人造魔人ヨアン
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ケラスターゼが剣を構える。
その姿はボロボロだ。
「はあっ、はあっ。なんなんだこいつ……」
煙の中から少女が出てきた。
「弱すぎ~、大丈夫?」
少女が煽る。
「ぐっ、黙れ食い逃げ野郎!」
「食い逃げって、お金無いんだから仕方ないでしょ」
少女が口を尖らす。
「それにあたしはあんたと違って強いから。なにしても捩じ伏せられるから」
少女の言葉にひんやりした雰囲気が感じられる。
ケラスターゼが硬直する。
『殺気がヤバい!このまま殺られる、早く動け、私!』
ケラスターゼの頬を汗が伝う。
「あたしヨアン。魔人よ」
ヨアンの身体に鎧が装着される。
と同時に彼女の身体つきが大人になる。
手には剣が握られている。
「その剣……人間が扱えるものじゃないはず……」
ヨアンがケラスターゼが握っている剣を見て呟く。
「ねえ、ここら辺で魔人見なかった?」
「……目の前にいる」
「そうじゃなくて、私以外の魔人よ」
「あの赤い髪の奴か」
「うふ、そのとうり。あなたが殺した……とは思えないけど……」
ヨアンがケラスターゼの顔をつかんで地面に叩きつける。
「お前が殺したんじゃ無いだろうな」
「うぐ、違う……」
「じゃあ誰がやったんだ。正直に答えないなら、私の人差し指がお前の額を貫くぞ」
ヨアンの指がケラスターゼの額に置かれる。
「そいつを……やったのは……」
ケラスターゼが笑いながら言う。
「英雄だよ!」
横から誰かが飛び込んできた。
アスフェンが蹴りをぶちこむ。
「なんてパワーだ……!」
ヨアンが腕を交差してガードしたが耐えきれず吹っ飛んだ。
「お前は俺をストレスで剥げさせる気か」
アスフェンがケラスターゼを睨む。
「ご、ごめんなさい」
「お前だな、クーティを殺したのは」
ヨアンがアスフェンに尋ねる。
「クーティ?あー、あの人造魔人とか言う奴か」
アスフェンが頷く。
「俺が倒した」
「そうか……ん?」
ヨアンの意識が遅れてやってきたアリスたちに向く。
『アリス・サイファー!こいつ、アリスと知り合いなのか、ならこの強さにも納得が行く』
「師匠、助太刀します!」
アリスが剣を抜いてアスフェンの隣に立つ。
「いや、剣貸してくれるだけでいいから」
「ガーン、私足手まといですかァ~!」
「イエスイエス」
「オーマイガ~!」
『師匠!?創造主が危険視している人間の師匠だと?こいつ、どんな化け物なんだ?』
ヨアンがアスフェンに対する警戒を強める。
アスフェンからひしひしと威圧が伝わってくる。
「お前」
アスフェンがヨアンに話しかける。
ヨアンが身構える。
「お前も人造魔人か?まさか、あの魔人の敵討ちなんて言わないよな」
「そのまさか。同士の無念は晴らさないと」
ヨアンが剣を振り下ろす。
「クラッシュクエイク!」
衝撃波が発生する。
アスフェンがケラスターゼを担いで飛び上がる。
「ふ、また来るぞ」
ヨアンがどこかへ転移される。
「……逃げたか」
アスフェンが呟く。
「もう諦めよ、色々……」