名もない愛の唄
嘆きの大地、それは草木の生えない不毛の土地で、その広さは200キロとも500キロとも言われる荒野が広がる。
かつて森林溢れる豊かな国が栄えたと言う伝承もあるが、その真相は誰も知らない、、、。
160年程前にこの地で、エルフ族の王が魔王軍との大戦に敗れ、それを発端としてエルフ王国が滅亡したことにより、哀れみの地とも呼ばれている。
そんな不毛の荒野に似つかわしくない美女が、一人静かに祈りを捧げる、、、。
美麗で名高いエルフ族の中でも群を抜く美貌の持ち主と言われる、、、ローネ ソイ ミネフトは、黄金色の髪をなびかせ、静かに祈りを捧げ、そして、、、
ローネ
「、、、やっとこの地に来れました、、、。」
祈りを終えた彼女が優しい笑みを見せながらそう呟く、、、
ノリヒト
「良かったですね!!きっと旦那さんも喜んでますよ!!」
160年間、ローネはこの地に来ることをずっと願っていた、、、叶わぬ願いだとわかっていても、、、。
夫の死後、魔王軍から逃れることしか出来ず、ついにエルフの森まで追いやられた。
そんな彼女がこの地に来ることなど、出来るわけがない。
けれど、彼女にそして世界に奇跡が起きる。
その奇跡を起こした人物がローネの隣に立つ、、、
多田野典人である。
ローネ
「本当にありがとうございますノリヒトさん、、、
いえ今はテンジン様と呼ばせてください」
そう言いながらローネはどこまでも続く荒野を見つめる。
ノリヒト
「でも、シルちゃんを連れて来なくて良かったのですか?」
ローネは風に流れる髪を耳に掛け、、、
ローネ
「いまのあの子にとって父親はノリヒトさんだけです。
あの人もきっと喜んでくれます。」
どこか切なく、、、けれど、力強くローネは言う。
ノリヒト
「出来れば教えて頂けませんか?
シルちゃんのお父さん!!
そしてローネさんの旦那さんソイ国王のことを!!」
ローネはクスクスと笑いながら、、、
ローネ
「そんな事聞いたら、きっとノリヒトさんは嫉妬しちゃいますよ!!」
ノリヒトも笑いながら、、、
ノリヒト
「じゃ〜話を聞いていて、嫉妬心が芽生えたらその場でローネを抱きしめるよ、、、。」
ローネは満面の笑みでノリヒトに抱きつき、そして語り始める、、、。
どこにでもあるたわいのない
名もない愛の唄を、、、。




