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遅れてすみません。

諸々あって執筆できないでいました。

そろそろと再開します。

 第三層に到達した。

 そろそろ資源目的の地上の冒険者たちと出くわしてもおかしくない頃合いなのだが、まだ鉢合わせてはいない。


 オレたちは元々の4人とおまけで付いてきた子蜂4人に加えて、戦えるトリトネリアの男女30人が増え、総勢38人の大所帯となっていた。

 ダンジョンの第三層は平原とまばらな林と小川で構成されたのんびりした景観だった。

 トリトネリアの一行が加わったことにより、移動は徒歩(前はイオニクリサに運ばれてた)となったが、歩きやすいので不満は無かった。

 

 第三層にはメリアスやアラフネ、ドラケリアやトリトネリアの様な知性を持った種族は居ないらしい。

 なので出くわした魔獣は倒しても問題ない。問題無いが―――———


当分(とうふ)さんは、こちらどの様に食されますか?」


 と、ゾーイさんが体長20メートルを超す大蛇を抱えて聞いてきた。

 この大蛇は先頭を歩いていたゾーイさんに襲い掛かり瞬殺された蛇の魔獣。名前は特に無いらしい。

 以前、飲み屋で蛇を食ったことはある。鶏肉に似て美味かったのだが、ここは日本では無い。あの美味さを実現させた調味料も調理技術も無いだろう。正直言って、あんまり食べたくない。


「……調味料って何があるんですか?」


 隣にいたトリトネリアのビザリニルトさんに聞いてみた。


「持ってきたのは塩だけですね。ただ、この階層には先日の宴会で出した葉野菜や根菜が自生しているし、行者にんにくの群生地もあるので、蛇肉の炒め物なんかがお勧めですよ?」


「あ、そう………因みに、これを食べなかった場合の食料は……」


 ビザリニルトさんは近くにいるトリトネリアの女性を指さす。

 彼女は道中で捕まえたのか、体長60センチほどのトンボ片手にほくほく顔をしていた。


「?」


 オレの視線に気付いたトリトネリアの女性がキョトンとした顔を向ける。

 オレは彼女に笑顔を返し、ゾーイさんに向き直った。


「炒め物好きです」


 そう答えるしか無かった。



◇◇◇

 その日の夕食は大蛇の旨辛炒め。

 大変美味しゅうございました。

 他には焼いた小魚やジャガイモなども出た。

 調理器具はトリトネリアが持って来てくれたので、特に困ることは無かった。

 食事の準備中は暇だったこともあり、調理風景をを眺めてたのだが、解体した大蛇から巨大な宝石が出てきた。

 どうやら魔石という物らしい。

 オレが珍しがってると解体を担当してたトリトネリアが献上してくれた。

 貰っても困るのだが、断るもの申し訳ないので受け取ることにした。


 で、食後のテントの中。

 テントはトリトネリアが用意してくれたカエルの魔獣の皮で出来た物だ。特にぬめることも無く意外と快適である。

 狭いテントにはオレとイオニクリサ、クラティアとゾーイが寿司詰めになっている。

 それぞれテントを貰ってるはずなのだが、なぜか使おうとしなかった。

 まぁ、言っても仕方あるまい。怖いし。


「さて、この魔石ですが」


 オレは目の前の真っ赤な宝石を指さす。


「何に使うんですか?」


 オレの問いに首を傾げる女王様。


「何に使う、とは?」


「え?」


 アレ? 魔道具に使うとか魔力補充に使うとか、ラノベとかだと普通だと思うのだが……

 

「これってただの綺麗な石なんですか?」


「ふむ。メリアスは蜜が豊富な所では肉食をせんからな、知らんのも無理なかろう」


 とアラフネのクラティアさん。


「魔石は我らの場合は魔力補充が主じゃが、人間は魔道具の触媒やエネルギー源に使っとるようだのう」

 

 言ってクラティアさんはゾーイさんを見る。


「そうですねぇ……地竜族はゴーレムコアに使うことが多いですね」


「ゴーレムコア? ゴーレムの心臓ですか?」


「心臓でもあり脳でもあります。予め命令を埋め込んで動作せるんです」


「ゾーイさんはゴーレム持ってたんですか?」


 第五層にそれらしき物は見当たらなかったが、もしかしたらどこかに置いてあったのかもしれない。


「いいえ、ゴーレムは魔力消費が激しいので私は使っていませんでしたね」


 なるほど、流石は大喰らいの異名を持つ地竜。ゴーレムに使うくらいなら自分で食うってか?


「今なら当分さんもいらっしゃいますし、この魔石を使って一体くらい用意できますけども?」


「ゾーイさん、ゴーレムを作れるんですか!?」


 ちょっと驚き。この三人、どっちかっていうと脳筋なイメージ強いので。


「竜族にはそれぞれ得意な魔法があっての。ネフィロゾーイの様な地竜は創造系の魔法と相性が良いとされておる」


 とクラティアさん。この人なに気に博識だな。


「個体差はありますが、わたくしも創造魔法は得意な方なんですよ。護衛用に一体用意しましょうか?」


 護衛……恐らくオレはこのまま地上侵攻に付き合わされるだろう。戦闘力とか微塵も無いので護衛は正直有難い。


「あの、お手間でなければ―――——」


「無用だ。主殿の護衛は妾が引き受けるでのう」


 言ってイオニクリサがしがみついてくる。

 

「だそうです」


 長い物には巻かれろ。怖い物には逆らうな。

 まぁ、実際問題、女王様が付いてくれてば護衛は不要だ。メリアスはもともと防衛の方が得意な種族らしいし。

 

「残念、わたくしも当分さんのお役に立ちたかったですのに」


 ゾーイさんには散々魔力を吸われてるので、そのお礼と言う意味だろう。

 

「ははは……何か困ったことが有ったらその時はお願いします」


 と、そんなことを話してる間にそろそろおねむな時間。

 個人的に緊張が高まる時間でもある。

 女王様もクラティアさんも出産してから求めてくることは無くなった。

 子供たちが育つまでてんやわんやだったと言うこともあるのだろうが、だからと言って二人の執着が無くなったという感じは一切しない。

 隙あらばがっちりホールドされてるし。

 育児も終わった現在、またぞろ求められるのではないかと戦々恐々である。


「さて、ではお先に失礼しますね」


 言ってゾーイさんがテントを出ていく。

 ゾーイさんとは魔力供給以外の関係を持っていないので、これは予想通り。

 問題は女王様とクラティアさん。

 なにやら視線で激しいバトルを繰り返しておられる。

 まぁ、こっちに選択権は無いので様子を見守るしかないのだが。


「ふむ。まぁ、今日のところはイオニクリサに一つ貸しじゃの。では当分殿、お休みなのじゃ」


 決着が付いたのか、クラティアさんがテントを出て行った。

 

「あの女王様は――」


「イオニクリサ」


「え?」


「主殿は妾だけ名前で呼んでくれぬ。距離を置かれてるようで妾は寂しいぞ?」


 そういって女王様がしなだれかかってくる。

 

 可愛いことを……


 オレはそっとイオニクリサを抱き返した。


「イオニクリサさん」


「さんは要らぬ。主殿には呼び捨てにして欲しい」


 言って両の腕に力がこもる。

 いつもの女王様とちょっと感じが違う。


「どうしたんですか、いったい?」


「……妾は助けて貰うばかりで、主殿の役に立っておらぬ。妾のことだけでなく、一族を救って貰ったと言うのに……」


「それはお互い様ですよ。トリトネリアの方々と出会うまで、オレが飢え死にしなかったのはイオニクリサのおかげじゃ無いですか」


「でも……主殿は肉や魚の方が好きであろう? 飢え死にしなくとも味気なく感じておった様だし……」


 確かに、それはあった。飽食の日本人たるオレには物足りない感じが付きまとっていた。

 だが……


「それは関係ないですよ。生きながらえたという事実が大切なんです。オレはイオニクリサに感謝してもしきれないですよ。そもそも、見も知らぬ異世界でオレが生きていられたのは、イオニクリサの庇護があったからですよ?」


「……クラティアはあの交友関係の広さでトリトネリアを味方にし、主殿の食を満たした。満腹になったゾーイは妾らが手を貸さずとも地上の敵を一掃出来る。妾だけ役立たずになってしもうた」


 あ、いや、別に地上を一掃したいとは思って無いのですが……

 でもまぁ、女王様もお礼がしたいって事なのかも知れない。

 そんな気にしないでも良いのに。


「じゃあ、今日はこのまま一緒に寝てください」


「一緒に寝るだけか?」


「じゃあ、またぎゅうっとしてください。抱きしめられるのは好きなので」


 オレの頼みに、女王様は困った様に微笑む。


「こ、こうかの?」


 イオニクリサはオレを包むように抱きしめるとそのまま横になった。

 女王様とは何度も肌を重ねてきたが、今日はちょっと違う感じ。どこかおっかなびっくりで、壊れ物を扱うかの様だった。


 そして、その日は本当に何もせず、そのまま眠りについたのだった。


 

間を空けたせいか、文体が安定しませんでした。

その内落ち着くと思うので、その時にでも修正します。

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