カンティーナ事変終結
魔王と魔人、サルプルモギの戦闘、アスフェン達とフュートレックの戦闘は終わりを迎えた。
カンティーナ東部は壊滅、アンデラートもかなりの被害を受けた。
避難民も怪我を負った者が多数出てきた。
バーミックスとユスナもそのうちである。
「これからどーするんだ、アスフェン?」
パンタロンがアスフェンに尋ねる。
「どーするって……フュートレックの墓建てて、チュンチュン達に治療受けさせて……医務室使えないよな」
アスフェンがボロボロのアンデラートを見上げる。
「そうだよなぁ、ぶっ壊れてるよなぁ」
パンタロンも隣に立ってアンデラートを見上げる。
レグルスが二人のもとへ走ってくる。
「アスフェンさん、イザベラさんとブリエッタさんが来てますよ」
⭐⭐⭐
「あなた様の帰還を心待ちにしておりました」
カマルが跪いて魔王を迎える。
魔王も出立ちをかえ、ゆったりした浴衣のような服に着替えている。
「ちっ、胸が邪魔だ。貴様にくれてやりたいものだ」
魔王が自分の胸を鷲掴みにする。
「今回の元の身体の持ち主は娼婦だったのでしょう」
「随分お楽しみな身体だな」
二人が好き勝手言いながら『玉座の間』に入る。
「おかえりなさいませ、魔王様!」
大きな声が魔王を迎え入れる。
『見知らぬ顔ばかりだな。やはりカマル以外は全滅か。そういえば、あの吸血鬼の娘、何故俺についてこようとしなかったのだ?』
魔王がかつての幹部の子供達を眺める。
魔王が玉座に座る。
「長らく待たせたな」
全員が跪く。
「俺は貴様らの名前を知らん。名乗れ」
幹部たちが一人ずつ名乗っていく。
「トルキ・バーリントン、種族は悪魔です」
「おお、ヴェルクの息子か」
「ええ!」
「期待しているぞ、次」
「キュール・オブリビオン、龍人ですわ」
「貴様はサコデントの娘だな、次」
「ペラコント・テレンス、エルフ族の出です」
「エルフ?貴様は新入りか」
「はい、お役に立てることを保証致します」
「ふん、まあ良い」
「そして最後」
「はい!ココル・ハッピーレバスバットです!歳は十八歳、好きなものは魔王様、好きなことは魔王様の絵を描くこと、将来の夢は魔王様と結婚して子供を産むことです!あ、種族は堕天です!」
「はあ、親の要らんとこも受け継ぎおって……」
魔王がため息をつく。
「失望させてしまった~!」
ココルが嘆く。
「言葉遣いに気を付けなさい、ココル」
カマルがココルをたしなめる。
「貴様ら、世界を滅ぼす覚悟はできているか?」
魔王が尋ねる。
「勿論ですとも」
トルキが頷く。
他の者もウンウンと頷く。
「お前達は何が待ち構えているか知らない。ここにいるカマルですら殺しかける人間がいる。貴様らはそいつらと闘い、生き延び、俺の役に立つことが出来るのか?」
幹部達が黙り込む。
「ふん、まあ貴様らは雑魚を相手していればよい」
魔王が残忍な笑みを浮かべる。
「強者どもは俺がまとめて相手してやる」
⭐⭐⭐
「ヴェスレイ、災難だったみたいね」
イザベラが瓦礫に腰掛けているアスフェンの隣に座る。
「パンタロンがいて本当に良かったわ」
イザベラが瓶を取り出す。
中に青く光る液体が入っている。
「完全回復薬よ。パンタロンが国王に頼んで融通してもらったらしいわ。お陰でアリス達の傷は全回復、避難民達の治療も進んでるわ」
「そうか、てかパンタロンと知り合いなのか?」
「ええ、昔お世話になったの。あの人がいなきゃあなた以外皆死んでたかもね」
「ふーん、あ、ブリエッタも来てるんだろ?」
「『並なる均一世界』のアジトを見に行くとか言ってたけど、なにそれ?」
「いや、知らなくていい」
「そう、分かったわ」
イザベラが立ち上がる。
「今日泊まるところあるの?」
「ここに泊まる予定だが……」
「へぇー泊まるところないんだ」
「え、いやここに……」
「私の部屋に来なよ」
イザベラの目が妖しく光る。
「お前なぁ」
「私一人じゃ部屋が広すぎるんだよ。皆を連れてきな。ケラスターゼとレグルスとアリスとあの吸血鬼の女の子とお風呂入って背中流してやるんだ」
アスフェンがおかしな表情をする。
「どした?」
イザベラが尋ねる。
「そっか、お前聞いてないのか」
「何が?」
「魔王が……」
「それは聞いたわよ、魔王が人間を依代に復活したんでしょ」
「それケラスターゼなんだ」
イザベラが固まる。
「え、ケラスターゼが……魔王?は、はは」
イザベラが泡を吹いてぶっ倒れる。
「……そうなるわな」
パンタロンがやってきて泡を吹いて倒れているイザベラを見て呆れる。
「ったく、忙しい時に何やってんだ、じゃじゃ馬娘め」




