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引退した世界最強冒険者、もう一度世界を救う~ツンデレ女冒険者と獣人奴隷と穏やかな生活を取り戻す~  作者: 大和煮の甘辛炒め
終章 魔王討伐へ

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戦線設置

 「うう、ケラスターゼ……」

小一時間泣いているイザベラをパンタロンが慰める。

「泣いたってしょうがないだろ……気持ちは分かるがな」

行方不明者の捜索を手伝っているチュンチュンが瓦礫を軽々と持ち上げる。

「スゲーな、ちびっ子!」

パンタロンが褒める。

「チュンチュンだ!何回言わせるのよ」

チュンチュンが口を尖らす。

「そういや、お前魔王のとこに戻らないのか?お前魔族だろ?」

「えー、レグルスと一緒にいた方が楽しいしー」

チュンチュンが瓦礫を放り投げブラッドカッターで切り刻む。

「すげえ威力だな」

「うん、こんなのおいそれと放てないわ」

チュンチュンがこちらに歩いてくる。

「眠い、寝るとこないの?」

「私のところ来る?」

イザベラが泣きながら言う。

「え、あ、ありがとう……」

チュンチュンが若干引きながら言う。

「お前達、アスフェン達を呼んでくるからちょっと待ってろ」

パンタロンがアンデラートに入っていく。


⭐⭐⭐

二日後。

アスフェン達はまたアンデラートに呼ばれることになった。

馬車に乗ってガタガタになった道路を走る。

「今度は何ですかね。まさか賠償金とか」

アリスが真っ青になる。

アスフェンは何も言わない。

ほどなく、馬車はアンデラートに到着した。

早速パンタロンとブリエッタが出迎えた。

「突然すまんな」

「いや、良い。それより用件は?」

アスフェンが尋ねる。

「国王がお前に会いたいって言ってるんだ。今すぐ」

ブリエッタが言う。

「国王?」

「ああ、取り敢えず会ってくれ」

「分かった」

アスフェン達がアンデラートに入った瞬間、誰かが駆け寄ってきた。

「そなたらが魔術師を倒した冒険者か!?」

王冠をかぶった女性が尋ねる。

「え、ええそうですが」

「わらわがオベリスクの女王、ボーデッサン・グリムフォルムである!控えおろう!」

ボーデッサンがビシッとポーズを決める。

「うおおー!マブシイィ!さすが姉貴!」

パンタロンが姉に乗っかる。

『アホだコイツら……』

アスフェンが呆れる。

「こんなんだが、一応女王なんだよ」

ブリエッタが囁く。

「なんなんだコイツら……」

「そなたらも知っているだろう?人魔戦線の構築」

「……なんだそれ」

「昨日の夜、悪魔が訪ねてきたのよ」

「何で教えてくれなかったんですか」

「だってわらわの趣味にドストライクな男の子だったもの~」

『お前ぶっ殺すぞ』

アスフェンが険悪になっていく。

「落ち着けアスフェン」

ブリエッタが慌てて顔を揉みほぐす。

「そんな冗談は置いとくわ。私も何故あなたを呼ばなかったのか覚えてないの」

ボーデッサンが言う。

『錯乱魔法か、悪魔の十八番だな』

「その悪魔はなんと?」

アスフェンが尋ねる。

「えっとねぇ、旧魔王領とオベリスクとの間にある古代都市だったかしら、そこに戦線を設置した。世界を明け渡す気が無いのなら戦線を越えて俺を殺しにこい、とかほざいてたわ」

「古代都市、フェルムポートか……」

「ええ、戦力の編成はもう始めてるわ。カルテット王国の騎士団、我が国の機甲兵団、エルフ族の魔術師集団が集まってる。他の国の猛者達も既にこの国に向かっているそうだ」

「それで、俺達もそこで魔王軍と闘えば良いのか?」

「いいえ」

ボーデッサンが首を振る。

「じゃあ俺達は何をすれば?」

アスフェンが困惑する。

「あなた達に魔王を直接叩いてほしい」

ボーデッサンの言葉に一同が息を飲む。

「は?魔王を?」

アリスが驚く。

「あなた達ぐらいなのよ、魔王と渡り合えそうなのは。あなたもよ、パンタロン」

「え!俺もかよ、勘弁してくれよ姉貴……」

パンタロンが溜め息をつく。

「準備が整ったらすぐに侵攻する。有無は言わさんぞ。分かったなら戻れ」

ボーデッサンがその場を立ち去る。

「いきなり怖い……」

チュンチュンが怯える。

「とんでもない大役を任されちまったな」

ブリエッタが苦笑いする。


⭐⭐⭐

三日後、ボーデッサンの言っていた猛者達が到着し、侵攻への準備は着々と進んでいった。




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