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季節外れな蝉の声(ホラー)

 ある病院に、Aという看護師さんが務めていました。

 彼女はその病院に務め始めたばかりで、とても真面目な看護師さんでした。

 ある冬の日のことでした。

 看護師さんが病室を回っていると、ある一人の患者さんが妙なことを言いました。


「最近、夜中に蝉の鳴き声が聞こえてきて、よく眠れないんだ」


 季節違いな蝉の仕業かと思ったAさんは、患者さんの話を聞くなり、ほかの看護師さんに相談して蝉を取ることにしました。


 しかし、病院の庭のどこを探しても、蝉の姿は見つかりません。

 とりあえず患者さんには耳あてをして寝てもらうことにしてもらい、また後日蝉を探すことにしました。


 夜になりました。

 Aさんはその日、ちょうど夜の見回りをするようにと言われていたので、彼女は電気の消えたくらい病院の中を、一人、懐中電灯を片手に歩き回っていました。


 そんなことをしていた時でした。

 どこからか、ミーンミンミンミーンと、蝉の鳴き声が聞こえてきたのです。


 Aさんは思いました。


 これが、昼間に患者さんが言っていた蝉のことかと。


 冬でもあったので、蝉が鳴いているなんてと半信半疑だったAさんは、蝉を捕まえて外に逃がしてやろうと決意し、蝉の声が聞こえる方へと歩みを進めました。


 暗く人気のない病院にコツコツと響く靴の音。

 季節外れな蝉の声が合わさって、なんだか見慣れた病院の廊下も気味悪く思えてきました。


「いったい、どこにいるのやら」


 蝉の声は近い。

 すぐそこにいるはずだ。


 ──そう思った時でした。


 Aさんが角を曲がると、そこには耳あてをつけて廊下をさまよっている、昼間の患者さんの姿がありました。


「どうかしたんですか?」


 トイレにでも起きてきたのだろうか。


 そう思って、彼女は患者さんに声をかけてみました。

 すると、彼は口を開いてこう言いました。











「ミーンミンミンミーン」

お前かよ!っていうツッコミが欲しいの。

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