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最強最高の空間魔術師〜魔王討伐者、学院に通う〜  作者: 潮騒
第1章 空間魔法の使い手
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十体の将軍



 空間魔法を解いた俺はランドールの元へと向かった。近づいて俺は驚く。なんと第9位階魔法をくらったランドールだが、原型を留めており、しかも人間に戻りかけていたのだ。


「ランドール!!」


 俺が呼びかけると、瞼がピクピクッと動いた。息もまだ微かにあるようだ。俺は再度空間魔法を発動し、回復魔法を使う。ランドールの傷はみるみるうちに塞がり、規則的な呼吸を取り戻していた。


 何故俺がランドールを治癒したのか。それは今回の事件の背景を知るためだ。元々殺す予定だったが、人間へと戻ったのなら生かして情報を得る方が良い。フランとリラの件を水に流すつもりはないが、ひとまずは情報だ。


「おい!起きろッ!!」


 俺の声に気付いたのか、ランドールはゆっくりと目を覚ました。まだ意識は朧げだが、俺は無理やりにでもハッキリさせる。


「おい!しっかりしろ!」


「ああ?なんだよ……って、あれ?俺は一体……」


 ランドールは魔物化したショックからか、記憶が曖昧になってるようだ。俺はランドールに今起きたことを説明する。


「は?俺が魔物化?なに馬鹿なことを言ってるんだ?」


「本当だ、馬鹿!覚えてねーのか!」


「……悪いが、まじで何も覚えていない。ここ最近の記憶だけすっぽり抜け落ちてるみたいだ」


 記憶がない……か。そんなことができる魔法は聞いたことがない。だが、もしかしたら独自魔法(ユニークスぺル)の中にあるのかもしれない。俺が知らないだけで。


「いや、待てよ。一つ、ただ一つだけ頭に浮かぶことがある」


 ランドールが急にそう呟いた。何か覚えているのなら聞いておきたい。


「な、なんだ?」


「言葉だ。『魔王様の意思とともに』っていう言葉。それが頭から離れない」


「な!?」


 『魔王様の意思とともに』この言葉は魔王の側近である十帝魔将軍(じっていましょうぐん)が戒めとして掲げる言葉だ。だが、奴らは魔王を斃すと同時に消滅したはずだ。まさか生きているのか……?


「ど、どうしたんだよ?」


 俺の驚く様子を見てランドールが尋ねる。彼のような一般人が知らないのも無理はない。


「いや、なんでもない。俺の思い過ごしだ」


 そう嘘をついて誤魔化す。今は奴らが絡んでいるかもしれないと知れただけで充分だ。


 次に俺はリラの元に向かった。リラは顔を俯けている。もしかしたら俺は怯えられているのかもしれない。急にあんな魔法を繰り出したのだから。


「り、リラ?」


 俺は恐る恐る声をかけてみる。彼女はゆっくりと顔をあげる。恐怖に支配されていると思われたその顔は、そんなことは一切なく、目をキラキラと輝かせていた。俺はあまりの様子の違いに驚く。


「すごい、すごいよ!ナーガス!あんな強力な魔法は初めて見た!なんで今まで隠してたの?」


 リラが見たこともないテンションで話しかけてくる。俺は驚きのあまり、口をぽかんと開けたままリラを見つめている。


「どうしたの?どこか怪我でもした?」


 俺はハッと我に帰り、すぐさまリラに返事をする。


「いや、すまない。大丈夫だ。さっきのは俺の独自魔法(ユニークスペル)の空間魔法という魔法だ。能力は見てもらった通りの能力だ。ちなみに魔力がないから俺は魔法は使えない」


「ナーガス、矛盾してるよ。魔力がないのに魔法も独自魔法(ユニークスペル)も使ってたじゃん」


独自魔法(ユニークスペル)は何故か分からないけど魔力無しで使える。あと、さっきの魔法は空間魔法の範囲内でなら使えるらしい。魔力が戻ったと言うべきか」


「魔力が戻ったっていうことは元々魔力はあったの?」


「あー、うーん、そこらへんの話はフランが目覚めてからにしよう。とりあえず二人とも保健室だ」


「う、うん、わかった」


 俺はフランを抱えて、リラと一緒に保健室へと向かった。


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