告げる真実
俺は保健室でフランを寝かせた。傷は回復魔法で完治させたから、あとは目覚めるのを待つだけだ。
「う……んん……、ナー、ガス?」
「フラン!目を覚ましたか?」
「う、うん。ここは……保健室?……そうだ、私ランドールに負けて、それで……」
「もう大丈夫だ。何も心配しなくていい。全部終わらせた」
「そう……。ごめんね、迷惑かけちゃって」
「迷惑だなんて思ってないさ。フランは俺のために動いてくれた。それだけで俺はとても嬉しい。ありがとう」
「気にしないで!私がやりたくてやったんだから、お礼なんて……」
「俺が言いたいんだ。二人とも本当にありがとう」
少しの沈黙の後、リラが口を開いた。
「それで二人は何者なの?同級生に比べて、異様に魔法に精通してるというか、何というか」
「えっと、それはね、うーんと……」
「なあ、フラン。リラには話そう。昔の話を」
「……そうだね。リラちゃんなら信用できるよ」
ということでリラには魔王討伐の経緯を話した。魔王討伐のために何人もの魔術師が集められたこと、その中に俺とフランがいたこと、結果として俺とフランだけが生き残ったこと、その時俺が受けた呪いのこと、真実を包み隠さず話した。
「じゃあその呪いのせいでナーガスは魔法が使えないんだね」
「その通りだ。そして俺がこの学院に来たのは、魔力がないのに独自魔法が使える理由を調べるためだ」
「それでナーガスはこれから魔法のことはどうするの?」
「今まで通り、使えないってことでいいかな。魔法の授業はなんとかするってことで」
「もう、ナーガスは本当に考え方が甘いんだから」
「大丈夫だって。……それで、今からする話は二人に向けてするんだが……」
「なに?」
「何か分かったの?」
「もしかしたら十帝魔将軍が存在するかもしれない」
「な!?それって本当なの?」
「確定ではないが、可能性は高い。ランドールの元に奴らの決まり文句を残したらしいからな」
「やっぱりランドールは魔物と関係があったんだね」
「気付いてたのか?」
「魔力が少し変だったの。その時は魔物と関わりがあるなんて思いもしなかったけど」
「ね、ねえ、話についていけないんだけど」
ついうっかりリラを置いてけぼりにしていた。ちゃんと説明しないとダメだな。
「十帝魔将軍というのは魔王直属の十体の将軍のことだ。それぞれが能力を持っていて、とても強い。だが奴らは魔王を斃せば消滅すると言われていた。だから俺たちは奴らを無視して魔王を討伐したんだ」
「でもそいつらが消滅してなかったかもしれないってことか。じゃあ魔王はどうなの?」
「魔王はいない……はずだ。絶対に俺がこの手でとどめをさしたが、万が一があるかもしれないと思えてきた。これもしっかり調べないと」
「私も頑張って調べるよ。それとイザベラさんにも伝えないと」
「そうだな。今度一回帰るか」
「そうだね」
ひとまず俺たちのこれからの方針は決まった。俺の呪いについて調べるとともに、魔王と十帝魔将軍のことも調べる。ひとまずは知識を蓄えないと。
◇◇◇
あーあ、ランドールが負けちゃったか。でも予想通り面白かったな。やはり彼が最強の、空間魔法の使い手だったか。
彼のことを今度直接見てみたいところだ。どれだけ強いのか、私に勝てるのか。そうだ、お兄さんとどっちが強いか比べてみたいところだな。
ああ、楽しみだ……。
「ククッ、アハハハハッッッ!!!」
 




