二話始まりの出会い2
妃紗麻がいると噂の隣の教室へと入ってみる。すると、目を見張るものが見えた。
教室という狭い空間がまるで一つの世界のように広がった。思い返してみると、ここは僕が入るほどの
進学校で一人一人が、これからの中国を背負うように生まれてきた価値のある人間だ。
しかし、それらの存在感を放つであろういわばあまたの事柄で功績を残してきた
私たちがそこにある”あるもの”の前ではハエのように、どうでもいいように見え
てしまった。それほど、彼女の美しさは、言葉などではとうに言い表せないほどの
存在感、美貌を放っていた。 あ、ああ、あ、思わず声を漏らしてしまった、すぐに
その声がこの今まで小さな世界で王様気分を味わっていた自分の声だと分かった。
“本物”を目の前にしたら何とも間抜けなものだ、 はぁ、彼女が紅色の美しき
唇を開き、そうため息を漏らした、まるで上位存在が下位の者を認識しているかのような
態度だ。
で、何?そう彼女はわざわざ隣の教室まで来た多くの人を連れた書豪にそう言った。
いつの間にか主導権を奪われていた。彼女はあらゆる面で僕たちには手の負えない
相手だと分かった、なるほど、妃紗麻の孤立の原因はこの完璧さのせいかと書豪は
理解した。我々はこの人の事は何一つとして知らないが、まるで目の前に巨大な
生物がいるかのような強い雰囲気だ。これでは実際に私たちでは近寄りがたい、
おそらく、今の我々が何をしても、彼女には効き目がないだろう。そうまるで竜
そのもののような彼女を一目見て、我々はそう悟ってしまった。しばらくの沈黙が流れる。
すると、で、帰っていい?そう妃紗麻は言うと何も聞かずにその教室から抜け出して
しまっていた。、、、
帰路の途中、一同は何一つ喋れる気分ではなかった、妃紗麻の姿を一目見ただけで、
自分が大した存在ではないことを思い知ったのである。とてもではないが喋れるような
気分ではなかった。一同はただロボットのようにゲーム、勉強などの普段自分がしている
日々の習慣から自分というのを変化なく形成するだけだった。人は経験によって
創られる生き物である、そのあらゆる角度から見ても彼女はおそらく別格なのだろう
ただそう、一同は考えるのを諦め、もう妃紗麻には自分と同列に扱わないように
しよう、そう一同は思い、自分というただの人としての生活に戻そうとした、
かくいう書豪もその一人だった、なにか今日変わったことがあるか?といった
ことで言うなら、自分は何物にもなれないただの珍しいだけが取り柄の人
だということが自覚でき、本当の自分になりたいという日々のストレスを
ただの自傷で和らげる不可能な叫びはぽっかりと消えていたという事くらいだろうか
そうして自分はこれからもただ今のような考え方で変わることもなくただ自分の
できる範囲の事をしていくだけだろうと思い、家に帰った。家に帰ると
母がいた、特に変わることなくこちらに興味がなく、ただやること話するだけの母だ
思えば雨萱と父が分かれ、新しいこの家事専用のだけの妻を父が持ってから僕の性格
野心はすっかりと消えていた、そう思い過去を懐かしみながら、勉強を終え、布団に
入り、僕は睡眠をとり始めた。