新たな勢力
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「人間だ、くっちまえぇ!」
オークキングが丘を駆け降りてくるケラスターゼ達を指差して怒鳴る。
「ウグォォ!」
オーク達がハンマーや大戦斧を振りかぶって走り出す。
「胴体ががら空きだよ!」
ケラスターゼがオークの土手っ腹を切り裂く。
「ぬっ、いつの間に……」
オークがばたりと倒れる。
「神速剣!」
ケラスターゼの剣戟がオーク達を切り刻んでいく。
「アダマス、バフをお願い!」
「わかった!」
アダマスがケラスターゼに身体強化魔法をかける。
「はあっ!」
ケラスターゼの剣がオークキングの大戦斧とぶつかり、火花が散る。
「ふはは、女の癖にたいした力じゃないか。我には遠く及ばんがね!」
オークキングが大戦斧を振り抜いてケラスターゼをぶっ飛ばした。
「うわぁっ!」
ケラスターゼが空高く舞い上がる。
「間髪いれず次の攻撃だァ!」
オークキングが飛び上がり、ケラスターゼに大戦斧を叩き込んだ。
「やばっ!」
ケラスターゼが地面に叩きつけられる。
「ゲホッ」
ケラスターゼが苦しげにうめく。
『アダマスのバフが無かったら再起不能だった……』
「お日様ポカポカだからってお昼寝してるんじゃあ無いだろうなァ!」
オークキングが更に追撃する。
ケラスターゼはそれを素早く避けた。
「いくらオークキングでもあれは強すぎでしょ……!」
ケラスターゼがオークキングを睨む。
「これもクーティ様の為せる技」
オークキングが感慨深そうに呟く。
「う、じゃあアスフェンがあの魔人を倒さない限りこいつずっと強いままか……」
ケラスターゼが地を蹴る。
「それまで耐えてやるよ」
ケラスターゼが剣を振りかぶる。
⭐⭐⭐
「さすが世界を救った英雄だ、この僕と対等に渡り合うとはね」
クーティが笑いながら剣を振るう。
アスフェンは表情一つ変えずに攻撃を弾く。
「……はあ」
アスフェンが包丁を振り上げる。
クーティの右腕が斬れる。
「え?」
クーティが固まる。
『あれ包丁だよな、調理用の。そんななまくらで僕の腕が切り裂かれたなんて……』
「渡り合える?」
アスフェンが包丁を突きつける。
「渡り合ってやったんだ。お前、新参の魔族だな?」
「……だったらなんだ」
クーティが腕を再生しながら答える。
「俺を倒すなら100年生きてからにしろ、若すぎんだよお前は」
アスフェンがクーティをぶん殴る。
「ぐあっ!」
クーティがぶっ飛ぶ。
「何が100年だ……僕は最高の人造魔人なんだ、お前なんか圧倒できるんだ、お前なんか……!」
クーティが立ち上がる。
「人造……?魔人が人に作れてたまるかよ」
アスフェンが言い捨てる。
「創造者をバカにするなァ~!」
クーティが怒りに任せて突進する。
アスフェンが物凄い勢いで包丁を振るう。
クーティは為す術なく押し返される。
目にも止まらぬ攻撃がクーティを襲う。
アスフェンがクーティの首に包丁を刺して一気に下に降ろす。
「ふぅ、終わったな」
アスフェンが包丁を抜き取る。
『人造魔人……とんでもないな」
アスフェンは『創造者』という言葉に引っ掛かっていた。
『あのデュラハンとは別の勢力なのか?それとも……』
アスフェンが丘の下を眺める。
ケラスターゼがオークキングを仕留めたようだ。
大歓声が沸き起こる。
「もっと忙しくなりそうだな」
アスフェンがため息と共に呟く。
明日は日曜日だ