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魔王様と16人のヨメ物語  作者: 九重七六八
激闘モード
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カンネの戦い後編 その2

ファナ様のエロピンチ!

でも、我が魔王様と美国ちゃんがそれを救う?

特に美国ちゃんはパワーアップして登場!なぜって?それを言ったら、ヨメ(立松寺)に殺されます…

 コアトル上将軍率いる5万のカオス軍は、わずか1隊に10万以上の軍勢を撃破された状況を打開しようと、猛然と襲い掛かった。1万2千を数えた勇猛な魔界軍も4千足らずであり、もはや疲れ切っていることは分かったが、それでも油断をしてはやられてしまう恐怖感を感じていた。どの兵も死を恐れない目で死に物狂いに突入してくるからだ。実際、接触した前衛はたちまち突破され、中衛も時間の問題であった。


(奴らの狙いは我が首のみ。それしか勝つ道はないだろうが…)


わずか4千ではここまでは来れまい…と普通に考えて至極常識的に考えていたコアトルは、自分の近衛兵を吹き飛ばしながら、近づいてくるものを見た。


(まさか…)


その「まさか」であった。

ファナが阿修羅のような出で立ちで、魔槍ロジェアールを振り回し、返り血を大量に浴びながら、上将軍コアトルの前に現れたのだ。


「驚いたな…。あの大軍を突破してきたとは…中級指揮官も何人か倒したようだな」


「ここに来るまで、8人。お前を倒せば、一息つける。覚悟だ、上将軍」


「コアトルという」


「ファナ・マウグリッツだ」


「美しい…血にまみれ汚れた姿なれど、さすがは魔王の愛人。武勇もさることながら、女としての魅力もなかなかのものだな。だが…」


ファナは弓をつがえたカオス上将軍の顔がいやらしくゆがんだ顔に変化したのを見た。


「お前をここで倒し、凌辱し、お前の兵士どもの死地への土産にしてやろう。二度と女が戦場に出て来れないようにたっぷりお仕置きをしてやる」


そういうとコアトルは強大な弓を引く。ファナはとっさに前進する。相手が飛び道具なら、近接戦闘を仕掛けるのが常套手段だ。だが、高速を誇るファナの動きがスローになる。疲れからではない…これは…。


(しまった!)


ファナは相手の術中にはまったことを知った。弓を引いた時に実はある魔法が発動していた。コアトルの特殊魔法…「停滞」の発動である。ファナの動きが止まった。


「はっはは…。バカめ。かかったな。もはやお前は俺の人形。精神は生きていても肉体はもはや死んでいるも同然だが」


コアトルは矢を2発放った。ファナの右手、左手を射る。


「うっ…」


激しい痛みがファナを襲う。カラン…と、握られた魔槍ロジェアールが地面に落ちる。ゆっくり近づいたコアトルは、ファナの体を足先から美しい顔まで舐めあげるように観賞すると腕を貫いた矢を抜き放った。肉がちぎれて鮮血が飛ぶ。


だが、ファナはその場に倒れることも許されなかった。その場で立ちつくすのみ。ファナが万全の体制であったなら、このような魔法にかかることはなかったであろう。早く指揮官を倒さないと兵士が全滅してしまう…という焦りが不用意に突っ込んでしまうという失態につながった。もはや、なす術がない。


コアトルはファナの戦闘ドレスの胸元を両手で思いっきり引きちぎった。形の良いバストが露わになる。それをギュッと掴む。苦痛と恥ずかしさでファナは目を閉じた。


「俺の女に!」


ファナの耳にかすかに聞きなれた声が聞こえる。


「俺の女に!」


(間違いない。この声は!)


「なつくん!」


思わず、ファナはベッドでしか言ったことのない言葉を叫んだ。


「俺の女に手を出すんじゃねえ!」


ファナの生乳を触りやがった狼藉者に痛恨の一撃!バット状の木の棍棒で思いっきり上将軍の頭をどつく。ばきっと棍棒は上将軍の兜の前に折れてしまう。


「イタタタタ…」


両手のしびれで俺は残った棍棒の残骸をその場に落とす。やはり、ただの人間ではまったく歯が立たない。


「これはこれは…魔王様ではありませんか?」


コアトルは思いがけない状況に困惑したが、魔王自身が無防備に目の前に現れるとは夢にも思わなかった。見れば周りは魔界の新たな兵士で囲まれている。いつの間にか自分の本陣に侵入を許してしまったようだ。だが、せいぜい千人程度であり、自分の大軍に囲まれているという状況でもあるので、慌てもしなかった。魔王の不意打ちも虫が止まった程度の攻撃であったから、うわさは本当であったようだ。


「イレギュラーの魔王はただの人間と聞いたが、本当であったようだ。まずは魔王を殺し、その死体の前で凌辱してやるわ」


そう言って、コアトルはファナから離れ、弓をつがえた。矢は正確に俺の心臓を狙っている。


「美国ちゃん!」


俺は後ろを向いて叫んだ!その声に合わせて小柄な少女がポーンと兵士の作る人間の階段を駆け上がって空高く舞う。


(あれは第16側室!)


コアトルは前回の戦いから命からがらに帰還した上将軍カトバブレスから、この女のことは聞いた。不思議な術で時間稼ぎをされて魔王を打ち漏らしたことだ。


「ライオネル三世!いくよ!」


「はい!美国様」


肩に乗ったウサギ精霊がくるっと宙返りをすると美国ちゃんのウェポン、ウサギのフルートが赤く染まった。美国ちゃんは、その笛(フルートと名はついているが、形状はホイッスル)を思いっきり吹いた。


ビロピロピー~ピロピロピ~


間の抜けた笛が戦場に鳴り響く…戦っている兵士が何事か?と思わず手を休める違和感。


コアトルの前に赤いウサギがコロコロ転がってきた。


「なんだ?」


上将軍がそう思った瞬間、それは大爆発を起こした。爆発に巻き込まれ、宙に舞ったコアトルは地面にたたきつけられた。そこにさらなる赤いウサギがコロコロ。


ドカーン…ドカーン…ドカーン…と3連続爆発。


「ば…バカなこんなことで…わたしが…」


大ダメージを受けて地面にあおむけに倒れ、動けないコアトルはあちらこちらで爆発し、宙に舞う自軍兵士を見た。そして、自分のところに魔法が解けて怒り狂った第4側室がロジェアールを握りしめてとどめを刺そうとする姿を見たのが最後だった。


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