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姉弟初めてのVRMMO  作者: 神白
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閑話 黒龍編(後編)

……ついて来てるよなぁ。マリンダさんの援護は期待できない。なにせ、現在。路地裏を抜けて塀の砕けたところを抜け…東のフィールドにいるのだから。

子供達を見ていないといけないし。魔物が現れないのはそういう感じのイベント中だからかな。

昼を過ぎて少し…陽が傾く前に帰らせないとね。


彼らは迷わず森の中を突き進む。そして見えて来たのは一本の木。大きな木の前は小さな花畑。

子供達に案内されないと出てこないところかな?


「フラワー!新入り連れて来た!」

「ん〜?あ!カイセにフィー、ニッシュ、マイまで!新入り〜?」


フラワーと呼ばれたのは花飾りを頭につけ、植物を纏った女の子。

人じゃない…魔物?いや、でも人の言葉を話している…種族はなんだろ?


「わぁ。異界人だ〜初めて見た〜」

「黒龍って言うんだ!あのな!それでな!」


カイセが代表してフラワーにあったことを話し、それを聞いてフラワーの頭についていた花が変化する。

あれ飾りじゃないのか。


花は真っ白だったのに冒険者が子供たちを襲ったと聞いた時、まるで怒りを感じさせるように赤くなり、同時に青い花を咲かせた。赤は怒り。青は悲しみ?それとも不安?

その後僕に守られたとか言ったら花はさらに落ち着いた。

「そう、そんなことがあったの。ありがとう、子供たちを守ってくれて。」

「いえ、メダル欲しさにいるから冒険者と同じ感じがして、複雑ですが。」


「「「「おにいちゃんはそんなやつじゃない!」」」」


子供たちが口を揃えて否定してくれた。


「ふふ、私もそう思います。…それで、メダルですね。では、彼らを守ってくれた貴方にコレを。」


ピロン♪

花の妖精フラワーからバラメダルを贈呈されました。


ピロン♪

クエストクリア

クエスト

[メダルの秘密]

内容

子供たちが持ってるメダルを集めてみよう。

コスモスメダル1/1

フリージアメダル 1/1

スズランメダル 1/1

ガーベラメダル 1/1

バラメダル 1/1


報酬

スキル護り&隠蔽



あ、2つともスキルだったみたい。

護りはなんかわかる気がする。そう言う内容だったし。でも隠蔽?


「あの、隠蔽ってスキルってどんな風に使うの?」

フラワーさんに聞いてみよ。


「あら、隠蔽もってるの?それは、それは物を隠すことができるわ。鑑定のレベルが高かったらさらに見破られる可能性があるけど…。隠蔽はいろいろ便利よ?スキル内容も隠せるからね。」


!?

スキルを隠せる!!

「それってどうやるの!?」

「……しっ。」


「…ちょっと邪魔者を排除してからにしましょうか。」

嗚呼、あいつらか。


「すみません。ついて来てるのはわかってたんですが…僕だけじゃ自信がなくて。」

「いえ、いい判断よ。ここは私のフィールド。子供たちに好かれたものしか入る許可は得られないの。嫌われたもの、嫌われているものが近づけば私の配下が襲いかかるわ。」


配下?


「子供たちは気づいてないようね。好都合よ。花畑にすら入ることは許さないわ!」


子供たちは木に登ったり花の冠を作ったりと各自忙しそう。

フラワーは頭の花を赤く咲かせ、手を隠れている冒険者に向けて払うように動かした。


「《行きなさい。可愛子達。》」

サワサワ…と風が吹いだと思ったら、急に冒険者が隠れていたであろうすぐそばの木の枝が怪しく動き出す。口を拘束、後に全身を動かないように固定。


「「「ーーー?!ーーー!!!」」」

大の大人3人がどんなにもがいても、拘束は緩まない。

これ、結構恐怖に残るよね。いつの間にか拘束されて、動けないんだから。


「後は…」

ギチギチと拘束は少しずつ強くなる。

あ。コレは。


そして、何かの一線が超え…光の粒子となって3人は消える。ああ、死に戻ったね。


「これでいいわね。それで、隠蔽の使い方はね…」


隠蔽はパッシブスキルのようで、持っているだけでできるらしい…でも、鑑定のレベルが高かったりすると見破られると注意と言われた。

あの3人の冒険者たちがまだ来ないか不安ではあるんだよね。

全員を家に送るまでが僕の中のクエストかな。


あと、護りのスキル。これは誰かを守る時に防御が向上する効果があるようで。レベルが上がるほど硬くなるみたい。かばう時に防御が上がるのは嬉しいな。


みんなに声をかけて、そろそろ帰ろうと伝える。


「うん!早く帰らないと暗くなっちゃう!」

「フラワー!また来るねー!」


「えぇ、待っているわ。そうだ、黒龍君。お守りよ。子供達をお願いね。」

「え?…コレ。いいんですか?」

「もちろんよ。また遊びに来てね。」

「はい!」


みんなと一緒に来た道を帰宅。もう少しで城壁の崩れたところだというのに、そこにあの3人。


「「「みーつーけーたー!!!」」」


子供たちを先に逃がさないと。

「みんな、合図したらあの穴に向かって走って。」

「で、でも!にいちゃんは!」

「僕は大丈夫。フラワーさんにお守りもらったから大丈夫。もう暗くなってきちゃうから。」

「……じゃあ!助けを呼ぶ!入ったらすぐに!」


優しい子たちだな。

「じゃ、お願いしようかな。」


「「「さあ!メダルをよこせガキィ!!!」」」


「今!!」

剣を抜いて3人の剣を受け止める。

ガキィン


ぐっ…さすがに重い!


その間に子供達は走り出し、穴へと向かう。

途中お約束のようにマイちゃんがこけてしまう!

「マイ!」


その光景に1人がそっちに向かう。


「やっ!」

足に力が入らないのか、立てないでいる。


1人が捕まえようと手を伸ばすところに!

「ファイヤボール!」

「うぎゃあ!」


「カイセ!!」

「おう!マイ、行くぞ!」

「チッこのクソガキ!ヒーロー気取りが!」


…はぁ。ここまでか。


パキィーン

そんな音とともに目の前は真っ暗になる。

そして噴水広場。


フラワーさんにお礼言わないとなぁ。

子供達がちゃんと帰れたか聞きに行こう。


死に戻りをして、マリンダさんに家を聞きに行く。

僕のステータスにデスペナがないのは、フラワーさんのお守りのおかげ。


フラワーのネックレス

効果:死に戻りの際アイテムのロスト、デスペナ無し

説明:フラワーの頭の花びらを加工して作られたネックレス。花びらは宝石のように硬いものでフラワーの祈りが込められている。


花びらの部分は割れてしまったから、ただのネックレスになってしまったけど。

効果は嬉しい。


今の僕じゃ絶対に負けると思っていたから助かるアイテムだ。


「マリンダさん!子供達は帰ってましたか!」

「…なんだい?どうしたんだ。」


あったことを全部話した。

「……あいつらが?許さない。まさか子供達に手を…」


マリンダさんの顔が般若に!

「ちょっと待ってなさい。」


店を閉める準備を始め、奥に入っていったと思ったらすぐにでてきた。

「じゃあ、あいつらの溜まり場に行こうかね。」


わーい。

復讐だー!


マリンダさんについて行くとあの3人組がお酒を飲んで座って話し込んでいた。


「くそッなんで何も落とさなかったんだ。」

「最後のメダルももう少しだったがアレから取るには骨が折れるよな。」

「やはりあのガキから奪うしか…」


また僕を襲う気のようです。


マリンダさんはそのままその3人を無視してギルドに入って行く。それに隠れるように僕も入る。


「マリンダさんじゃないですか。どうされました?」


「どっかのバカどもがやり過ぎた真似をしたのでね懲らしめる意味を込めてコレクターな冒険者に情報を売りにきたんだよ。」

「…あらら、どの人達の情報を?」


そしてここで、マリンダさんが大きな声で。


「そこで酒を飲んでいる飲んだくれ3人のコレクション部屋についてだよ!」


「「「?!」」」


ガタッ3人が立ち上がり、こっちを見る。

僕にも気づく。

「んな!」

「マリンダさんん!ちょっとお話し合いをでですねねね!!」

「ガキィ!チクりやがったな!」


「黙りなさい!!」

「「「ひゃっ」」」


シーンと静かになるギルド。


「……こんにちは、黒龍様。お話を伺ってもよろしいでしょうか。」

クエストについて教えてくれたお姉さんが話しかけてきた。


「あ。えっとですね…」

僕が話すことにより、ギルド全体が殺気立つ。


「子供達に?」

「ありえませんね。」

「どういうことですかね?」

「うちの息子を殴っただと?」

「マイを怖がらせた?」


“ほう?”


「「「あばばば…」」」

「それでだね、ジェイドを出してくれるかい。」

「かしこまりました。少々お待ちください。」


ギルドには子供たちの親もいたようで、尋常じゃならないほどに殺気立ってる。


「待たせた。話は聞いた。でどうする?」

「私ができることはこいつらのコレクションの場所を教えてそこにあるものを全部売りに出したらどうかという提案だけさ。被害にあった子供達の親がどうするかはお任せするよ。」


コレクションを売りに出すことを言うと3人は絶望に染まる。

自業自得だと思うんだ。欲にまみれたらそうなるよってことだし…


「君も被害者だろう?何かやりたいことはあるかい?」


「え?僕も何かしていいんですか?」

「だって今回の被害者は君だろう?死に戻りもしたと言うじゃないか。」


ざわ…


「黒龍君を?」

「私のお気に入り君を?」

「……へぇ?」

「私たちの癒しを…」


“いい度胸ですね♪”


あれれ?なんか、受付の方のお姉さんたちが殺気立ち始めましたよ??


それにしてもやりたいことですか…


「僕は特に減ったものとかないし…いいです。」

「いいんだよ?遠慮しないで…」


「全然いいです。対人戦闘の経験にもなりましたし。」


「謙虚!」

「いい子!」


「では、マリンダさんの意見を叶えて他は自由にしていいぞ。それと、冒険者の活動を1ヶ月禁止だ。牢に入れと言わないだけ良いと思えよ。以上。」


こうして僕の初めてのクエストは平和に終わった。






後日、

とある3人が僕を路地に連れ込んだ。


その目は怒り。そんな彼らに僕は。


「逃がしてやったのに、本当。めんどくさいですね♪」

「「「はあ?」」」


あの後、僕はレベルを上げた。強くなるために、守れるように。


僕は路地から無傷で出ていく。

「もう二度と子供達に手を出さないようにしてくださいね♪」


「「「……はひ(はい)…」」」


ボコボコの顔は真っ黒に墨化していたり、半分麻痺しており、ビクビクと震えていたりと様々だった。


1回目はマリンダさんに助けてもらって2度目はフラワーさんに…最後は自分でカタをつけたいじゃないですか。

これでまた新しいクエストに挑戦できますね♪

子供達やフラワーさんとまた遊んだり楽しく強くなるんです。目標は…ユウキお姉ちゃんですから!もっともっと!強くならないと!


たくさん閑話を書くと言った…

すみません。次から本編に戻ります。

本編も少しずつ書いていきます。ゆっくりの更新になると思いますがよろしくお願いしますっ!

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