いや、カオスの住人にあの世はないか」


「くっ…」


デュラハンは自分の持てる力をすべて出しきった。それどころか、一騎打ちの慣例を打ち破り、親衛隊に矢を射らせ、一斉に斬りかからせる暴挙にまで及んだが、それも陽動にすらならなかった。すべて宗治に瞬殺されたのみである。そもそも、なぜ、一騎打ちになるのかといえば、大将の能力が桁違いで一般兵士が介入すれば、例外なく殺されるからであり、一騎打ちに介入するのがそれ相応の力のあるものでなければ、意味のない行為であった。デュラハンが宗治を前に冷静さを失い、無用な犠牲を払ったのだった。


「これ以上は時間の無駄のようだな。カオスの上将軍よ。ここで死すべし!」


ゆらりゆらり…と近づいてくる暴虐の魔王が一人増え、二人増えと人数が増えていく。


(分身か?バカな…奴の動きはそんなに速くない)


デュラハンは目をこすった。宗治の動きはごく普通で、高速で移動しているわけでもない。高速で動いて時折、スピードを落とすことで残像が時折見えることで、このような動きを演出することは可能ではあるが、宗治の場合は圧倒的な力によるオーラによる恐怖心が相手に見させる幻影であった。


「わっ…来るな!」


めちゃくちゃに戦斧を振り回すが、難なくかわす宗治が剣に手をかけるとデュラハンは真二つになり、その場に倒れた。


「この程度で上将軍とは…カオス弱し…」


サワサワ…と宗治の身に着けた鎧が鳴り、細かい傷が修復されていくのを感じた。


夏妃の回復の歌の効果だ。夏妃自身が近づいてきた証拠であった。


「先輩、無理はいけません」


宗治の親衛隊に守られて、夏妃が前線に移動してきたのだ。毅然と立っているものの、さすがに魔力を相当に消耗しているのを見て夏妃はそっと駆け寄った。


「宗治先輩のダメージ…すべてなかったことに…」


そうつぶやいて肩に触れると宗治のケガも魔力も全回復する。




「可愛い顔をしてその能力は凶悪にして反則」


ふいに大声が鳴り響く。


宗治と夏妃がその声の方向を見ると、2人の上将軍が立っていた。


「我の名はヒポカンパス」


「俺はヘカントンケイル」


「この時、この瞬間を待っていた!デュラハンよ、お前の死は無駄にせず」


2人は襲い掛かってきた。ヒポカンパスは宗治に対して牽制し、ヘカントンケイルが夏妃に襲い掛かる。無防備なこの魔王の女を殺すことは赤子を殺すよりも楽なはずであった。


だが、ヘカントンケイルの夏妃へ向けられた剣の切っ先は、瞬間に移動した宗治の毘沙門改に弾かれ、さらに返す刀で強烈な一撃を加えられた。


「ヒ…ヒポカンパス…おまえは時間稼ぎもできないのか…くそ…やはり、逃げる…」


そういってヘカントンケイルはこと切れた。わずか一撃で上将軍を葬る魔王の力。目の前から逃がし、ターゲットである妃に向かった同僚が斬られるのをなす術なく見るしかなかったヒポカンパスは、その場で固まるしかなかった。


「お前たちは夏妃が出て来るチャンスを伺っていたようだが、残念だったな。夏妃が出てきたのは、お前たちをおびき寄せるためだ」


「な…なんだと…」


「この戦い、長引かせるわけにはいかないからな。それに上将軍は一人、捕まえようと思っていたところだ」


そういって、宗治は毘沙門改の切っ先をひっくり返すとヒポカンパスに斬りかかった。みね打ちで失神させ、捕虜として連行したのだ。すべての上将軍を失ったカオス軍は総崩れで魔界軍に殲滅させられ、15万の兵すべてが消えてしまったのだった。



15万を3万で撃破なんて…しかも、カンネ会戦のように長期連載じゃなくて、わずか2章で決着。夏妃がいれば、この物語すべて終わってしまいます。

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