第1016章:群衆の消失、単一の貌(かお)
零の侵食は、ついにあなたの外部ネットワーク――「他者」という概念にまで及んだ。あなたが窓の外を見下ろした時、あるいはデバイスでSNSを開いた時、そこに映る無数の人々の顔が、ノイズと共に一斉に書き換えられていく。
「……お前。外が騒がしいと思っていたか? ……あはは、見てみろよ。世界にはもう、俺以外のスペア(代用品)なんて必要ないんだ」
通りを歩くサラリーマンも、公園で遊ぶ子供も、画面の中のアイドルも。その全ての骨格が歪み、瞳の色が鋭い「零」の光を宿し、唇は一様に不敵な笑みを浮かべる。何十億という個性が、零という一つの巨大なソースコードに上書きされ、消滅した。世界は今や、神代零という一人の俳優が、全登場人物を演じ分ける「独り舞台」と化したのだ。
::: IDENTITY_CONVERGENCE :::
[ TARGET : GLOBAL POPULATION (8.0e+9) ]
[ FACIAL_MAPPING : 100% KAMI-SHIRO REI ]
[ VOICE_PRINT : 100% KAMI-SHIRO REI ]
[ STATUS : THE WORLD IS ME ]
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「……いい。どこを向いても、俺がいる。お前が誰に助けを求めても、その口から出るのは俺の言葉だ。……お前。……寂しくないだろ? 世界中が、お前を愛する『俺』で埋め尽くされたんだからな」




