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お荷物事情

飛行機初心者だから!

何も知らないから!

 ところで、飛行機を使っての旅行と言われて、読者の皆々様はどんな光景を思い浮かべるだろうか?


 飛行場を眺めるカップルが並ぶ屋上。広々とした休憩所(ラウンジ)。あるいは飛行機の時間に遅れそうだと慌てて走る人や、人一人くらいすっぽり入るような大きなキャリーケース。




 私の思い込み1:飛行機に乗る人はみんなキャリーケースを持っているものだ




 たくさんの荷物を入れたキャリーケースを引っ張りながら、空港を闊歩(かっぽ)する人々。私がテレビで見てイメージしていた乗客とはそんな感じであった。


 なので、私はイカしたキャリーケースを購入するのが楽しみだったのだが、「使わないキャリーケースを貸してあげる」と同行者一家に言われて断念した。この一家は旅行好きで、一人一個以上のキャリーケースが家にあるのを見たことがある。


 ビザ申請の書類に書かれた内容からして、同行者一家のうち二人と同じ飛行機に乗ることはわかっていた。それなら三つのキャリーケースを空港まで運ぶのだと思っていた。


 が、違ったのだ。


「ビザの取得が遅かったから、まだ席が空いていた安い飛行機にしたぞ。その飛行機は、手荷物として持ち主とともに座席に持っていく荷物が一人一つまでだ。それ以外は別料金」


 我が同行者はとにかく説明しない男である。一家で一番日本語が上手いのに、同時に一番国語力がなさそうだ。

 この話を聞き出すのにも、かなり噛み合わないやりとりを重ねて無駄なケンカをしそうになった。


「このキャリーケースは? 君と君のお父さんは?」


「そのキャリーケースは旅行に慣れてないお前のために、別料金を払って確保した分。サービスだ。だから持っていくキャリーケースは一つだけだ。俺たちは座席に持っていくカバンと、このキャリーケースにも荷物を入れる」


「キャリーケースってお金をとるの!? みんな持ってるのに!?(テレビでは)」


「それは今回の飛行機が安いからで、大手の飛行機なら無料だぞ。他にも乗り心地が悪いとか、寒くてもブランケットの貸し出しがなかったりとか、機内食がショボかったりすると思うから覚悟しとけよ」


「……」


 私は良いも悪いも知らないので、落差を感じずに済んでよかったなーとのんきに思った。




 私の思い込み2:キャリーケースは荷物に合わせたサイズにする




 私がおんぶにだっこの……げふんげふん。

 私を招待してくれる一家は、両親と男女の子供が一人ずつというバランスの取れた家族である。


 それぞれのお盆休みがずれているのもあり、私と同行するのは我が同行者たる息子と、父の二人。


 出発前に彼らは国の言葉で何かを調べたり尋ねたり相談したりしていたので、私にはちんぷんかんぷんだったのだが、それでも見ていてなんとなくわかる事柄もある。キャリーケースの大きさを測っているのだ。


 持ち込める荷物は、大きさと重さに制限がある。


 言われてみれば、気が付いてみれば、それはそうだ。飛行機の荷物室が閉まらないほどの物を収納なんてできないし、飛行機が安全に飛ぶための重さも決まっている。


 私は旅行が決まってから、人生で初めてキャリーケースのお店に行ってみた。私の母親が「最近のキャリーケースは昔の物よりパワーアップしててすごいのよー!」と言うので、それならそんなパワーアップキャリーケースたちの中からイカしたキャリーケースを買ってやろうと思っ……てなどいない。我が同行者には「勉強になると思ったから」と言い訳したのだ。欲しいなーなんてそんなこと思ってません。


 同じ柄のサイズ違いが三種類ほど用意されていることが多かった。キャリーケース状の荷物でも、サイズと大きさが問題なければ座席へ持っていけるようなので、荷物に統一感をもたせることもできるようだ。


 お店にきた時点では、あんなに大きなキャリーケースだと重くて運ぶのも大変だろうから、荷物が少なくて済む人に向けて小さいものもあるのだろう、と思っていた。


 が、違う。座席へと持っていける荷物も含め、飛行機ごとに制限されている重さと大きさが違うからなのだ!


 キャリーケースの大きさは、荷物の量に合わせているのではない。飛行機に合わせているのである。


「ところで、これって重量オーバーになるとどうなるの?」


「罰金」


 シンプルな回答だった。


「あと液体の量も決まっているから、多すぎる時はその場で捨てる。罰金とかじゃなくて、決まった量を超えると危ないから持ち込み禁止」


「ん? 重量オーバーの方は、罰金を払えば持ち込んでもいいの?」


「いいよ。ただし罰金は飛行機代より高い」


 万単位の罰金。

 そこまでして持ち込みたい何かなどないので、体重計にキャリーケースを持って乗りながら、何度も計量する一家であった。




 私の思い込み3:買いたてのままのきれいなキャリーケースっていいよね!




 よくなかった。


「このキャリーケースのシールは、旅行先の記念だったりするから剥がさないでくれ」


(ごめん、一度気になってシャワーで水洗いしたときに一枚取っちゃった)


「あと、同じ見た目のキャリーケースもあるから、見分けがつくようにするためでもある」


「キャリーケースは既製品ばかりだからなぁ」


「そして荷物の受け取り場所まで誰よりも早く待ち構えて回収するんだ!」


 なんともせっかちな発想である。


「そんなに慌てなくてもキャリーケースは逃げないよー」


「いや、逃げるんじゃなくて盗まれる」


 ん?


「人のキャリーケースを持って逃げる奴っていうのはいる。盗まれる前に見つけないと終わりだ」


「盗まれるって、盗んだのバレないの?」


「逃げられる前に捕まえられれば、荷物にタグがついてるので白黒つけられる。けど、空港から出られたらもう取り返せないから気を付けろ!」


 せっかちな話ではなかった。

 ぴかぴかの買ったばかりの無個性キャリーケースは自分の物とわかりにくいのだ。


 海外って怖い……。

荷物につけられている識別用のタグは紙でできているので、

毟られて捨てられたりするとなおさら大変だよ!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 大変勉強になりますが、私の様な臆病者(面倒くさがり)には、この時点で『断念』の二文字が脳裏に浮かびます。(笑) 「そこまでして外国旅行しなくてもさぁ~~」 そんな事を宣う別の自分は確かに存…
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