暗黒剣士ダリル・ファブロ
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「……行っちゃいましたね……」
受付の女の子が頭を掻きながら馬車に戻る。
「どこ行くの?」
ケラスターゼが受付の腕を掴む。
「どこって、馬車ですよ。あの二人ならウォミェイさん達を何事もなく……」
あたりが黒い靄に包まれる。
「……!総員、臨戦態勢をとれ!」
ギルドマスターが全員に指示をだす。
靄の向こうから誰かが歩いてきた。
「騎士か?」
漆黒の鎧に身を包んだ騎士が漆黒の剣を抜き払う。
「来るぞ!」
ギルドマスターが叫ぶ。
次の瞬間、ギルドマスターと近くに居た冒険者が切り裂かれた。
「マスター!」
アダマスがギルドマスターに駆け寄る。
「すぐヒールしますから」
「皆、アダマスと他の怪我人の援護を!」
ケラスターゼの指示に皆が頷く。
「……貴様らに構っている暇はないんだ」
漆黒の騎士が近づいてくる。
ケラスターゼが対峙する。
「名を名乗れ、名乗らなければ斬る」
漆黒の騎士がため息をつく。
「貴様にそんな実力は無いだろう……我が名は暗黒剣士ダリル・ファブロである。名だけは教えてやる、冥土の土産ってやつだな」
ダリルがケラスターゼに迫る。
「くっ!」
ダリルの刃をケラスターゼが弾いた。
「思ったよりやるではないか」
ダリルが技を繰り出す。
「喰らうがいい、『黒霧万斬』」
ダリルから発生した黒い靄が刃となってケラスターゼに襲いかかる。
「なんの!」
ケラスターゼは確実に一つずつ弾いていく。
「ケラスターゼ様、援護します!」
取り巻きの一人がケラスターゼに身体強化魔法をかける。
「ありがとう!」
ケラスターゼがダリルに斬りかかる。
「はあっ!」
近付いたり離れたりしながらケラスターゼとダリルの刃が火花を散らす。
ダリルが縦横無尽に動き回ってケラスターゼを翻弄する。
「くっ、まだだ」
ケラスターゼはなにかを待っているようだ。
「もういいだろう、終わりだ」
ダリルの剣に、黒い靄が集まっていく。
「さらばだ、『クーロン・ベネフィーク』」
黒い龍が大口を開けてケラスターゼに襲いかかる。
ケラスターゼの目が妖しく光る。
「『絶対反撃』!」
一日一回だけ、敵の攻撃を最大威力で弾き返すことが出来る『絶対反撃』によって、ダリルの『クーロン・ベネフィーク』
がダリルに襲いかかる。
ダリルは為す統べなく首を跳ばされる。
「殺った!ダルメス!」
ケラスターゼが身体強化魔法をかけてくれた取り巻きを呼ぶ。
「『セイクリッド・ライトニング』」
聖なる力をはらんだ雷が降り注ぐが、ダリルはさっと飛び起き、頭を掴んで避けた。
「なっ、首を落としたのに!」
ケラスターゼ達が驚愕する。
『首を落としても生きてるなんて……どうやって致命傷を与えれば』
ケラスターゼが極度の焦りを見せる。
それをダリルは見逃さなかった。
「私はデュラハンだ、頭と身体の着脱は任意で出来る。それを抜いても、自分の技でやられる訳が無いだろう?」
ダリルがケラスターゼの後ろに回り込む。
「魔族の情報が広まっていなくて本当に良かったよ。終わったァ!」
ダリルの剣がケラスターゼに迫る。
『駄目だ、援護に入れる人は誰もいない、私も避けられないだろう。詰みか……』
その時、ものすごい勢いで細い棒がダリルに激突した。
「な、なんだ!」
ダリルがぶっ飛ぶ。
「おーおー、なんだってこんなところにデュラハンがいるんだぁ?」
「やっぱりアイツか」
アスフェンとブリエッタがウォミェイ達を抱えて入口から出てきていた。
「あ、アスフェン……」
ケラスターゼが涙目でアスフェンを見る。
「なんか被害大きくなってないか?」
「ギルドマスターがやられてんぞ、鍛え直してやらんとな」
「やめとけやめとけ」
ダリルが起き上がる。
「貴様は……アスフェンとブリエッタ!」
「親父から俺たちのことは聞いてるみたいだな、ガキンチョ」
アスフェンとブリエッタが武器を構える。
「母の仇、ここで討つ!」
ダリルが叫ぶ。
その頭は既にアスフェンに握られている。
「え、え、やめてよそれズルじゃん!」
ダリルが悲痛な声をあげる。
「こいつ母とおんなじこと言ってるな」
ブリエッタが笑う。
「なあ、ブリエッタ、野球って覚えてるか?」
アスフェンがダリルの頭をブリエッタに投げる。
「ああ覚えてるぜ!九回裏の駆け引きが……」
ブリエッタが棍棒を振り抜く。
「手に汗握るらしいなぁ!」
天高く吹っ飛んだダリルの頭が雲を切り裂く。
割れた雲から太陽が顔を覗かせる。
「倒しかたも昔と同じだな」
ブリエッタが彼方を見据える。
「ウォミェイ達の怪我は深くない。さっさと撤退するぞ」
アスフェンがダリルの身体をバラバラに解体して地面に埋める。
「封印するまでもないか」
そう言ってアスフェンが漆黒の剣を指差す。
「欲しい奴はあれ持ってって良いぞ」
「私が貰うわ」
ケラスターゼが漆黒の剣を持ち上げる。
「緊急クエストは解決です、皆さんお疲れさまでした!」
受付が皆を労う。
ケラスターゼが何か言いたげにアスフェンを見ていた。
「アイツも頑張ったみたいだし、今夜は付き合ってやれよ」
ブリエッタがアスフェンを肘でつつく。
「仕方ねぇな、てか全く魚釣れなかったんだけど、なんでか分かるか?」
「うーん、あれはなぁ」
二人は他愛ない話をしながら歩きだした。




