第94話 逝かせる料理人は…②
さてと、まずは簡単な卵料理から!
用意するの簡単だからね。
「まずは卵を割ってみましょう。」
お手本を見せる。
平面で軽く叩いてヒビを作りそこに親指の先を入れてぱかっと開く。
「これくらいなら私も…」
ぱかっ…でろっ…
……えとなぜ、割ったら黒い卵が出てくるのかな?
「割れました!」
うん、割れたけど出てきたものが違うな!
「ごめんなさい…もういっかいこれでお願いしていいですか?」
「…?はい!」
ぱかっどろっ…
なぜなんだ!
明らかに腐ってるじゃないですか!
「……」
少し考え方を変えよう。料理に関して何かをしたら悪い影響を及ぼしちゃうのか?
とりあえず…最後までやってみよう…
「え、えと。じゃあそれをかき混ぜてみましょうか。」
「はい。」
カシャカシャ…
混ぜるぐらいなら何も起こらないだろう…と思ってた私がバカだった。
なんで混ぜたら色が変わる駄菓子みたいなことになってんのかな?!
黒から緑になったんだけど?!
「次は何をしましょう?」
そしてなぜ、自分のと私のを比べて疑問に思わないのかな?!色が違うかな?とか一言あってもいいよ?!
「あの、ユウキ様?」
「あ、ハイ…えとですね…後は塩コショウを目の前において牛乳を計りましょう。」
計量カップに移すだけで色変わるなんて理科の実験思い出すな!赤い牛乳ってなんだろな!
私がついだら何事もないんだけどな!
「ソレを卵と混ぜてください。」
緑の卵と赤の牛乳…混ぜたらあら不思議!紫に!
……もうヤダ…
「最後に、ケチャップをそばに置いて…オリジナル/ベイク/オムレツ/調理!」
ネルマさんも同じように試してみると…
見た目が私とそう変わらないオムレツの完成。
「わぁ!形そっくりです!こんな綺麗なの初めてできました!」
鑑定しないとわからないぞこれ(汗)
ちょっと鑑定さてもらおう。
【劇物オムレツ】
品質:-S 出来上がり度:10
効果:即死効果発揮率 90%
見た目ふわとろな見かけで判断してはダメだ。
味は一切保証できない。食べたら最後、走馬灯のように人生を振り返られるでしょう。
あははは〜私食べられないよ〜?!
初死にがここかな?!
「ユウキ様!味見お願いします!」
「…う。……あ、 そうだ!綺麗な見た目をキースに見せてからにしましょう!」
緊急回避!
「それはいいアイデアです!見せに…あ!キース様!見てくださいできたんですよ!すごく綺麗に!」
あ、扉からのぞいていた覗き組が見つかった。キースは…逃げやがった!!
「ユウキ、頑張ってくえよ!」
「そこから鑑定したな!逃げんな!!一緒に食べれば怖くないよ?!」
「断る!!!」
くっそ、こういう時だけ早いんだから…
「あはは…」
あ、まだ生贄がいた。
「え?………あ!俺用事…」
「逃がさないよ?」
捕獲完了。
「イヤァァァァ!」
「どうされたのですか?レイヴン様?」
「ハッ…ナ、ナンデモナイデスヨ」
「レイヴンも美味しそうだから食べるって!」
「うえぇ?!」
「うええ??」
「……ここで逃げたら、気絶しているフランの方に流し込んでこようかな〜…(ボソ」
「それだけは勘弁したげてください!!食べます!すごくオイシソウデス!!」
フランに生贄になってもらうというのも手だったから使う。
それに即死効果発揮率90%ということは10%は外れるかもしれないということ……もしくは耐えられるか……
「さて、実食と行こうか…」
頑張ります……。
パク。
口の中に広がる腐敗臭。卵の甘味なんてものは一切なく、ふわとろな見た目も口の中に入れば口の中が溶けそうな溶解効果を発揮させる。
………レイヴンがもがき苦しみ退場。
「レイヴン様?!」
わ、私も逝きそう……ダメージがどんどん減っていくのを感じる…………あれ?
口の中地獄のままなのに、死なない…もしや!10%の方に!?
死んだほうがマシだという感覚に陥っているのはどうしただろう……あ。これ次の拷問方法にしようかな。
食べるということが拷問。いいね、採用ー。ロシアンルーレットとかもいいかも。
そんな現実逃避寄りの思考中に…
「ユウキ様…ご無事ですか?」
「うん、大丈夫。だけど、料理を磨くのはやめたほうがいいかもしれないなー…」
「そう…ですよね。」
「あ!でも、時々また作ってくれる?そんで私にちょうだい!」
「ええ?ユウキ様食べてくださるのですか?!」
「ん?んー…」
どう説明しよう。食べるのは私ではないんだよね。
「もしかしたら、味がわかる人が現れるかもしれないから欲しいんだ!」
「現れるでしょうか……ですがわかりました。作り置きしておきます。」
「これからもう少し作ろうよ。」
「はい。あ、これどうしましょう…?」
食べかけの劇物を指差すネルマ様。
もう一回食べたら流石に危ないと思うんだ。
でも、卵を割った時点でこうなることはわかってたはずだし、途中でやめられたはず…そして、食べ物で遊んだ罰…として………
「ワ、ワタシガタベルヨ。」
「え?!い、いえ!無理をなさらないでください!…ユウキ様?!」
間に入り、捨てようとするのを奪って口に入れる。
なんで、死なないんだろう……。そろそろ殺してくれてもいいんだよ?作者。
口の中がねもうね…表現できない異臭が溜まってるみたいで…水飲んでも直らないんだ。
助けてくださいまじで。
走馬灯見たほうがマシ…あ”あ”あ”あ”あ”ーー
ピロン♪
スキル即死耐性を取得しました。
ピロン♪
即死耐性のレベルがMAXになりました。
ピロン♪
即死無効を取得しました。
わぁい…一瞬でレベルがMAXになっちゃったー。
恐るべし、ネルマ様。
これでラウの即死針も怖くないねー。
「ユウキ様?ご無事ですか?」
「ウン…ダイジョウブ…」
全然!大丈夫じゃないよ!!
「…!…」
ん?ネルマ様が私を見る目が少し変わったような?
「どうかした?ネルマ様。」
「いえ、ユウキ様…お願いがございます。」
私にお願い?
「私に剣を教えてください。」
?!
「え?なんでそうなったの?」
急に変なこと言いだしたぞ?
お嬢様な、貴族様な女の子が武術に目覚める要素どこにあった??
「キース様はユウキ様のお強いところに惹かれておられました。つまり、私も強くなればいいのです!」
「えっと…別にそっち方面に走らなくても他の方法があると思うし…」
「いえ、ありません。得意なことは何もないのが私なのです。」
得意なことが何もない…か。
「……意思は固い?」
「はい。」
うーん。と言ってもな、剣を教えるてどうすればいいんだろ。
「剣を教える心得的なものって私わかんないよ?」
「何気ない一言が心得となるのです。」
なんか真っ当なこと言われた。
名言ぽい。
「まあ、とりあえず。もう少しだけ料理作ろ。」
「はい。わかりました。」
最初の頃と感じが全然違うなぁ。
最初は気取ったお嬢様で、キースのお嫁さんの座を奪われると思って私を敵視してたのに、ご飯食べて、少し話しして…いつの間にか、普通の女の子。敬語喋りなのは育ちのせいだろうし。好きな人に好きになってもらおうと努力する恋する女の子かぁ。なんか、可愛い。
「っ。」
おっと、ついにやけてしまった。
ネルマ様が目を見開いて私を見て驚いている。
引かれただろうか?
「…あ、あの。今の顔!もう一度見せていただけないでしょうか!」
「え?今のって…ニヤケ顔?」
「ニヤケ顔?いえ、笑顔のことです。」
笑顔??
「笑顔……こう?」
営業スマイル発動!
「…少し違いますが…これはこれで。」
違うのか、さっきの顔ねぇ。
「ユウキ様、先ほど何を考えていらしたのですか?」
「え?…えと…」
ネルマ様が可愛いなって考えてたっていうと恥ずかしい気がする。
「ユウキ様、正直にお願いしますね。」
「うっ。……ネルマ様が可愛いなぁって考えてました。……やっぱ恥っ。いうんじゃなかった〜。」
すぐに顔を手で覆い、天を仰ぐ。
指をずらしてネルマ様を様子見。
あ、めっちゃ可愛い。
顔真っ赤。
「やっぱり、ネルマ様は可愛いなあ。」
机に肘をついて、顔を手で支えながら、ネルマ様を可愛がる。
「っ!!!そ、その顔とそのセリフは反則ですわ!」
「え?どの顔??自分じゃよくわからん…」
しばらく女の子同士で楽しいお料理会。
作ってるものは天国と地獄だけどね?
「そろそろいいのではないでしょうか?」
「うん、そーだね。先にクィナにお菓子渡してからレイヴンに訓練場とかの場所聞きに行こうかな。」
キッチンを片付けて、クィナを探す。
シエルもいないな。どこ行ったんだろ。
「クィナー?シエルー?」
部屋の場所がわかるところは見て回ったけどいない。
んー?どこ行った?
「どちらに行かれたのでしょう?」
そういえば兵士もいないな。
外が騒がしい?
窓から外を覗くと…
「…あ、いた。」
何してんだアレ。
ギャラリーに囲まれて、シエルとキースがやり合っていた。仲良くしてって言ったのに。
「あ、キース様。それにシエル様まで…」
「まったく、人放っておいて楽しく喧嘩とは。」
「喧嘩って楽しいものではないと思いますよ?」
「でも楽しそうでしょ?」
「確かに…」
笑顔でやりあう男たち。
邪魔しに行くか。
窓を思いっきり開けてっと。
「え?どうされるので?」
「こうします♪失礼しますね♪」
ネルマ様をお姫様抱っこ。
「きゃっ」
助走つけて、窓を越えてぴょーん!からの!
「カマイタチ!」
「っ!え?え?空…飛んでる?」
「飛んではないですが、動かないでくださいね。」
ゆっくりと降りる。ギャラリーより少し離れたところに着地。
「じゃ、一緒に行きましょうか。」
手を引いて人混みに向かう。
ネルマ様以外に威圧を放って…
威圧に恐れをなした兵士やギャラリー達は道を開ける。
「そして、2人の側に到着っと。」
「???なぜ皆さん後ろを向いていたのに私たちが来たことに気づいたのでしょう?」
「さあ?なんででしょうね?」
さて、やり合って夢中になりすぎて私の威圧にも気づかないとは…戦闘狂って恐ろしいねっ。
「おーい、2人ともー。クィナ知らなーい?」
「この!死ね!」
『その程度ですか!』
…(´・ω・`) ショボーン無視された。
「ねーねー…」
「ユウキはもっと強いぞ?図になるな!」
『師匠が強いのは知ってます!戦ったことないくせに語るな!』
……(^_^)
「ねぇ、クィナを…」
「戦ったことがあるだと!嘘を言うな!」
『師匠と弟子なのです!嘘ではないです!』
……( ̄^ ̄)
「いい加減にしろ!!!」
前に踏み込んで剣を構え、2人の武器を抑え込む。
「『?!』」
からの一旦弾いて、シエルから武器を放させるために思いっきり力を込めて、剣で叩きつける。
キースも同じように武器を落とさせ、2人の武器を没収する。
「ユウキ?!」
『師匠?!』
「話を聞け。質問終わったら続きなりなんなりしろ。シエル!クィナどこ!」
『え?あ、えっと…見てません。』
「へぇ?小さなクィナを1人でどこかに行かせたと?」
『あ、あぁぁ…す、すみませんっっ。』
「シエル…死んで天国行きたいわけ?そうなの?帰りたいの?それならいつでも帰ってくれて構わないよ?」
『ご、ごべんなざい!!そ、それだけば!!』
威圧かけながらだから、ガタガタと体を震わせ、泣きじゃくりながら謝って来た。
「…じゃあすべきことはわかるよね?」
『はい”ぃ”ぃ”!!』
翼を広げてクィナ捜索にあたったシエル。
次は…
「……さて、キース。クィナ知らない?」
「さ、さぁ。し、知らんな。」
「……そう。……そう言えば、キースは私とやり合いたかったんだったよね?…今殺る?」
「…い、いいいい今はいい!!クィナ殿を探さねばならんだろう?!」
キースでさえも、私がかなり怒っているのは伝わっているようなので。とりあえず、よしとしよう。
「嗚呼、手伝ってくれるの?どうもありがとう。」
「あ、当たり前だろう!…ほら!お前達も探せ!!散れ!散れ!」
周りにいたギャラリーにも発破をかけこの場からすぐに誰もいなくなる。
「はぁ、まったく。」
あ、武器返し忘れた。…ま、いいや。見つかるまで預かっておこう。
「………ユウキ様はすごいです。」
「え?…そう?」
「はい!ユウキ様、私達もクィナ様を探しましょう。」
「うん。そうだね。」
本当にどこに行ったのだろう?
魔力感知に引っかからないのがすごく気になる。
範囲を広げているんだけど近くにいない。
……クィナ…?




