Case.6 東大一直線
ここで間違えないのよね?隠れ家的すぎてよくわからない。間違ってよその人のうちだったら恥ずかしい。
「「いらっしゃいませー」」
合ってた。それにしてもキラッキラのイケメン。彼らならこの世の『イケメンに限る』ってやつが全部適用されるんだろうなぁ。
「ご注文はお決まりでしょうか?」
「あ、えーと。カフェラテをそれでラテアートはドロップでお願いします」
「ではしばらくお待ちください」
―――2時間後
待ったけど、仕方ないよね。だって混んでるんだもん。ほぼ女性客。皆さまよくここがわかったなぁ。
「で、ご用件は?」
「えーと、言いにくいんですけど――」
聡「両親に虐待されてるのでは?初めまして。長男の聡です。医者をしてます」
「はい。そうなんです」
尊「具体的には?」
「家事一切全部わたしがやってます。生活費は一応家に入ってますけどカツカツで……」
聡「尚且つ、暴力というわけですか?」
「そうです」
尊「こちらでも一応調査をするので、また1週間後にここに来てください。それまでは我慢をしてください」
「わかりました」
尊「キャサリーン、頼むわー」
「そんな親がいるのねぇ。まぁ、うちの店の子も結構そんな目にあった子が多いけど。調査も早
く終わらせるワ。」
―――1週間後
尊「調査の結果、貴女のおっしゃる通り虐待が認められました。家事全般を貴女が請け負っていました。強制的に。歯向かうと暴力です。生活費について、一人暮らしのような金額を入金していました。これでは満足な生活は無理です。
お父上は仕事をしていないようでしたね」
「はい。以前は仕事をしていたんですけど。何故か酒に溺れるようになったんです」
尊「お父上は芸術家?のような仕事をしていたようで。知人がお父上の作品を盗作した上に名誉ある賞を受賞。お父上の作品で名を挙げたことが酒に溺れるようになった原因では?」
「そうですね。知人って私なんですけど。同じモチーフで絵を描いただけなんですけど?」
尊「お父上としては手放しでは喜べなかったんでしょうね。では、お命の対価として貴女には東大に入学してもらいます」
「え?私の偏差値で今からじゃ無理ですよ(笑)。あと半年……」
尊「やってもらいます。講師はそこの瀬蓮に頼みます。瀬蓮!」
「わかりました。彼女を東大に入れればいいのですね?」
聡「彼は僕ら兄弟の家庭教師をした優秀な人材だよ」
「お褒めにあずかり光栄です」
「「「では、“お命頂戴致します”」」」
尊「彼女、大丈夫かねぇ?」
聡「瀬蓮がついてる。瀬蓮が仕事でミスをするか?」
尊「だよな」
悟「俺の時もかなりのスパルタだったー」
尊「彼女はあと数か月だし、かなりのスパルタだろうね」
悟「どこで勉強してるの?」
尊「瀬蓮任せだからわからん。自宅ではないでしょう。両親が邪魔だ」
~その後の依頼人
尊「彼女は無事東大に入学しました。瀬蓮、ご苦労様」
「仕事ですから」
尊「彼女はその後、一人暮らしを始めた。もちろん両親は猛反対したけど、瀬蓮の部下も説得に参加しました。彼女は元々一人で生活するスキルがあるから一人でも平気。両親は今、地獄を見てるよ」
悟「だろうね。まず、ゴミの分別から覚えないとね」
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