カンティーナ事変(8)
主人公が一切出てきていないことに気付きましたw
次の次の話で主人公サイドに戻ります
アンデラートの前にいくつも車両が止まり、避難民がワラワラと降りてくる。
「さっきの炎見たか?」
バーミックスがユスナに話しかける。
「うん……何が暴れてるのかしら」
ユスナが不安そうに立ち上る煙を眺める。
「魔人同士の戦闘なんて教科書でしか見たことないぞ」
「生徒達も怯えているわ。上級生に手伝ってもらいたいことが山ほどあるのに……」
「教員がフルで働いてこれだからな。『機甲兵団』はここの守りの要だ。手伝わせるわけにはいかんし……」
地面がグラリと揺れる。
「ひっ!」
ユスナが悲鳴を上げる。
避難民がパニックを引き起こす。
「落ち着いて!くそっ、次はなんだ!」
バーミックスが悪態をつく。
⭐⭐⭐
魔王とカマルの表情が険しくなる。
「……この気配」
「気付いたか、カマル」
魔王が首を鳴らす。
「先に俺の城に戻っていろ。残っているよな?」
「かなり破壊されていますが」
「ちっ、忌々しい勇者め」
「魔族一堂、あなた様の帰還を心待ちにしておりますので」
「うむ、ゆけ」
「はっ」
カマルが消える。
「……全く、地面を掘ってくるとは思わんぞ」
魔王が飛び上がる。
魔王の真下から真っ黒い化物が地面を突き破って飛び出してきた。
化物がドシンと着地して魔王の方を振り返る。
「こいつ……どこかで戦ったような……?」
魔王が目の前に仁王立ちしている黒い化物を見定める。
黒い化物が音もなく魔王に近付いて右手を振り上げる。
魔王が咄嗟に腕でガードする。
衝撃波が走り、地面がひび割れる。
『その剣は……!』
化物の手に握られている剣が淡く光る。
魔王が化物を蹴り飛ばす。
化物が建物に突っ込む。
『今の剣、強力な聖霊力を発していた。魔族特化の剣か、前の身体であったならばさっきの一撃で再起不能になっていたな』
魔王が構える。
化物が悠然と歩いてくる。
「『サルプルモギ』だったか?」
魔王が尋ねる。
化物は答えない。
『肝心の能力が思い出せんな……まあ良い』
魔王が指を払う。
「『虎』」
三本の斬撃が化物を切り裂き、剣を破壊した。
しかし化物は何事も無かったかのように魔王に迫る。
「やるか!」
化物が拳を合わせて振り下ろす。
魔王は拳と身体の間をすり抜けた。
そして化物の拳を軸に逆立ちしながら回し蹴りを叩き込む。
化物がぶっ飛ぶ。
化物が吹っ飛びながら身体を膨らます。
「ふっ、上手い」
魔王が笑う。
「ゴオオンン!」
化物が空気を爆発的な勢いで吐き出す。
魔王も吹っ飛ばされる。
ビルの窓に着地した魔王に化物が追撃を仕掛ける。
化物のパンチをバク転しながら避けて上に登っていく。
化物も追いかける。
魔王が飛び上がって掌から縄を引きずり出す。
「ふっ」
魔王を追って飛び上がった化物に縄を巻き付けて振り回す。
それを別のビルにぶつけて『虎』
で切り裂く。
ビルに爪痕のような傷がつく。
「やったか?」
魔王が様子を伺う。
その時、鐘の鳴り響く音が響き渡った。
「……何かしたな?」
壁に空いた穴から化物が出てくる。
傷一つついていない。
「思ったより厄介そうだな」
魔王が愉しそうに言う。




