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魔王様と16人のヨメ物語  作者: 九重七六八
激闘モード
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カンネの戦い 後編 その3

 美国ちゃんの第2の技、「赤いウサギのラブソング」のおかげで、5万のカオス軍の動きが止まる。この赤いウサギはスケープゴートの白いウサギ同様、無数に召還できてしかもそれぞれが任意に爆発するという凶悪な技なのだ。指揮官を失って沈黙したカオス兵を800人の美国ちゃんの軍と生き残ったファナの軍が殲滅戦に移る。俺は一息つくこともせず、上将軍にとどめを刺してその場に崩れ落ちたファナにかけよる。


自分のマントをそっとファナにかぶせ、目を閉じているファナの名前を呼ぶ。


「殿下…来てくださったのですね」


ファナが美しい瞳を開いた。


「ファナよくやった…。もういい、ここは下がれ」


「ですが、まだ一人、上将軍がいます」


ファナの言うとおり、さらに5万の大軍が近づきつつあった。殲滅戦をしている美国ちゃんの軍とファナの軍ではもはや防げないだろう。美国ちゃんの赤いウサギも1日1回だけスペシャル技なのでもはや使えない。


「美国の技、ふざけた技だ。ウサギが爆発するだと?ふふふ…ありえないジョークね」


「ファナ、しゃべるな!血が止まらないぞ」


俺は看護兵を呼んで回復魔法をファナに施すよう命じる。


「美国が新しい技を使えるということは…殿下、彼女と一線を越えましたか?」


(ギクッ…ファナの奴、重症なのにするどい奴だ)


そうライオネル3世にうながされて、美国ちゃんとキスをしたのだ。愛情が高まるたびに美国ちゃんの力は高まるという。ウサギのフルートの能力はそういうウェポンだそうだ。


(だが、1回限りじゃ意味ないじゃないか?)


あの赤いウサギ精霊はそれなりに使えるとはいえ、敵指揮官の意表をつかなければ爆発に巻き込めないし、爆発だから今回のように圧倒的な敵軍に囲まれた状態なら敵に大ダメージを与えるが、通常では味方まで巻き込んでしまう危険な技ではある。


 とにかく、5万の大軍が近づく前に一時退却だ。美国ちゃんの軍団と美国ちゃんの第1の技、スケープゴートラビット(白いウサギの大群で時間を稼ぐ)で殿を務める。俺は負傷したファナを抱えて山の麓まで退く。ロレックス嬢たち魔王直属第251小隊がいる場所だ。すぐさま、ファナの手当てが始まる。ファナの残党も集まりだし、そこに陣を構える。


その間、美国ちゃんの白いウサギが間に湧いて出て時間を稼ぐ。だが、


「ふい~っ…先輩…もう、美国…肺活量が持ちません~」


「おおおおっ…我がハイレディ!」


目が回って倒れる美国ちゃんをオズボーンのおっさんが抱きかかえる。スケープゴートラビットの生産が止まって、次々とカオス兵に破壊される。(触ると破裂する)


「美国ちゃん!もうだめかよ~」


一難去ってまた一難だ。ウサギがすべて破壊されれば、敵兵はどっと襲い掛かってくる。美国ちゃんの軍などわずか800人だから、瞬殺されてしまうだろう。


(もはやこれまでか?いっそ、ファナや美国ちゃんを連れて山を駆け上がるか?だが、兵を見殺しにすることになる)


どうする?どうする?土緒夏…イレギュラーの魔王!



その時だ!ロレックス嬢の甲高い声が鳴り響いた。


「魔王様!見えます!援軍です!あの旗印は!」



赤字に白字で「天上天我唯我独尊」の文字が染め抜かれた旗。


俺はファナを抱きかかえながら、叫んだ!


「立松寺!」


「妃殿下元帥の軍が戦場に到着しました!」


ロレックス嬢の声。


「助かった…」


それは魔王直属第251小隊の女の子兵士誰もが

思わず口にした言葉であった。


そう昨夜迂回した、立松寺華子率いる2万の魔界軍がようやく到着したのだ。しかも追撃するカオス5万の兵の左翼に現れ、そのまま不意を突く形で攻めるというタイミング。


「兵士諸君、今が歴史を変える時だ。私に続け!」


妃殿下元帥の称号を戴く、イレギュラーの魔王の正妻、立松寺華子が白い馬にまたがり、扇を左右に振った。


一挙に戦況が変わった。



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