8本場<敗因>
ツイッターでもあげましたが只今定期投稿検討中です。
ローは子供たちの面倒を見ていたがコスは家の中にあがって座っていた。
「ホントにさっきは失礼な事を言ってしまいすみませんでした。」
「もういいって。」
コスとローが家に来てからコスはさっきから謝ってばっかりだし、ローは子供たちの所に遊びに行っちゃったし、イノリは買い物行っちゃってるしコスと2人きりで話していた。
「あなたは相当勝負事が強いことが分かりました。正直俺は盗賊の人たちには勝てる自信なんてなかったのです。勿論ローも同じでしょう。だからこそ俺は強くなりたいと思っていました。俺に麻雀を教えてくれた師匠ですら勝てず、俺自身だけで強くなろうと頑張っていたのです。でもいくら強くなっても盗賊には勝てるわけがないと感じました。そこであなたと出会い俺の強さを試したく自分に自信ををつけるためあなたに勝負を挑んだのです。でも俺は勝てなかった。なんで俺は勝てないのでしょう。今まで頑張ってきたのに」
「麻雀ってのは面白いゲームだ。頑張って勝てるなら簡単に話は終わるさ。正直俺は麻雀の打ち筋も今の君の態度も素直でいられているのはいいことだと思う。はっきり言って君は素直だ。だからこそ成長も早いし実力に置いての限界はない。しかし、素直な人ほどメンタルは弱いものだ。だからこそ君はあの時の勝負も自分のメンタルに負けたんだ。」
「メンタルですか・・・」
「正直俺は天運をもってなかったが、君たちには簡単に勝てると思ってたよ。それは君たちの怒りの感情が強すぎてその感情が勝負に対する判断を鈍らせてしまう。確かに怒りで強くなれる人もいるかもしれないけど、そうやって本気で強いと感じた人は少なくとも俺は見たことないな。冷静に勝負できない人っていうのは俺から言わせてもらえばただのカモにしかならないんだよ。」
「俺にメンタルを鍛えろと。」
「然りそう言う事だ。ただしそのメンタルを強くするためには大変で、かつ長い時間もかかる。どっちみち盗賊たちとの勝負には間に合わないさ。」
「そんな・・・」
「だから俺にその勝負を預けてくれないか。」
「ええ。あなたなら師匠やこの町の人たちの無念を晴らしてくれると信じます。あなたと麻雀を打って師匠のような、いえ師匠以上の強さをあなたから感じ取れた瞬間この町を救ってくれる人はあなたしかいないと感じ取ることが出来ました。なので是非よろしくお願いします。」
俺はコスと握手をし抱き合った。そこにイノリが覗き込むように俺らを見ていることに気づき。
「あっ、お帰り。」
と2人は小声で挨拶をした。そこにローも帰ってきてなかなか賑やかになってきた。
この4人でさっきの麻雀の振り返りというか反省会的なものもした。
「南3の四本場あなたが中で七対をアガっていた局覚えてますか。」
「ああ」
「あれ俺中の暗刻落としだったんですけどよくあなたはドラの1mで受けなかったですね。4mを切っているなら1mで待ってもよかったのでは。」
「確かに引っかけもいいんだけど、トップ目がわざわざ見えいないドラを切るアホなんていないだろう。アガリ連荘ルールってのもあるし、怒りの感情を持っている人の最大の弱点は怒りが薄れると恐怖の感情が生まれてしまう事だ。その恐怖がミスを引き出させる原因になったようだな。あの状況ならドラの暗刻落としでべたおりかぜんつっぱするかの2択だっただろう。少なくとも下手に回そうとするよりはいい選択だと思うぞ。これがこの勝負を決めた1局だったんじゃないかな。」
「確かにあの後からの追い上げがすごかったですよね。ボクもあれから動くことすらできなかったですし。」
「お・れ・も・だ」
暫く麻雀の話やこの町の話、さらにはこの世界の話で盛り上がっていたが。深夜になってローは自分の家に戻り、イノリは先に寝てしまった。コスと、盗賊についてや勝負の話などをし始めた。
「君は盗賊が麻雀打っているところ見たことあるのか?」
「はい3回程。」
「どんなルールだった?あと結果はどうだったんだ?」
「ルールは5半荘完全な順位戦で、トップを先に3回取った方の勝ちです。細かいルールは昼間俺らとやった麻雀のルールと同じで。結果は全ラスでした。」
「全ラス!?3回もか??」
「はい。」
俺はある2つの事に引っかかっていた。1つは、そもそも麻雀というのはトップやラスとる確率はそれぞれ単純計算25%で4回に1回は1位や4位をとってもおかしくない。しかし9回戦ってすべてラスなのはおかしい。勿論単に運や腕の良し悪しはあるけど。少なくとも彼は3人の麻雀を3半荘分づつみている。それでも2位も3位を取れていないと言う事は何かあるかもしれない。もう1つ気になる事は、勝負による互いの賭けているものだ。話を聞く限り、盗賊側が勝った場合魔導族5人分の人身を。魔道族側が勝った場合魔導族全員と町を返す事。更にはこの町から出ていく約束を交わす事。どう考えても賭けの天秤が釣り合わない。魔導族側のリターンが大きすぎる。何故そんな提案をあっさり盗賊側が受けたのか。よっぽど勝つ自信があるのだろう。
「勝負は3日後だっけか?」
「はい。正確にはもう日を跨いだので2日後ですね。」
「あれホントだもうこんな時間か。」
どうやらこの世界も1日24時間なのは変わっていないようだ。ここの世界では【時】ではなく【刻】と古臭い呼び方で読んでいるみたいだが・・・少なくとも現実世界との時間間隔は大差ないことが分かった。勿論朝も昼も夜も存在していてこの世界の人たちの生活習慣も現実世界の人たちのように過ごしている。故にコスもだいぶ眠くなってきていそうな雰囲気が出ていたのでこの場を閉じることにした。
「コス君今日はありがとな。また詳しい話を色々聞かせてくれ。」
「はいこちらこそ。ではおやすみなさい。」
コスは自分の家に戻り俺は蝋燭の火を消しその場で横になった。
兎にも角にも猶予は2日ある。それまでに敵の事を知らなければ間違いなく負けてしまう。コスの説明だけじゃ情報が不十分だし、明るくなったら町の方にでも乗り込んでみるか。
「暴いて見せるさお前らの強さの秘密を。」
俺は小さな声でそうぼやき、長い1日が終わった。
今回のキャラ紹介は・・・無しです!!!!
すみません。
次回もお楽しみに!