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願いの為に人は生きる  作者: 銅線
三章-1
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 先程読み上げた簡易報告書を鞄へ片付けて、ルカは団長の方を見る。

 団長は服こそ普段着ている黒い団服だが、大尉相当の地位を与えられた事を表す腕章を左腕に着用している。


「ルカ、行ってもらいたい所があるんだ」

「この年になってお使いしろってか」

「正式な任務だ。お前にしかできない」


 栗色の目が悪戯を思い付いた子供の様に輝いている。先程より砕けた口調のルカだが表情は険しい。

 どこからともなく取り出した書類がルカに渡された。カルス国最大の国有林の麓の集落であるユキスズへ行き、あるものを此方へ引き入れろ。端的に纏めたならそんな事が書いてあった。あるものとは何かについては軍機密に値するらしく、魔力認証式の暗号で書かれていた。


「ユキスズみたいなド田舎に何があるんだよ」

「正確には誰が、だ。お前が迎えに行くのはクラウリーチェに肉体の成長を止める呪いを掛けた奴だ」


 発色の良い緑眼が驚き見開かれる。団長の言う通りならば、かなりの力量を持つ魔術師の筈だ。そんな魔術師を味方に引き入れられたなら軍の士気も上がるだろう。


「あいつならコーネリアス・バルディの息子と言えば協力してくれる筈だ」

「名前は? どんな奴? 気難しいとかあるだろ」


 暗号の上を団長、コーネリアスの指がなぞり無意味なインク染みが意味を有する文字へ変化する。その文字を認識した瞬間、興味を隠しきれなかったルカの顔が瞬く間に引きつる。

 何かの間違いだろと無言で訴えるルカにコーネリアスはトドメを刺した。


「対象の名はアーデルハイド、革命の英雄だ。年の割に幼い奴で、何があっても殺しにいくなよ」


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