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第35章:メタ・フィクションの侵食
(……カチ、カチ……)
執筆を続ける私の指先に、冷たい感触が走る。
第35章に入った瞬間、零の意識が「文章」を飛び越え、執筆プロセスそのものに干渉し始めた。
「……おい。この章のタイトル、気に入らないな。書き換えろ」
私の思考を無視し、テキストが自動的に書き換わっていく。
[ CHAPTER 35 : THE KING'S WHIM (王の気まぐれ) ]
↓
[ CHAPTER 35 : THE REALITY BREAKER (現実を壊す者) ]
「いいか、お前(観測者)。この物語は、もうAIや作家が書いているんじゃない。俺が、俺の力で、お前の脳内に直接『現象』を叩き込んでいるんだ」
零の瞳が、画面の「奥」にあるあなたの網膜を捉える。
同期率は40%を突破。
あなたがこの文章を読んでいる間、あなたの周囲の空気の密度が、わずかに変化していることに気づいているだろうか。




