魔王討伐
レグルス達がアスフェンと魔王の動向を注視する。
『魔王が剣を、もう限界なんだ』
レグルスが魔王の消耗を感じとる。
『今、私達が一斉に飛び掛かれば……』
チュンチュンが動こうとするが、バルクが止める。
バルクは静かに首を振る。
誰も動こうとせず、アスフェンの背中を見ている。
「飽きてきたか?」
魔王がアスフェンに尋ねる。
「フン、飽きるも何も、最初から楽しくねぇよ。人の身体で派手にやりやがって」
アスフェンが肉包丁を握り締める。
「あの時みたいに一騎討ちといくか?それともそこの人間全員で総攻撃を仕掛けるか?どっちか好きな方を選べ」
魔王が魔剣を軽く振ってウォームアップする。
「一騎討ち以外やらせるつもり無いだろ」
アスフェンも今一度ストレッチを始める。
「なんだ、気付いてたのか」
魔王が笑いを漏らす。
『あと少しで……全てが決まる』
レグルスが固唾を飲んで見守る。
「もしアスフェンが負けたらどうすんのさ」
ベルフェゴールが言うが、アリスがすぐに答える。
「負けないよ」
アリスが確信したように言う。
「師匠は絶対に負けないよ。弟子の私が言うんだから間違いない」
『う、プレッシャーが……』
アスフェンの胃がキリキリ痛む。
『願わくば倒しきりたい。無理だった場合は……アリス達なら大丈夫か』
アスフェンが『白夜』の構えをとる。
「恨みっこなしだぞ」
魔王も魔剣を構える。
異様な緊張感があたりに立ち込める。
その緊張感は司令官達のいる指令部にも伝わっていた。
『せ、世界の命運が決まる……!』
司令官が帽子を取って跪いて祈りを捧げ始める。
⭐⭐⭐
アスフェンと魔王が睨みあう。
あたりが静寂に包まれる。
魔王が動いた。
アスフェンも動いた。
猛スピードで二人が攻撃を繰り出す。
魔王が魔剣を振り下ろしたが、アスフェンが避けて魔王の腕を切り落とす。
『……また敗けか』
魔王が微笑む。
アスフェンの猛攻が魔王の命を奪い取る。
「た、楽しかった……次こそ倒して……やるよ」
魔王の首から血が吹き出す。
「もう人間を依り代にすることはできない。別の何かに転生するのが関の山だ」
「それで良い……俺の意思を……継ぐものは……いつか現れる」
「いつでも相手してやるよ」
アスフェンが頷く。
「ふ、ふふ……」
魔王身体から青い煙が立ち上る。
アスフェンがレグルスたちの方を向いて頷いて親指を立てる。
「や、やったのか……?」
「やったんだ!俺達の勝ちだ!」
「やったー!」
パンタロンが地べたに座り込む。
「寿命が縮むかと思ったぜ」
「生きている……このイケメソ、生きているぞ!」
イケメソが生の喜びにうち震える。
レグルス達が飛び上がって喜ぶ。
「まだだよ」
アスフェンがケラスターゼの身体を抱き抱えて此方に歩いてくる。
「喜ぶにはあと一人いないとな」
バルク達は困惑するが、アリスとレグルスは笑って頷く。
「『オーディナリー』で」
「お迎えしましょう!」




