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引退した世界最強冒険者、もう一度世界を救う~ツンデレ女冒険者と獣人奴隷と穏やかな生活を取り戻す~  作者: 大和煮の甘辛炒め
三章 人魔戦線

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カンティーナ事変(9)

 なにかがぶつかる音が響き渡る。

魔王の高笑いも響き渡る。

ビル郡が切り裂かれていく。

化け物と魔王が目にも止まらない攻防を繰り広げる。

二人がビルに突っ込む。

化け物がラッシュを繰り出す。

魔王がそれを受け止める。

あまりの衝撃にビルが崩れ出す。

魔王も攻撃の間を縫って斬撃を放つ。

ビルが完全に崩れる。

魔王が化け物を蹴り飛ばし、『(ラオフー)』を放つ。

無数の斬撃が化け物をバラバラにする。

トドメと言わんばかりの斬撃が繰り出される。

「『(ロン)』」

再生を始めた化け物の身体を、へばりついた建物ごと切断する。

「あの鐘の音は聞こえるのか……?」

魔王が信号機に座りながら待つ。

鐘の音が響き渡った。

巨大な塔がグラリと傾く。

化け物が塔を振り回し、魔王に向けてぶん投げる。

魔王は避けもせず飛んできた塔に指を向ける。

一瞬で塔が瓦礫に姿を変える。

瓦礫が降り注ぎ街に傷をつける。

瓦礫を足掛かりにして化け物が猛スピードで近付いていく。

魔王が『(ラオフー)』で両断しようとしたが、表面に傷がつくだけだった。

『ん?』

魔王が眉をひそめる。

化け物が地面に突っ込み地面にクレーターができた。

魔王が隣のビルに飛び移って駆け上がる。

化け物も追う。

魔王がチラリと振り返る。

『どうしたものか、斬撃の効きが悪くなったようだ』

化け物が足元に迫る。

「フハハ!」

魔王が無数の斬撃を化け物に浴びせる。

化け物が下に落ちていく。

『あぁ、思い出した。サルプルモギの能力……!』

鐘の音が響き、化け物の傷が再生する。

魔王が不敵な笑みを浮かべる。

『こいつの能力は全事象の上書き!理不尽極まる最強の能力!』

化け物が飛び上がり魔王に手を伸ばす。

『倒し方はただ一つ……』

化け物が半透明な結界に包まれる。

ビル郡が一瞬で細切れにされる。

魔王が張った結界の中は彼自身の魔力で満たされている。

魔力を斬撃に変換し、化け物に絶え間なく浴びせる。

この技はクローバーがアスフェンに対して使った手の攻撃と原理は同じであるが、魔王の場合は結界を閉じずとも魔力で空間を満たすことができる。

長い歴史のなかで誰一人として成し得なかった神業、それを成し得た元人間。

それこそが魔王が魔王足る所以である。

しかし、今回は『(ラオフー)』と『(ロン)』が実質無効化されていること、魔王の仮初の肉体の強度等を鑑みて結界を閉じる判断を下した。

いま化け物に『(ラオフー)』『(ロン)』そして新たに『(グェイ)』と『(シャー)』の四種の斬撃が浴びせられている。

この化け物の唯一の破り方、初見の技にて上書きされる前に屠る。

しかし、無情に鐘は鳴り響く。

化け物、サルプルモギの再生が終わろうとしていた。

化け物が魔王の方に歩いていく。

周りを飛び交う瓦礫が赤く光って熔け出す。

魔王から膨大な熱が放たれている。

弓の如く構え、焔を引く。


「『朱雀(チューチェ)』」


焔の矢がはぜる。

全てが灰になる。

火柱が立ち上る。

それもヨアンの時とは比べ物にならない程の火柱が。

この攻撃によってカンティーナ東部の半分が更地になった。

あの化け物は塵一つ残さず消え去った。

「さて、終わったな」

魔王が飛行魔法で飛び上がる。

そのままかつての居城に飛んで行く。

『肉体を再構築せねばな、身体が壊れかけた。復元魔法が使用できなかったら死んでいたな』




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