ルーナのお願い
俺は生命力学の授業を受けていた。隣にはルーナがいる。やはり生命力というのは分からないことが多く、未だに研究中のこともあるらしい。そんなことを学校で教えてもいいのかと思ったが、最近は自分で解決してもいいなとも思っている。
「あ、あの、ナーガスさん。ちょっといいですか?」
授業終わりにルーナが話しかけてきた。いつもはそそくさと帰るので、こんなことは初めてだ。
「どうした?」
「えっと、今度王国魔術祭があるじゃないですか」
「うん」
「私、出ようと思うんですけど……」
「お、いいじゃん!応援するよ!」
「それで、相談なんですけど、私に魔法を教えてくれませんか?」
ルーナが前髪から顔を覗かせてお願いする。でも、何故俺なんだろう。ルーナは俺が魔法を使えないって知らないのか?
「うん、いいよ。俺にできることなら何でもする」
「本当ですか……!?ありがとうございます!」
ルーナはとても笑顔でそう答える。
「いつから始める?俺は今日からでも構わないけど……」
「じ、じゃあ今日からお願いしてもいいですか?」
「うん、いいよ」
「は、はい!」
俺たちはそこで別れた。しかしルーナがそんなことをお願いしてくるとは……。少し嬉しい気がした。
◇◇◇
その日の放課後、俺とルーナは寮の近くに集まっていた。もちろんルーナのお願いを聞くためだ。
「ルーナはどれくらいまで魔法が使えるんだ?」
「えーと、第3位階魔法までなら使えます!それ以上はちょっと……」
「了解した。じゃあ第4位階魔法からやるか」
それから俺は魔法構築式から丁寧に教えた。ルーナもしっかりと聞いてくれたから、すぐに使えるようになっていた。第4位階魔法なら3日もあればマスターできるだろう。
「次は流水の礫をやってみようか」
「はい!」
次の魔法を教えようとした時、遠くから声が聞こえた。
「後輩くーーーん!!」
この呼び方をする人物を俺は一人しか知らない。
「ソフィア先輩!」
ソフィア先輩が猛ダッシュで向かってきていた。しかし何故ここに?




