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最強最高の空間魔術師〜魔王討伐者、学院に通う〜  作者: 潮騒
第1章 空間魔法の使い手
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独自魔法と魔王討伐の報告



 俺は部屋を出てイザベラさんかいる部屋に向かった。


「おお、どうした?腹でも減ったか?」


「いや、少し気になることがあったんですけど……」


「なんだ?」


「僕の魔力って本当に無くなったんですよね?」


「ああ、そのはずだが……何かあったか?」


「実は……」


 俺がそう言いかけた時、扉がガチャッと開いた。


「ただいま〜!!」


 フランが用を終えて帰ってきた。彼女は俺の姿を見て固まっている。


「よ、よう」


 俺はそれとない挨拶をする。


「な、ナーガスー!!」


 フランは泣きながら俺に抱きついてくる。俺はその光景に妙な既視感を覚えつつも、優しくフランを抱きとめる。


「も〜、心配したんだからぁ〜!!」


「ごめんごめん」


 彼女は俺をここまで運んでくれたり、その後も世話をしてくれた。とても感謝している。


「おっほん、そろそろいいか?」


 イザベラさんがわざとらしく咳をして、そう促した。すっかりイザベラさんのことを忘れていた。俺から聞きにきたのに。


「す、すいません」


「まあいいさ。君が謝ることじゃない。それで、一体どうした?」


「は、はい、さっきなんの気もなしに空間魔法を発動しようとしたら発動出来ちゃって……」


「な、それは本当か!?」


 イザベラさんはよほど驚いたのか、椅子から勢いよく立ち上がった。


「は、はい。実演しましょうか?」


 そう言って俺は空間魔法の中で人が見て分かりやすい『空間結界』という魔法を使った。この魔法は自分の任意の大きさの結界を張るという魔法だ。


「ほら、発動出来てますよね?」


「た、たしかに……。ちょっと調べてもいいか?」


「は、はい、いいですよ」


「じゃあここに立ってくれ」


 イザベラさんが指差した場所に立つと、用途が分からない機械が出てきた。機械なんてそうそう見る機械がないのでびっくりしてしまった。


「うーん、やはり魔力は空のままだな……。すまんが、そこで魔法を使ってくれ」


「分かりました」


 俺はもう一度『空間結界』を発動する。


「変化なし、か……。原因は不明だな。それにしても独自魔法(ユニークスペル)だけ発動できるとは。呪いの効果なのか、はたまた……」


 イザベラさんは何かを言いかけてやめた。気になるので教えてほしいが、追求はしないでおこう。


「私はもう少し解析をしてみるよ。二人はーーそうだな、外の空気でも吸ってきたらどうだ?久しぶりだしな」


 俺とフランはイザベラさんの提案に乗ることにした。


◇◇◇


 久しぶりに外に出てみると、やけに太陽が眩しく感じられた。肌を撫でる風が心地よい、穏やかな晴天の一日だ。


「ナーガスッ!あっちに行こ!」


 フランが俺の手を引いて走っていく。俺も走ろうとするが、一ヶ月も眠っていたせいかうまく走れない。


「わっ、ちょっ、ストップ!!」


「え?あ、ごめんね」


 フランは俺に合わせてゆっくり歩いてくれた。


「なあ、そういえばなんだけどさ」


「うん、どうしたの?」


「魔王の討伐ってもう報告したのか?」


「うん、もう行ってきたよ。ちゃんとナーガスが討伐したって伝えてきたからね!」


「俺の呪いのことは?」


 俺が聞いた瞬間、フランの顔が一気に曇った。


「実は……なんだけどね、国王様と大臣の人たちが魔王討伐にナーガスが関わっていたことを黙っていてほしいって」


(あぁ、なるほどな……)


 おそらく魔王討伐に呪いとはいえ現在魔力のない俺が参加して、ましてや討伐したともなれば疑惑が生まれるからだろう。『なぜ魔力のない奴が魔王を討伐できるのか』ってな。まあ、あとは保身に走ったんだろう。


「なるほど、事情は分かった」


「私はそんなのダメだって抗議したんだけど……」


「別にいいさ。何も俺は名声が欲しくて魔王討伐に行った訳じゃない。だから気にしなくていいぞ」


「そう?ナーガスがいいならいいんだけど……」


 やはり国側はそう出てくるか。魔王討伐は元々、現国王のカエサル=グラネシアが国内の各分野において実績を持つ魔術師たちを集めて向かわせたものだ。当然、成功すれば魔術師だけでなく国王にも名声が送られることだろう。それを変な疑惑で消したくないと思うのは、まあ当然のことかな?


「あ、話しながら歩いてたらだいぶ遠くまで来ちゃったね」


「そうだな、俺はもう帰り道が分からない」


「ふふふ、大丈夫だよ。私がちゃんと案内するから。ほら、戻ろ?」


「ああ、分かった」


 こうして俺たちはイザベラさんの家に戻った。


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