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最強最高の空間魔術師〜魔王討伐者、学院に通う〜  作者: 潮騒
第1章 空間魔法の使い手
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魔物の進入



 俺は日課の早朝特訓を終えて、寮の部屋に戻ろうとしていた。その時、遠くの方に人の気配を察知した。人数までは分からないが、確かに誰かがいる。ただその気配は俺には気付いていないようだ。


 少し気になった俺は気配の方向に向かった。もしかしたら何かあるかもしれないからな。



 こっそり近づくと話し声が聞こえた。どうやら二人組のようだ。そいつらは黒いローブを羽織り、顔をフードで見えにくくしている。


「おい、ここら辺でどうだ?」


「うん、いいだろう。学院から少し離れているから見つけにくいだろうし」


「じゃあここに設置しとくぞ。他はもう準備できてるんだよな?」


「ああ、連絡はきている。今日決行だそうだ。ふふふ、楽しみだな……。さーて、何人死ぬかな?」


 おいおい、なんて物騒な話なんだ。こいつらはこの学院に何かを仕掛けようとしているみたいだが……いや、今こいつらを捕らえても意味はなさそうだな。まずはこいつらが仕掛けたものの対処を優先しよう。


 俺は二人組が立ち去るのを見過ごした後、奴らが仕掛けたものの確認を行った。


「これは……」


 そこには腕輪のようなリングが置いてあった。おそらく魔道具のようだが……何かは分からない。解析をしようにも俺には技術がないから、ひとまずは空間魔法でリングを隔離しておいた。本当にこの魔法は便利だ。


「よし、ひとまず帰るか」


 俺は寮の部屋に戻った。


◇◇◇


 その日の午後、俺たちは体育館にいた。何やら一年生集会が行われるらしい。先生たちが話していることを特に集中せずに聞いていた。


「ねえ、ナーガス。何か変な感じしない?」


 俺の後ろにいたフランが話しかけてきた。特に変な感じもしないのでそう伝える。


「いや、特に何も?」


「そ、そう?ならいいんだけど……」


 その時だった。魔力のない俺でも何かを感じた。空間が淀むような、そんな感じだ。


「フラン!」


「う、うん!これはまずいかも!」


 周りも少しざわざわしている。さすがに何かを感じたらしい。


 すると、体育館の入り口から犬型の魔物がたくさん入ってきた。


「ガァァァァァ!!!」


「ワォォォォォォンン!!!」


 それに気付いた生徒たちが一気に大パニックになった。


「うわぁぁぁぁ!!」


「きゃぁぁぁぁ!!」


 俺はその流れに乗じて空間魔法を使い、剣を部屋から取り出す。


 先生たちが生徒を安全な出口に誘導している中、俺とフランは示し合わせて犬型の魔物に立ち向かった。


「はぁぁぁぁ!!!」


雷撃の矢(ボルテクスアロー)!!」


 俺は剣で、フランは魔法で魔物を斃していく。そこにアルマス先生たちも加わった。


「大丈夫か!」


「アルマス先生!こっちは大丈夫です!」


「君も早く逃げろ!」


「いや僕も戦います!そうじゃないと間に合わないでしょう!」


 他の先生は生徒の誘導をしている人もいるため、魔物の対処にあまり人員を割けていない。それに犬型の魔物程度なら俺たちは造作もなく斃せる。


 フランがいる方を見ると、イツキ先生が加勢に行っていた。まあ、フランなら一人でも大丈夫だろうけど。


 こうして徐々に魔物の数を減らしていき、ようやく全てを斃し終えた。どうやら生徒には被害もなかったらしい。


「ようやく終わりましたね」


「ああ、そうだな。……っ!イテテッ!」


「大丈夫ですか!?」


「ああ、平気だ。少し噛まれた程度だから……!?ぐわぁぁぁぁぁ!!!」


 アルマス先生が急に苦しみ始めた。それとほぼ同時に周りからも苦痛の声が聞こえた。さっきの魔物に噛まれた先生が苦しんでいるらしい。


 俺は心当たりを確かめるため、先生が噛まれた箇所を見た。するとそこには見覚えのある紋様が浮かび上がっていた。


「やはり呪いか……」


 どうやら先生たちは魔物に呪われたらしい。魔物に噛まれることで呪われるようだ。俺はフランに話して解呪を依頼する。


 俺は見守ることしかできなかったが、フランは素早く正確に解呪を行い、無事に終えた。


「はぁ〜、疲れたよ〜」


「お疲れ様。よく頑張ってくれたな」


「えへへ。何事もなくてよかったよ」


 俺はフランと笑顔で会話しつつ、朝のことを思い出していた。おそらく今のが、今朝の奴らが仕掛けたリングの効果だろう。一体奴らは何のためにこんなことを……?


◇◇◇


 ナーガスたちが魔物退治をしている頃、その様子を水晶で眺める者がいた。彼は黒いローブを羽織っている。


「ふふふ、面白いな……」


 彼は水晶に映る映像を見て、第一の計画の失敗と第二の計画の成功を悟った。彼にとっては、この展開が一番望んでいたものだった。


「さあ、これから楽しくなるぞ!!」


 彼は高らかな笑いを上げながら、次の計画の準備をするのだった。


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