第92話 魔族の国へようこそ
遺跡は南の方向の様…魔族の国に近いから挨拶して帰るかな。フランに血をあげるって言って上げてないし…お菓子も持って行こう。
今度はクルードの背に乗って魔族の国近くに降りる。
「クルード、ありがとね。小さくなってついてくる?」
「クルァ!」
「じゃ、ルナも呼ぼうね。サモン:ルナ!」
「ピャァ!」
んじゃいつも通りにカード見せて…
「お待ちしておりました!王妃様!」
「……帰ろうか、みんな。」
「お、お待ちください!キース様に今ご連絡を!」
いやしなくていい、帰るから。私帰るんだ。用事があるからね。うん。遺跡行ったら帰ろう。うん。
「ユウキ様っ!」
わあ、フランだー(棒)
「血をくださいっ!!」
「最初からそれかいっ!」
「キース様のお世話疲れました。私は魔王様の宰相なのです。つまり!ユウキ様のお世話をするのが正しいのです!」
な、なんか。かなりお疲れの様子だ。無理やり理由付けて私のそばに居たがりだした。
「まあまあ、落ち着いて…血はあげるから。えと、指切ればいい?それとも首?」
「首がいいですっ♡」
『む!だーめ!お母様の血は私だけのご飯なの〜!』
おっと、クィナがぐずりだした。
「お子ちゃまにはもったいないですっ!」
『おばさんのくせに生意気!』
2人の間に火花が…
「お、落ち着こう。クィナも後で飲んでいいから、ね?」
『ダーメー!』
ダメの様です。
「なぜ、国の入り口で揉めているんだ。入って話せ。ユウキ。」
わぁ、キースが来ちゃったよ。
「いや、用事が終わったらすぐ帰…」
「私に料理を作ってくれるのではなかったか?」
「あー…それはまあ、作りますけど…」
「では中に入らないと無理だな?」
「………うぐ。」
キースがさりげなく肩に手を置こうとしたのをシエルが手で払う。
「何?」
『師匠に気安く触れないでくれますか。魔族王といえど許しません。』
シエルは本当に第2の黒龍になりつつあるなぁ。
「ほう?」
『……』
キース対シエルとフラン対クィナ。
この空気を収めるには…
「よし、一旦中に入ろう。見世物になってるからね?」
騎士の方々がチラチラ見て来てるからね。そして、他の魔族の方々まで…プレイヤーも見てたけど、私か。と確認したらどっか行った。
『お母様が入るなら入る。』
『師匠は自分がお守りします。』
「「……」」
キースははぶてた顔で私の後ろを歩く。
フランは先導するように先を。
2人とも…逃さないようにしてませんか。
先導するフランに、市場に行きたいと話しかける。
「市場ですか?」
「うん、食材。ここでしか取れないものとかあるかもしれないでしょ?」
「…ふむ、かしこまりました。」
フランの隣を歩くとクィナがぎゅっと一瞬強く握った。隣もダメ?嫉妬さんだなぁ。
クィナの頭を撫でて落ち着かせる。
クィナばかりに目を向けているとフランから視線。
…どうしろと。
フランも撫でて落ち着かせる。
が、手を捕まえられ、手に擦寄られる。
くすぐったい。
クィナの機嫌が悪くなってしまった。
頰を膨らませている。
シエルに助けを求めたがあちらも忙しそうだ。
「お前はなんだ?」
『師匠の弟子です。』
「…種族は?」
『…堕天使ですが?』
「ほう…強いんだな?だが、ユウキ程じゃない。」
『師匠には強くなるために弟子入りしたのです。心も体も。自分が師匠を超えられるまたは互角になるまで誰にも師匠の隣は渡しません。』
「…私はお前より強いぞ?」
『貴方より強いという自信はあるとだけ言っておきましょう。』
「……」
『……』
アレも手を出したら悪化しそうだ。早く市場について(泣)
市場にようやく着きました…(疲労)
両手拘束されているままでは食材を見れないので一旦解放してもらう。
その間フランとクィナは火花を散らしておられます。
大人な女性なフランはどこ行ったんだ。
市場には野菜が多く並んでいた。かぼちゃがあったのでかぼちゃプリンでも作ろうかな。ポタージュでもいいよね。
後は調理酒があったので少し買う。
後は〜…
魚を買おうとしたら、キースが割って入って来た。
「魚はいらん。」
「…え。なんで?」
「………」
察せとばかりに見てくるキース。
「嫌いなのか。」
「嫌いだ。」
「じゃ買おう。」
「嫌いだと言ってるんだが?」
「じゃ、食べなくていいよ。フラン達に食べてもらう。」
無理強いはしない。
「……」
さて次は肉を…
『師匠、肉はいらないです。』
「シエル…ベジタリアンなの?」
『…?べじありあんとは何かわかりませんが、肉はいらないです。』
好き嫌い多い。
「じゃ、食べなくていいから。」
『……』
2人とも不服そうな顔ですね。
無視しますが…
あらかた買い物を終えて、お城に向かいます。
お城が見えてきた頃馬車が近くに止まりました。
キースが嫌そうな顔をしている…
フランは営業スマイルのよう…
そして馬車から降りてきたのは…
「あら、キース様。奇遇ですね。城へ向かうのであれば、私の馬車にお乗りになられては?」
いや、奇遇ですねって明らかに急いできた感あるよ?
隠してはいるけど、汗かいてるみたいだし…まあ、そんなことは置いといて。
久々の…
「綺麗なお姉さんが登場した。」
「あら、貴女は?」
「あ、私は…」
「私の王妃候補その1のユウキだ。」
キースぅ?!
しかもその1はなんで強調したぁ?!
「…キース様、私は彼女に聞いているのですが。」
おっ。なかなか強そうな物言い。
「そーだよ。お姉さんと話してるの私なんだけど。そして変な紹介しないで。異界の冒険者ユウキだよ。よろしくお願いしますっ。貴女のお名前聞いてもいいですか?」
「ぐっ。」
「ふふっ…はい、構いません。私の名前はネルマと申します。複数の側近から王妃候補になれると言われております。そして、私自身もキース様の妻になりたいと思っております。」
本物が現れた!
あれ?デジャブ?
「こんな美人さんの候補がいるとか聞いてない!ま、候補になる気はさらさらないのでご安心くださいな。ちなみに、私は友人としてキースとフラン達に料理を振る前に行くのですが、ネルマ様もご一緒しますか?」
「あら!嬉しいお誘いね。受けさせてもらいましょう♪」
「コホン…申し訳ございませんが、この人数馬車に乗るのは無理かと。」
「そ、そうだ。別々にだな…」
「ん?じゃあ、私はウインディとヒカルに乗って行くから2人は馬車にならせてもらえば?」
「「いや、あの…ユウキ(様)…」」
「あらあら!いいご提案ね。ウインディ?とヒカル?というのはご自分の馬でもお持ちなのかしら?」
「あ、残念ながら馬ではないな〜。サモン:ウインディ、ヒカル!」
「ガウ!」
「オォーン!」
「っ。」
今回はヒカルに乗って、馬車についていこうかな。
クィナとシエルがウインディに跨ったのを確認。
「あれ?フラン達早く行こうよ。」
まだ馬車に乗らず、フランは顔を背けて肩を震わせており、キースもニヤリと笑っていた。
そしてネルマ様は棒立ちで固まっていた。
「ん?なんか変なことした?」
「あ、あああ貴女!そんな物に跨ってはしたないですわよ?!」
物?
ウインディとヒカルを見る。
そんなに気にしてなさそうだがこればかりは…ねぇ。
………
「あっ。ね、ネルマ様?今の言葉を今すぐ撤回を…」
「…フラン。分からず屋には少し痛い目を見た方がだな…」
「はい?キース様いまなんて…」
「彼らは私にとって…大切な家族なの。彼らのことを物扱いしたね?…次言ったら許さないよ…?」
「っ!?」
………はっ!
「あ、すみません。威圧スキルがまた。もう誤作動が多いなぁ。」
バターン…
え?!
「え!!待って!ちょっ!ネルマ様?!ちょっとキース!固まってないで従者さんとか医者!誰か呼んで!」
倒れちゃった!
倒れた時頭打ってないかな??
お姫様抱っこして馬車に運ぶ。
「……ユウキ様。よく持てましたね。」
「え?何が?」
「普通…このようなドレスを着飾った貴族たちは服自体が何キロもなっておりまして…かなり…重いはずなのですが。」
ん?重くなかったよ?
普通じゃないの?
「そんなことより怪我してないかな?」
「そんなにやわじゃないだろう。フランは馬車で付き添え。城で合流しよう。」
「はい。かしこまりました……ってはい?陛下はどうされるのです。」
「私はユウキと共に行く。」
…許可もなしに私の後ろ乗らないでくれますか…。はあ。
『(怒)』
怒って殺気立ってる人一名。
「ほら、ユウキ行くぞ。」
そしてさりげなく後ろから抱きついて来ないでくれますか…
「キース、そんなに早く走るように言わないからそんなにくっつかないでよ。」
「断る。」
「……はぁ。まったく。」
『『…』』
クィナまでじっと見だした。
殺気込めてるよな…キースは今日が命日かな…あはは…
そんなこんなで急いで城に向かった。
急がないと私がヤバい気がしたから…




