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第一話

1・始まり

よく晴れた青空は、今僕が立っているこの『ダッシュ草原』を優しく包み、人としても冒険者としても心を穏やかにしてくれる。そんな天気のはずだ、が僕はその青空にも勝るぐらい、現在進行形で真っ青だ。膝は恐怖から震え、右手に握りしめた小さな短剣は今にも刃先が増えそうな勢いで上下している。『怖い』『死にたくない』『帰りたい』とさっきからネガティブ感情が破裂寸前の心臓のビートに合わせてサンバしていやがる。あぁ、来なければよかった。

そんな僕の目の前にいるのは半透明の体内に酸を持つ怪物、種族名『スライム』、個体名『ブルースライム』どこにでも湧く害虫のようなモンスター、モンスターの中では最弱の部類だが、それでもやはりモンスターはモンスター、体内に酸を保有しており、その酸が濃縮した体内に取り込まれると毎秒5〜6の貫通ダメージ食らう。僕のHPは23だから5秒もあれば死ぬわけだ。

ジリジリ…僕は少しづつ後ずさりする。怖い帰りたいもう無理早くギルド行ってクエストリタイアしよ、うん、そうしよう。よし、とりあえずこのスライムからどうやって逃げるか考えないと。

そんな僕とは裏腹に、スライムは僕に対しての警戒をMAXに今にも飛びかかりそうである。僕は下がってるはずなのに一向に距離が縮まないのはこのスライムがヤル気だからだろう。おそらくこのまま後ろをむけば襲いかかってくる。もう逃げるのは無理だろう、なので僕はこのスライムと戦わないといけないわけだが、あぁ、もっと生きていたかったなぁ。あぁ、吐きそう。

と、こんなことを戦場で思ってはいけないのである。先程からスライム相手に足を震わせ、半べそ状態の彼は、側からみれば、というかどう見ても弱そーな奴である。というか実際弱い、そんな彼はもちろんなことモンスターに舐めらる。実際問題彼は今Lv2のクソ雑魚モンスに舐められている、それはもうベロベロに、実際のレベル差は彼が3レベル上回っていて、これまでの経験値を全て攻撃に使っているため、初期装備でも防御力0のスライムならば二撃で倒せるのだ、そしてブルースライムは草木を溶かすだけで人間を襲うような個体ではない、なので素早く短剣を刺せば何のもなく倒せるのだ、なのにこのバカはチンタラチンタラとやっているからブルースライムが警戒する。全くもってアホである。ちなみに私は天の声である。

次の瞬間、スライムが空高くはね、彼に降りかかってくる。彼は彼自身を守るため、思考放棄に短剣を暗い空に一突き。水風船の様な皮膚に刺さると、中から酸が飛び散った。それを察知した彼は急いで後ろに下がるが、この至近距離である。上から飛び散る酸がかからない訳がなく、彼の頬と足にかかる。かかっただけなので実際は1ダメージほどだが、彼からしてみれば大惨事で、ポケットからタオルを取り出し、慌てて酸を拭き取る。その間わずか0.5秒。下がりながら拭いたものなので尻餅をつく、勢いのある尻餅は結構体に振動が来るもので割と痛い。「痛い、痛い痛い痛い痛い痛い痛い!」受け身ではなく汚く後転した彼はうつ伏せのまま尻を抱えて叫び悶えている。ちなみにスライムも短剣が下にぶっ刺さり、そのまま地面に落ちたため、さらに短剣が食い込んでしまい。声こそないが悶えている。まぁようするにカオスである。こののどかかな草原に全くもって似合わないくらいにはカオスである。ここに通行人がいたら鼻で笑われてしまうだろう。、、ッフ

どちらも数秒悶えたあと、彼は立ち上がり、まだ悶えているスライムに向かって腰にあった剥ぎ取り用のナイフを出した。「ハァ、ハァ、。あと、、一撃。」急いでスライムの前に来ると、ナイフを逆手に持ち、トドメの一刺し。「よし!」

するとスライムは青白く光り、一つの物体になった。言う所の『核』である。これは主に武器の素材や換金アイテムになるもので、まぁまぁレアである。

彼はこれを見ると小さくガッツポーズをして、今日一嬉しい顔をした。

やった!初めて倒せた。初めてアイテムをゲットした。やったぞ!この快感!この達成感が知りたかったんだ!欲しかったんだ!

急いでギルドにクリア報告しようとクエスト用紙を見る。そして彼は絶句した。

「嘘、だろぉ。」冷や汗が止まらない。あれ?目からも冷や汗が、、、

クエスト用紙にはこう書いてあった。『ダッシュ草原に出現したブルースライム全ての討伐をお願いします。報酬金は大型銀貨25グラム。』破り捨ててやった。、、なんてことはできる訳がなく、渋々落ちっぱなしの短剣を拾い、発狂しながらスライムに突撃するのであった。

ー続くー

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