乱入者
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「さっきなんかしたみたいだけど、私には通用しないからな」
シャルロッテが剣を構える。
「さあな」
アスフェンも肉包丁を構える。
「試合始めっ!」
審判が叫ぶ。
「うおりゃぁぁ!」
シャルロッテが鋭い突きを繰り出す。
アスフェンはそれを難なくかわす。
「受けるのが怖いかぁ!あぁ?」
「いちいちうるさいな……」
アスフェンの肉包丁がシャルロッテの顔面に迫る。
『え?何が起きてるの?弾かれた?』
シャルロッテが混乱する。
『やば、やられる』
その時、入口から大量の魔物が壁を突き破って飛び出してきた。
「なんだありゃあ」
シャルロッテが驚く。
アスフェンが魔物を全て切り刻む。
「ここにいるやつは、全員逃げろ!」
アスフェンが会場中に響き渡るほどの声で叫ぶ。
「なんだあの魔獣、見たことないぞ」
ブリエッタが拝聴席まで駆け上がる。
「陛下、早くお逃げ下さい!」
「あれ、サプライズじゃないの?」
「アスフェンがヤバいと判断しました。急いで!」
衛兵が国王夫妻を連れ出す。
観客たちが慌てて逃げ出す。
「落ち着いて逃げろー!焦るんじゃねえぞぉー!」
キュービックが指示をだす。
「ちっ、誰だ!」
シャルロッテが土煙の中を歩く二つの人影に怒鳴る。
「さっきの魔獣、A級でギリギリ勝てるレベルだぞ」
アスフェンが肉包丁を構える。
「私達はA級冒険者だぞ?余裕だろ」
「そのA級魔獣を操っている男には勝てんだろう?」
煙の中からフードを被った男とクアルトが歩いてきた。
「ジジイ、どういう真似だ」
「……ウリョォォォォ」
クアルトが醜く変貌していく。
「頭巾野郎、お前が」
シャルロッテが剣でフードの男を指し示す。「いかにも、我は魔王軍幹部ヘマタイト・スーヴェニアの息子、ラツィオ・スーヴェニア!アスフェン、父の仇をとらせてもらうぞ!」
『ま、魔族!うそだろ、今までの冒険者人生で魔族と出会ったことなんて無かったぞ』
シャルロッテが冷や汗を流してアスフェンを見る。
『このオッサン、魔族とやりあったことがあるのか?何者なんだ』
「師匠、手伝います」
「観客の避難はブリエッタさんがやってくれてます」
ケラスターゼとアリスが隣に立つ。
「クフフ、何人来たって同じことよ」
ラツィオがアスフェンの間合いに入った。
ラツィオの拳をアスフェンが受け止める。
「強っ!」
アスフェンが吹っ飛ぶ。
「師匠が吹っ飛ばされた!?」
アリスが驚く。
『見えなかった……』
シャルロッテが震える。
「お前達はこいつと遊んでいろ」
ラツィオが大きな狼を召喚した。
身体の至るところから人の顔が突きだし、呻き声をあげている。
「行くよ、ケラスターゼ、シャルロッテ!」
アリス達が狼に立ち向かう。
「どうだ、アスフェン?ダリルとは大違いだろう」
二人の動きの衝撃波が地面を砕く。
「この国のクソカスどもを何百人、何千人も取り込んだからなあ、そりゃ強くなるよなあ!」
ラツィオが腕から何かを噴射した。
アスフェンがそれを弾く。
『固い……放射物が刃物に変わった』
「まだまだ!」
地面から巨大な人面芋虫がアスフェンを呑み込まんと突き上げる。
「なんだこれ」
アスフェンが芋虫を輪切りにしてラツィオの方へ蹴り飛ばす。
「さすがは英雄!」
ラツィオが輪切りを足掛かりにして空中のアスフェンとの距離を詰める。
アスフェンがラツィオの腕を掴んで上に上がる。
そのままラツィオを蹴り落とす。
「ぐっ!」
ラツィオが地面に叩きつけられる。
アスフェンが空気を蹴って急降下する。
「それっ!」
ラツィオがまた人面芋虫を召喚する。
「邪魔だ」
芋虫が細切れになる。
ラツィオがバク転しながらアスフェンの攻撃を避ける。
「はあっ、はあっ、スリル満点だな」
ラツィオが息を切らす。
『あんだけ動いて息切れ一つしてないだと?大体、さっきの急降下はどうやったんだ?』
アスフェンが服のホコリを払う。
「お前の動きは全部見切った。勝ち筋は全部切れたぞ」
アスフェンが言い放つ。
「……いーや、まだ残ってるね」
ラツィオが両手を広げる。
『ハッタリかましてよかった。あとはそれを弾くだけだな』
アスフェンが肉包丁を構える。
「我が最強にして最高の魔砲を見せてやろう」
ラツィオの前に白黒の渦が浮かび上がる。
『取り込んだ人間の喜び悲しみ怒り憎悪嫉妬全部混ぜてぶちこんでやる』
ラツィオのスキルは『ネクロマンス』。
人間ならどんな改造でも可能になり、その範囲は感情にまで及ぶ。
ケラスターゼ達と戦っていた狼が渦に吸収される。
「お前が勝つか我が勝つか、今わかる」
渦が小さくなる。
アスフェンが踏ん張る。




