蒼蒼の実は……
バルクとトルキの戦いは激しさを増す。
『くっそ、なんで蒼蒼出ないんだよ!』
防戦一方のバルクが押され始める。
「バルク、なにやってんだ!さっさと蒼蒼決めろ!」
シャルロッテが怒鳴る。
「うるせえ出せるもんならとっくに出してる!」
バルクが怒鳴り返す。
「おやおや、随分と余裕ですね」
トルキの拳がバルクの頬を掠める。
『今のはヤバかった!まともに喰らってたら頭消し飛んでた』
バルクが目の前の悪魔を睨み付ける。
「貴方が蒼蒼を決めるまで手加減しているのですよ。早くしてください」
トルキが溜め息をついて言う。
「酔っぱらいの喧嘩じゃあるまいし、大振りのパンチはやめたらどうです?モンクとはとても思えません」
「蒼蒼!」
バルクが拳を突きだす。
「残念、外れ!」
トルキが拳を受け止めて捻りあげる。
「うっ!」
バルクが浮き上がる。
「蒼蒼」
トルキがバルクの腹を指で弾く。
蒼い火花が散る。
「ぐふぉっ!」
バルクが血を吐いて吹っ飛んでしまう。
「ドワーッ!」
吹っ飛ばされたバルクがチュンチュンにぶつかる。
「ゼエッゼエッ、悪いな」
「痛た……蒼蒼出ないの?」
「認めたくないがそうらしい。何でなんだ……」
バルクが拳を握りしめる。
トルキが高笑いする。
「フハハハハ!素晴らしい快感だ!蒼蒼を決める度に自分が高まっていく、力が溢れる!」
チュンチュンが血の縄でトルキの部下を縛りあげると、バルクの隣に並んだ。
「……どういうつもりだ」
バルクが尋ねる。
「私も戦う」
「でも……」
「貴方が蒼蒼を決めるチャンスを増やすには数で優位に立たないと」
「そうだな、今はそれしかない」
ブリエッタがバルクの肩に手を置く。
「「……ブリエッタさん!?」」
一瞬の間をおいて、バルクとチュンチュンが驚く。
『全く気配を感じなかった……』
シャルロッテが呆然とする。
「蒼蒼をまだ決めていないようだな?あの悪魔は既に決めているみたいだが」
ブリエッタがバルクに尋ねる。
「何回やっても蒼蒼が出せないんですよ!」
バルクが走り出す。
「蒼蒼!」
バルクのパンチは蒼く光らなかった。
「バカさなら私に圧勝していますよ!」
トルキが腕を振り上げる。
爆風がバルクを吹き飛ばした。
バルクが体勢を立て直してブリエッタの隣に着地する。
「……蒼蒼にこだわる必要があったのか?」
ブリエッタが尋ねる。
「当たり前ですよ!」
バルクが大声を出す。
「そりゃ今は蒼蒼でアガッてないと勝てないだろうが……」
「ブリエッタさんは強いからそう言えるんですよ!」
「あいつ弱いよ」
「……え?」
バルクの目が点になる。
「あいつ弱いよ」
「だから……」
「お前、ギャンブル向いてなさそうだな」
「今関係ありますかそれ?」
トルキがブリエッタに飛び掛かる。
「今話してんだろ、兄ちゃん?」
ブリエッタがトルキを殴り飛ばす。
ブリエッタの拳から蒼い火花が弾ける。
「ぐはあっ!」
トルキがぶっ飛んで地面に転がる。
『なんだ今の威力は!』
トルキの首から血が流れる。
『頭が首から離れそうになった……!回復は問題ないが、次喰らえば死ぬかもしれない』
トルキが立ち上がる。
「す、すげぇ……蒼蒼だ。モンクでもないのに」
バルクが驚く。
「モンク?最初に蒼蒼を経験したのがモンクってだけで魔力があるやつなら才能九割運一割もしくは才能一割運九割で蒼蒼打てるぞ」
ブリエッタの発言にバルクが唖然とする。
「じゃあじゃあ私も蒼蒼打てるの!?」
チュンチュンが愕然としながら尋ねる。
「おう、俺でも打てたし、あの悪魔も打ってたろ」
「確かに……」
二人が押し黙る。
「蒼蒼なんて出そうとすればするほど遠退いていくぞ。自分の出来ることを堅実にやってれば急に拳が光ってDAWN!だ。知らんけど」
ブリエッタが肩をすくめておどける。
「……分かったよ」
バルクが拳に魔力を込める。
その顔は清々しい笑顔に満ちている。
「蒼蒼のことは一旦忘れる。モンクの戦いかたをあいつに叩き込んでやる!」
「俺も手伝うぜ、あのドラゴンの息の根はとっくの前に止めてるから心配はいらない」
ブリエッタが棍棒を構える。
チュンチュンも見様見真似で拳に魔力を込める。
「クハハハハ!蒼蒼を出さないと私を殺すことは出来ないと分かっているくせに」
トルキが高笑いしながら蒼く光る魔力を迸らせる。
⭐⭐⭐
ゲーミング殴り合い、開始




