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最強最高の空間魔術師〜魔王討伐者、学院に通う〜  作者: 潮騒
第1章 空間魔法の使い手
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いざ王都へ



 翌日、俺たちは早速王都に行くための支度をしていた。イザベラさんは昨日の夜に手続きをちゃんと済ませておいてくれた。


「そうだ、ナーガス、フラン。王都まではどうやって行くんだ?」


「ああ、それなら俺の空間魔法で一瞬で行けますよ」


「そういや空間魔法にはそんな能力もあったな」


「よく知ってますね。イザベラさんには話したことないと思ったんですけど」


「ま、まあ私ぐらいになればそのくらい分かるさ」


 さすが天才と言うべきか。魔法の名前を聞いただけでそこまで分かるとは……。正直恐れ入ったな。


「それでイザベラさん、この村の名前を教えてくれませんか?行く時は必要ないですけど、戻ってくる時に場所が分からないと戻ってこれないので」


「ここはシノロコ村のはずれだ。王都からは大体西に数百kmほど離れている。ちなみにフランの故郷でもあるぞ」


「そ、そうなんですか。ありがとうございます」


 なるほど。家が近いからフランはイザベラさんに色々と教えてもらってたのか。


「準備できたよぉ〜!」


 フランが大きなカバンを抱えてやってきた。試験は明日だが、今日のうちに王都に向かっておいて明日に備えるというわけだ。


「じゃあ早速発動するぞ」


 俺は空間魔法の主要な三つの能力の一つである『接続(コネクト)』を発動する。これはある空間と別の空間を繋げるというものだ。


 俺たちの前に人一人入れるサイズの穴が開く。その穴の向こうには全く別の景色が広がっている。どうやら上手くいったようだ。


「じゃあ行ってきます」


「行ってくるね!先生ッ!」


「おう、頑張ってこいよ!」


◇◇◇


 空間を飛んだ俺たちは王都から少し離れた森に出た。理由は簡単。正式な入り口から王都に入らないと不法侵入扱いになってしまうからだ。王都は意外とそういうところに厳しい。


「よし、じゃあ王都に入るか」


「うん!」


 王都に入る時は3ダラを払わないといけない。ただし通行許可証を持っていれば払わずに済む。学院に入学すれば俺たちも支給されるはずだ。


「君たち通行許可証を持ってるかい?」


 王都の門番をしている男性からそう言われた。俺は持ってないので3ダラを払う。


「はい、まいど。そっちの嬢ちゃんは?」


「あ、私はこれを持ってるので」


 そう言ってフランは通行許可証を見せた。どうやらこの前王都に魔王討伐の報告に来た時にもらっていたようだ。


「え!?こ、これは!?し、失礼しましたッッ!!あなたが噂の『魔王討伐者フラン=ノーツ』様でしたか!どうぞどうぞ、お通りください!あ、お連れの方も、これはお返しします!」


 俺は渡した3ダラを返されてフランと一緒に通された。

 後に分かったことなのだが、フランが渡された通行許可証は普通のものとは少し違うらしく、ひと目見ただけで魔王討伐者のフラン=ノーツと分かるらしい。


 王都に入ってからも俺……ではなく隣のフランが周りからとても見られていた。おそらく王都にはフランが魔王討伐者ということが伝わっているのだろう。


「な、なんかすごいことになってるな」


「はぁ〜、ちょっと迷惑だよぉ〜」


 そんな会話をしながら今日の宿を探す。ちょっと歩いたところに『旅人の休息所』という宿があったので、今夜はそこに泊まることにした。


 そしてそこでも予想していたことが起こった。


「あなたはフラン=ノーツ様じゃないですか!?お代なんていりませんよ!もちろんお連れの方の分もです!」


「は、はあ……」


 やはりこうなった。もはや王都の中ならフランがいればなんでもタダで買えるんじゃないかというレベルだ。


 俺たちはそれぞれの部屋に荷物を置いて、宿屋の食事スペースで休憩していた。


「なんか一瞬で疲れたね」


「ああ、そうだな。まあ、俺はただの連れってだけだけどフランはな」


「うん。ここまで色んな人に見られたのは初めてだよぉ」


「まあ、それは現在進行形でもあるけどな」


 周りを見渡すと、数多くの人間がフランのことを見ている。有名になることはいいこともあるが、その反面悪いこともある。十分に気を付けなければ。


「この後はどうする?俺は武器屋でも覗こうかと思っているが」


「私もすることないから一緒に行こうかな」


「よし、決まりだな。早速行くか」


「うん!」


 その後、俺たちは武器屋に行ったり、本屋を覗いたり、王都観光を楽しんだ。以前にも王都に来たことはあるが、ここまでじっくり見たことはないので純粋に楽しかった。


 夕方になったので宿に戻ることにした。今日は見るだけで特に何も買わなかった。まあ、合格すれば学院の寮で暮らすことになるので、いずれまた来るだろう。


 夕食は宿屋の食事スペースで食べた。特に美味しかったのは『アーラム鳥と旬の野菜のスパイス炒め』だ。特にこのアーラム鳥の肉がとても柔らかく、野菜のシャキシャキした食感とマッチしてとても美味しかった。


「うん、ここは当たりだな」


「そうだねぇ〜、とっても美味しいよ〜!」


 こうして宿屋の食事を堪能した俺たちはそれぞれの部屋に向かった。明日は試験がある。まあ大丈夫だろうけど、少し早めに寝ることにした。


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