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願いの為に人は生きる  作者: 銅線
三章-1
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 トランクを抱えて無人駅へ降りる。ルカが乗るよう指示された列車は、最も速くユキスズの近くを通り、本来ならユキスズを通過する車両なのだ。だが駅の近くを差し掛かった時に列車がトラブルを起こしたとの情報が流れ、停車に至る。

 列車が遅れる事は多々あるがルカにはわざととしか思えなかった。


「まあいいけどな」


 今のルカは一般人に紛れる為ラフな私服の上から砂避けの外套を羽織った、旅人の様ないでたちだった。旅人が真っ当な一般人かどうかは疑わしいものの、今の所問題ないようだ。


「えー、と。………森へは」


 ルカが下車するのを待っていたかのタイミングで発車する音が響いた。薄茶色の外套が風に煽られて翻る。

 風が収まった所でジャケットのポケットから地図を取り出す。ユキスズはやはり小さな村で、地名は東方の言語から名付けられているようだ。一説には海と山と両方に近いこの地に東から来た者達が故郷を思い出したからだそうだ。

 村の一番奥に国有林オオマガの森への入口があるようだ。ルカは地図を畳んで顔を上げる。


「お前さん、残念だの」

「えっ?」

「列車は行ってしまったの」

「ああ。ここにも用事あるから特に気にしてません」


 散歩の途中だろう。年老いた男性が珍しい来客に声をかける。

 あの森が村人にどう思われているかルカは聞いてみる事にした。正直今すぐにでも引き返して行方不明と報告したかったが次の列車は夕暮れ時、それまで無為に過ごすより任務と割り切って迎えに行く事を選択した。


「そうだ………オオマガの森に関する噂とかありませんか?」

「あの森に興味あるのかえ? 止めなされお若いの。あの森には魔が住んでおりますぞ」


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