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天然少女アメリアちゃん

「そういうことだよボウズ。あとこれからはアメリアみたいに私のことは師匠と呼びな。ボウズの口から『先王妃様』なんて言われた日にゃぁ、背筋が痒くてしょうがない。師匠って呼ばれるのも好きじゃぁないが、この子らに言われ続けていい加減慣れて来ちまった」


「わかりません、どういうことですか師匠」


訳が分からない僕が、すぐさま異義を唱える。


「ん~、面倒だ。アメリア!」

「はい!」

「あんたが説明をし」

「わかりました!!」


ん?さっき僕の事初めて知った感じだったけど、どういうこと?一体僕の何を知ってるの?


「えっとですねぇ、2年に一度『王国の剣』に挑戦できる期間があるんですよ!腕に自身のある人が、現在の『王国の剣』に挑むんです!私達はその『王国の剣』に、強くなる為に師匠に稽古をつけてもらってるんですよ!!」


何が説明されたのか、よくわからない。そもそも『王国の剣』って?

なんだか国で一番強い人につけられてる称号だろう、というのは薄々感じるけど、それをどうしてこんな女の子や僕が目指すんだろう?


「うん、よくできたねアメリア」


「はい!師匠!!」


得意げなアメリア嬢を、師匠が頭をなでてほめている。

本当に『祖母』と『孫』か?いや『主人』と『ペット』にも見えてくる。


二人からはよくできた感を出してきていたので、このまま終わりにしてはおけない。

いま聞かないと後で聞いても「教えただろう?」っていって教えてくれないかもしれないので、今の疑問はすべて聞いておこう。


「はい師匠!まったくわかりません!『王国の剣』って何ですか?」


すでに終わったと思っていた二人は、きょとんとして僕を見る。


「そんなことも知らないんですか?『王国の剣』は国を代表する剣士で、その国で最も強い剣士がなるんです。それで、国同士で揉めた時に、戦争は良くないってことで、それぞれの国が『王国の剣』同士の決闘できめるです。それくらいすごいんです」


「うん、よくできたねアメリア」


「はい!師匠!!」


得意げなアメリア嬢を、師匠が頭をなでてほめている。

もしかしてこれが毎回続くのか・・・


「付け加えるなら、この制度が始まったのが10年前だったかな?今の王になってから、周りの国に掛け合って、何とか国同士の戦争を避ける手段としてこの制度を持ち掛けたんだ。まぁ、この制度を受け入れている国同士での話だけど、今の所は確か東側の国々とは大体協定を結べてるはずだよ。そのお陰で西側に兵隊を向ける事ができて、国境は安定しておる。国同士の交渉に使われたのも過去に数例ある位で、ここ何年かは『剣』は交わってなかったんじゃないか?のうアメリア?」


「はい!師匠!!たしか4年前に一度ありました。あの時はすごかったです~」


思い出して悦に入っているアメリア嬢を、師匠が頭をなでている。

なんだか、アメリア嬢は師匠のペットみたいな感じなのかな?


まぁでも、『王国の剣』っていうのがどういうものかはわかった。あとはなぜ僕やアメリア嬢がそれを目指すのか、だ。


「『王国の剣』は大体わかりました。ではなぜ僕がそれを目指す事になったんでしょうか?」


また二人にきょとんとして見られた。え、なに、そんなに変な事を聞いてるの僕?


「そりゃぁ、あたしの弟子になるんだったら『王国の剣』くらいはなってもらわんと」


だからなんでだよ。


「師匠は初代の『王国の剣』ですぅ。そして今の『王国の剣』は私のお父さんですぅ」


ただ者じゃないとは思ってたけど、この婆さんやっぱりただ者じゃ無かったよ。

ってアメリア嬢のお父さんが今の『王国の剣』?


「お前さんも見たろ?今将軍やっとるあいつじゃよ」


あの隊長の幼馴染って人か!え、じゃぁ。


「師匠はあの将軍に負けたんですか?」


「バカを言うんじゃないよ!!わしは前の奴に譲ったんじゃよ。もう年だし何かと式典に引っ張り出されるのも面倒になってな。で、そいつが負けたのがガフじゃ」


「はい!!アメリアの自慢のお父さんです!!」


この人なら確かに面倒を理由にやめそうだなぁ。でもアメリア嬢は父上を尊敬してるようだし、どうして『王国の剣』を目指すんだろう?


「アメリアさんはどうして『王国の剣』になろうとしてるの?お父さんを倒したい、ってわけじゃなさそうだし」


「はい!!アメリアは強くなってお父さんに認めてもらいたいのです。あと、普段仕事ばかりで大変ですから『王国の剣』だけでも私が変わってあげられたら、お父さんのお仕事が減って、もっとお父さんと一緒にいられるです」


アメリア嬢は胸を張って自慢するように言った。


えぇ~、父親の仕事の負担を減らす為?なんだか腑に落ちない理由だ。誰かに担がれているじゃないか?

師匠をみると、そっと口に人差し指を立てた。だましてるのはこの人か。


「大体わかりましたけど、ちょっとやそっとで僕なんかが師匠みたいに素手で地面を抉れるようになるんですか?」


師匠はやれやれと首を振る。


「あれ位はできるようになってもらわんと。アメリアももうすぐできるようになるであろうし。ボウズはそうさなぁ、できるできないは解らんが、何事もやらねばできぬぞ?」


出来る気は全くしないけど。アメリア嬢はできるようになるのか?

しかし、この組み合わせだと僕が突っ込みに回るのか。


「そういえば、ライラの奴はどうした?今日はセレナの所か?」


「はい、師匠!!ライラは午後は姫様たちと読み書きのお勉強ですぅ」


「アメリア」


「はいぃ~」


いつの間にかアメリア嬢の背後に移動した師匠が、肩を手で押さえた。

アメリア嬢の背筋がピンと伸びる。


「おまえさんも一緒に勉強じゃぁないのかねぇ?ん?」


「いえ!アメリアは剣のお稽古に行っていいって」


「ライラが言ったのかい?」


「いえ……、あう~、そう、この人が言ったんです!!」


とさっき初めて会ったはずの僕の方をビシィっと指刺した。


この子はだめだ。多分バカが原因でいつか取り返しがつかない失敗をする気がする。

師匠は、そっとアメリア嬢の首筋に触れたかと思うと、アメリア嬢がガクンと脱力した。気絶させた?!


「あたしはこの子を城に連れてくるから、サラ!この子に屋敷を案内してやんな」


「はい、奥様」


と屋敷の方にメイドさんがいた。師匠が言っていたサラさんかな?

師匠はアメリア嬢を片手で肩に担ぐと、そのまま出口の方に歩いていってしまった。


「初めましてディアス様。私はこの離宮の侍女長を任されている、サラと申します。それでは、屋敷の中を一通り案内させていただきます。こちらで足の泥を落としてからお入りください」


離宮ここにきてやっと常識的な人に出会えたなぁ、と僕は足の泥を落としながら室内に入った。


離宮の中を案内してくれると思って付いていくと、どこかの部屋に案内されるのかと思っていたら、花に包まれたテラスに通された。そこには、先王とハンナ祖母上が座っている。


「おぉ~来たかディアスちゃん!!ほれほれ、じぃじの膝の上に座りなさい」


何この王様、こんな王様しらない。


「なに言ってるんですか!!あなたはもう二人も孫をだっこしたでしょう?私には初孫なんですよ!さぁディアスちゃん、このばぁばの方がいいですよね~?」


僕の知っているばぁちゃんじゃない。


「お二人は普段、こんな感じです。では積もるお話があるでしょうから、ごゆっくりどうぞ」


二人に困惑してると、そっと気配を決して出ていこうとするサラさん。

何もなかったようにどこかに行かないでサラさん!!


読んで頂いてありがとうございました。


NAROU_ANALYZERで会話が少ないといった分析だったので、意図的に会話を増やしてみました。

今回は次章の主要人物であるアメリアの紹介回になりました。

前話とガラッと変わってますが、前話の方が例外だと思ってください、


今後もお付き合いいただける方はブックマークを、良かったらいいね、評価、感想をお願いします。

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