復活の炎アリス・サイファー
アリス・サイファー、前世の本名、久寿軒姫。
没年齢19歳。
死因-焼死。
ノリオ・アヤメヤの遠縁にあたり、死後魂の溜まり場を通過して此方の世界に転生した。
その際、先人の魂の欠片を取り込んでいたため、多数のスキルを所持した状態で転生できた。
この世に生まれ落ちてからの事、もう思い出すこともないだろうと思っていた前世の思い出。
ありとあらゆる情報がアリスの脳内を駆け巡る。
『身体が動かない……心臓を一突き、見えなかった』
身体がひんやりするのを感じる。
『魔王を倒さなきゃいけないのに……』
アリスがぼんやり上を見る。
カマルが上にいる。
『こいつが戦場に出るのはまずい、早く立たないと……』
アリスがもがこうとするが、ピクリとも動かない。
『駄目だ動けない。死ぬんだな、私』
カマルが降りてくる。
「まだ息があるのか?死に損ないめ」
カマルがレイピアを振り上げる。
「魔王様の出る幕はない。貴様らの仲間も凍らせて砕いてやる」
カマルがレイピアを振り下ろそうとした時、バキッ!と大きな音が鳴り響く。
「……こいつ、人間だろ?」
カマルが困惑する。
アリスの胸の傷から炎が立ち上る。
身体がとけだし、もがき出す。
「トドメだ!転生者ァァァ!」
カマルがレイピアを振り下ろす。
炎がカマルを包み込む。
「ぐっ!」
カマルが思わず腕で顔を覆う。
「何だお前は!」
カマルが怒鳴る。
アリスは答えない。
その姿はまさしく炎そのもの。
炎を鎧の如く纏い、炎を剣の如く掲げる。
「お前は燃やし尽くさなきゃならない。覚悟はいいか」
アリスが剣を構える。
「ほざけ!」
カマルがアリスに迫る。
アリスも動く。
目にも止まらぬ動きで大聖堂内を駆け巡る。
『こいつ、パワーもスピードも先程までとは段違いだ』
剣を振るうアリスにノリオの姿が重なる。
「忌々しい……!」
カマルが巨大な氷を発生させる。
『質量で押しきる!』
アリスが氷を一瞬で細切れにした。
溶けた氷が雨のようになって降り注ぐ。
『あの時もだ、あの時も同じように!』
カマルがレイピアを無数に突きだす。
「なぜ生きているんだ、ノリオ・アヤメヤ!」
アリスがレイピアを弾き跳ばす。
「私はアリス・サイファーだ」
アリスが剣を振り下ろす。
「黙れ!」
カマルが氷の刃をアリスに差し向ける。
「炎之輪舞曲」
鮮やかな炎の回転斬りが氷を切り裂く。
カマルの胸の傷がズキズキ痛む。
「全部だ、全部ノリオ・アヤメヤに重なる。この因縁は今絶たなくてはならない!」
カマルに冷気が凝縮されていく。
「クレイバースト」
全てを凍らせる絶対零度の冷気の渦がアリスに向かって放たれた。
「火龍一閃」
炎を纏ったアリスが地を蹴って渦に突っ込んでいく。
「これで最後だ!」
カマルも渦に突っ込んでいく。
二人がぶつかる。
大爆発と共に発生した衝撃波が大聖堂をぶっ飛ばした。
煙が辺りに立ち込める。
風が吹きすさんで煙を飛ばす。
カマルの胸に燃え上がる傷一つ。
一瞬でカマルが炎に包まれる。
「クソォォォォ!!」
カマルが倒れる。
アリスが剣を鞘に収める。
「誰か知らないけど、仇は取ったわよ」
アリスが走り出す。
アスフェンたちのもとへ。
⭐⭐⭐
「カマルまで殺られるとは……面白くなってきたじゃないか」
魔王が立ち上がる。
「俺を相手に何処まで戦えるか、魅せてみろ人間ども」




