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アミューズメントパーク人力

ツッコミ「新しいテーマパークがオープンしたのか……。『アミューズメントパーク人力』?なんだここは?」

ボケ「いらっしゃいませ。」

ツッコミ「ここのコンセプトは何ですか?」

ボケ「はい。当施設は『持続可能な地球環境を実現する』をモットーに、再生可能エネルギー。もしくは人の力で運営しています。」

ツッコミ「そうなんだ……。で。ここに人力車が並んでいると言う事かね。」

ボケ「はい。園内の移動は基本。お客様自身の足で歩いて頂くことになっているのでありますが、身体の不自由なかたもいらっしゃいますので、そのお客様にも楽しんでいただくのに何が一番地球に優しいのか?を考えた結果。この人力車に辿り着いたのであります。」

ツッコミ「……と言うことは園内にあるアトラクションも勿論。」

ボケ「そうです。あちらに見えますフリーフォール。」

ツッコミ「あぁ地上10mまでゆっくり上がって行き、みんなにスリルを味合わせるだけ味合わせたところで垂直落下する……。」

ボケ「はい。あのフリーフォールの動力も人の力で賄っております。」

ツッコミ「ん!?フリーフォールだよね……。」

ボケ「はい。」

ツッコミ「地上10mまで人を乗せて上がる……。」

ボケ「はい。地上10mまで人の力のみで上昇させる運びとなっております。」

ツッコミ「どうやって?」

ボケ「こちらにいます昨年市役所を定年退職となりましたXさん(仮名)を当施設が再雇用しまして、こちらにありますハンドルを回し続けることにより上昇する仕組みになっています。」

ツッコミ「一人でですか?」

ボケ「勿論です。」

ツッコミ「役所ではどのような仕事をされていたのですか?」

ボケ「市役所に入りましてから38年。ずっとデスクワークをしていまして、今回が生まれて初めての力仕事になります。」

ツッコミ「ハンドルは軽いのですか?」

ボケ「ハンドル自体は、それ程重くはありません。重くはありませんが、20回ハンドルを回して初めて10cm浮く仕組みになっていますので、10mの高さに達するまでには2000回ハンドルを回さなければいけません。」

ツッコミ「よくそんな仕事引き受けましたね。」

ボケ「……ここだけの話。公務員って結構気前よく金融機関がお金を貸してくれるんですよ。それでも現役時代は給料がありますし、次の賞与もありますからそれで回っていたのでありましたが……。どうやら自分の定年を意識していなかったらしく……。退職金でも追いつかず……。」

ツッコミ「働き続けなければならなくなった。と……。」

ボケ「はい。しかもこのアトラクション。一度ハンドルを離すと落下する仕組みになっていますので。」

ツッコミ「2000回休むことも出来ないの!?」

ボケ「はい。」

ツッコミ「ハンドルを離すことも出来ず2000回回し続ける元公務員を見ているほうが面白いのかも?」

ボケ「ですので今度。機械室をガラス張りにしまして、その前にXさん(仮名)のこれまでを綴った立札を立てようかと思っております。」

ツッコミ「それは止めたほうが良いと思います。子供たちはともかく、子供さんを連れて来る親御さんが寂しい思いをすることになりますので。」

ボケ「本人の了承は得ています。」

ツッコミ「でも止めたほうが良いと思います。」

ボケ「インスタ映えすると思いますよ。」

ツッコミ「確かにインパクトはありますけど、いろんな感想が来ることになると思いますから。辞めたほうが良いと思います。」


(移動して)


ツッコミ「あそこに回っている観覧車も人力ですか?」

ボケ「いえ。あれは風の力を利用しています。」

ツッコミ「あぁ風の力を使って電気を作っているんですね。」

ボケ「いえ。風の力をそのまま動力にしています。」

ツッコミ「え!?風が吹いていない時はどうなるのですか?」

ボケ「観覧車の中で今一番重いところ目掛け回転します。」

ツッコミ「え!?と言うことは。」

ボケ「勿論。取り残されることになるお客様も出て来ることと思われます。思われますが基本。お客様がいらっしゃるところが一番重くなりますので、いづれ地上に戻ることは出来ると思われます。」

ツッコミ「で。風が強い日は?」

ボケ「乗り降りはお客様の自己責任になっております。」

ツッコミ「ここを人力にする予定は?」

ボケ「最初はフリーフォール同様。ハンドルだったのでありましたが……。」

ツッコミ「人力だったのですか?」

ボケ「はい。ただ市町村合併も10年以上前に終わり。そこでの出世競争から溢れ。破れかぶれになって。と言うかたが最近出て来なくなってしまったものでありまして……。断腸の思いで今は風の力を使っているのであります。」

ツッコミ「以前は採用されていたのですか?」

ボケ「はい。」

ツッコミ「その人は?」

ボケ「なにぶん回転の速い部署でありましたので……。勿論いつ人力になっても良いよう整備は怠っておりません。」


(移動して)


ツッコミ「お!!これは人気があるでしょう。」

ボケ「はい。」

ツッコミ「人気のキャラクターの顔が描かれていますし、これに乗ったら子供たち。喜ぶでしょう。」

ボケ「今はそうでも無いんですよ。」

ツッコミ「何でですか?」

ボケ「これ自体は喜んでくれるんですよ。実際、走らせるとたくさんの親御さんが利用していただきまして。大きな収入源となっております。収入源となっているのでありますが、ただ……。」

ツッコミ「……ただ何ですか?」

ボケ「石炭で動いてるんです。」

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