第60話 ご対面
〜市場〜
「マリンダさーんこんにちわ〜。」
「こんにちわです!」
「こんにちわー。」
ユウキが挨拶するのに続きレミリアと黒龍も挨拶する。
「なんだい、今日は大所帯だねって王女様じゃないかい!!」
「「・・・(ギャグ?)」」
「ん?何固まってんだい?今日は買い物かい?」
「・・・いや、ちょっと世間話がしたくてさ。」
「どうしたんだい?」
何やら勘づくマリンダさん。
「あのさ、冒険者ギルドで私関連の揉め事あったの知ってる?」
「ああ、あの女の子のことかい?」
知ってるのかい。
「その女の子、フミっていうんだけどさ。アイテムが買えなかったり、高かったりと困ってるらしいんだ。誰がやれって言ったか知ってる?」
「そういうことかい。アイテムを売らなかったりしてるのは一部の者だけだよ。確かにその子も悪いかもしれないが、ユウキが絡まれて傷つく子じゃないって私はわかってるしその子も悪気があってやったんじゃなかったんだろうと思ってね。私は売るなって言われてもみんな平等に売ってあげてるよ。・・・それと、売るなって言ってたのは一部の騎士団だよ。まあ、なんとなくわかるだろ?」
流石マリンダさん。いや、流石みんなのマリンダさんだー。
「流石マリンダさんだねー。・・・それで悪いんだけどさ。その子にマリンダさん紹介してもいい?それで、相談に乗ってやって欲しいんだ。その一部の者達じゃない店の紹介とか、お願いできない?すぐに、騎士団はお仕置きしてくるから、通常通りに戻るとは思うんだけど。」
「ああ、構わないよ。ユウキにはお世話になってるからね。アイテムを売ってない場所にも少し話をしておくよ。それで、その子は今呼べるのかい?」
「あ、フレンド登録してないや。んー。どうしようか。」
私とマリンダさんのやりとりを見守ってたいたレミリアが話しかけてきた。
「ユウキ!さっきの赤い髪の女の人なら、本屋にいるかもしれないよ!ユウキが教えてたでしょ?」
「あ、そうか!ゲイルさんとこか。あったらついでにフレンド登録しとくかな。ありがとうレミリア。」
えへへ〜と褒められて嬉しそうなレミリア。
「流石は王女様です。このまま帰らすのは申し訳ないので・・・王女様はフルーツは何がお好きですか?」
「え?えっとープルの実!!」
その答えを聞いて少しお待ちくださいとプルの実を1つ選び、ウサギリンゴみたいにして器に入れ渡してきた。
「どうぞ、甘くて美味しいプルの実です。ユウキほどの料理の腕前はないですが、よかったら。」
いるよねーこういう優しい市場のおばさん。
「うわぁ!かわいい!ありがとう!」
キラキラした目でうさぎプルの実を見る。
「よかったね。レミリア。ありがとうございましたマリンダさん。街探索するのに私の用事で連れ回すことになって、申し訳なかったんですよ。」
感謝を伝えて、一礼する。
「ああ、こんなことなんでもないよ。さっ、フミって子早く連れといで。」
「あ、はい。じゃあ、レミリア歩きながら食べれる?」
「うん!食べるのもったいないけど、大丈夫。」
「他にも食べたい物があったら教えてね?買ってあげるから。」
「うん!今はこれだけで十分だよ!」
いい子や!本当にいい子!
頭をナデナデしてあげる。
マリンダさんに一旦別れを告げ、ゲイルさんとこに向かう。
〜本屋〜
「・・・じゃからの・・最高での!・・・も気に入ってての!」
「そうなんですか?!」
なにやら賑やかな本屋さん。
「ゲイルさーん、こんにちわ〜」
「おっ!噂をすれば現れよったな。」
「ユウキ様?!黒騎士様も!!」
噂ってなんでしょう?なに話してんの?
なんか、この子は様付け定着してるな。まあいいけど。
「なにやら、仲良くなってますな。なんの話ししてんの?」
「お前さんのことじゃ、料理がうますぎることについて、伝授しておったんじゃ!」
と自慢気に話すゲイル。
「ユウキ様の料理は神の領域に達していると聞きました!本当ですか?!私も料理スキル持ってますが、3か、4が限界なんです。なぜでしょう。」
いや、神じゃないし。
「元の世界のテクニックも反映されるからじゃないの?一応料理人だし、下っ端だけど。」
材料の調節が要のことは自分で気づいて、めんどい。イアンはなんか、保護欲が湧いたから教えちゃったけど。広めて私に得ないし。
「そうそう、フミに用があってきたんだよ。連絡の取り合い簡単にするためにまずはフレンド登録しよ!」
「・・っ!??」
ピシッという音が立った感じで、固まるフミ。
「ん?なんで固まったの?」
「お姉ちゃん、僕らとフレンド登録するのって結構レアになってきてるんだよ。だからじゃない?」
「そうなの。じゃあしないほうがいい?」
「んー。それだと連絡の取り合いできないからなー。んー。あ!こういう時のガロン君だよ!」
ちょっと待っててね。
と言って、チャットを開き誰かと話し始めた黒龍。
ガロン君だよってあのストーカーになにを頼むのかな。
「っは!すみません。なんの話でしたっけ?」
そんな中目覚めるフミ。
「ん?いや、フレンド登録しようかと思ったけど、後々問題が生じそうだから別案を黒龍が出してそれを待ってるとこ。」
「そうでしたか・・・(なんで固まったの私!馬鹿!)」
数分後、
「来たぞ、黒龍!で用事ってなんだ?」
「あ、来たねパシリ!」
「あ、来たねー。ストーカー!」
「姉弟揃って違う意味込めて呼ぶな!」
「「なんのこと?」」
「クッソー!苛つく!」
そんなやり取りを見るフミ。
「えっとー、それでこの人に何やらせるんですか?」
「ガロンには仲介役になってもらうよ。ガロンとはもう、僕がフレンド登録してあるからね。フミさんはガロンとフレンド登録してもらって、僕らに用があるときはガロンに連絡する感じかな。僕らも用があるときはガロンを通じて連絡するから。」
「な、なんで俺がそんなことしなきゃいけない「僕のお姉ちゃんをストーカーしたやつが反論できると?」・・・うっ。」
黒龍がガロンの言葉を邪魔して脅す。
ガロンは黒龍から冷気を感じて怯える。
「まあまあ、んー。引き受けてくれたらお菓子あげるよ?」
「菓子?なんでそんなもんでつられなきゃいけないんだ。」
そんなもの扱いのお菓子を取り出し、鑑定結果のスクショも合わせて渡す。
ちなみにこれです。
【フルーツタルト】
品質A 出来上がり度10
効果:空腹ゲージ20%回復
HP20%回復
MP10%回復
4種類のフルーツをバランスよく並べられ、アートのような不思議なタルト。
一定時間、随時HP10%回復が付く。(効果時間:2時間)
「・・・?!」
驚愕したガロン。
「いらない?」
ニコニコ笑顔で聞くユウキ。
「な、なんだこれ!?こんなの聞いたことないぞ!」
「だって、他のプレイヤーの最高の出来上がり度が良くて5に対して私はこれだからね。で?引き受けるの受けないの?」
「受ける!この菓子、本当にもらって良いのか?!」
「いいよー。あ、口止料も入ってるから言いふらさないでね。騒がれると面倒だから。」
「わかった!」
うおおおおと何やらテンション上がっているガロン。
「お菓子いいなー。」
ボソッとつぶやくフミ。
聞こえてます。
「はい、どうぞ?あ、黒龍とレミリアとゲイルさんもどうぞ。ちょっと休憩しよう。」
フルーツは足りてたので作りました。でも、そろそろやばいからマリンダさんとこに行ったら買い物しよう。
「やったー!」
「生きててよかったんじゃー!」
「やったね。」
「あ、有難うございます!」
レミリア、ゲイルさん、黒龍、フミの順で喜びを表現する。
休憩を終えて、再びマリンダさんのところへ向かう一行。
〜市場〜
「マリンダさん、連れてきたよ!こちらはマリンダさん、あなたにアイテムを通常価格で売ってくれる店を教えてくれたり相談に乗ってくれるそうだよ。」
「え?!ほ、本当ですか?」
「ああ、本当だよ。ユウキの頼みだからね。聞かないわけにはいかないよ。まあ、うちは果物も売ってるから買ってくれると助かるね。」
「あ、果物が減ってきたからなんか買いたいんだけど新商品とかある?」
「そりゃ、助かるね。獣族の国からの輸入品が入ってきてね、レンジの実とウィーの実があるよ!」
レンジの実はオレンジ。ウィーの実はキウイ。わかりやすくていいね。
「じゃあ、ウィーの実は15個、レンジの実は30個、あとは各種20個ずつで。」
「待っておくれ計算するね・・・ウィーの実は350G、レンジの実は300G、プル、ナナ、グレー、モン、イーチは100G、ロンとゴンは500Gだから。64250Gだけどお客さん紹介してくれたから6万Gでいいよ。」
えっとー今の所持金は・・・
1651750G?!
あ、報酬もらったからか。また預けに行かないとね。あ、ツキヨに増築依頼と魔法具の依頼しないと。
「じゃあ、6万Gね。」
「あぁ。ちょうどもらうよ。」
「じゃあ、私たちは行くね。フミも頑張ってね。」
「あ、ありがとうございました!」
お礼を言って頭をさげるフミ。
フミとマリンダさんに別れを告げ、レミリアに行きたいところを聞くが、
「ユウキの用事はもう全部終わったの?特に行きたいところはないからユウキについていく!」
「じゃあ、レミリアがリオン王子にもらった魔法具を作りにツキヨのところに行きたいんだけど、いい?」
「うん。いいよ!」
「僕も構わないよ。拠点の増築も頼むんでしょ?」
「うん。じゃあ、行こうか。」
〜家具屋・ゲツヤ〜
「ツキヨ〜いるー?」
「ユウキ!久々だね、どうしたの?」
今日は寝ぼけていないようだ。
感心感心。
「ツキヨに魔法具の作成依頼と、拠点の増築依頼をしたいんだけど、どうかな。」
「え!あの家改築しちゃうの??」
「いや、外見は変えずに、地下に部屋を作って欲しいんだ。クランの人数が増えちゃってね。お願いできる?」
「地下ならいいよー。あそこはおばあちゃんの思い出の場所だから、壊したくないんだよね。あー。おばあちゃんに会いたいなー。」
「?メリルおばあちゃんならすぐに会えるよ?」
とレミリアが教える。
「え?!どういうこと!!って王女様!?」
今更レミリアの存在に気づくツキヨ。
「・・・ユウキ教えてないの?」
不思議そうに聞いてくるレミリア。
「いや、言うタイミングがわからなくなって、ね?」
「え?え?なんでユウキが関係してるの?どういうこと?」
混乱中のツキヨ。
「まあ、ツキヨ落ち着いて、「ユウキの声がする!」ってシャール久しぶり。」
ツキヨを落ち着かせているとシャールが入ってきた。
「「わしらもおるぞ!!」」
わぁ。ガッツさんとファイさんまで来たよ。
「シャール!あ、あのメリ、メリメリルおば、おばあちゃんが!!」
「どうしたの?ツキヨそんなに慌てて。」
「落ち着け、メリルがどうしたって?」
落ち着けようとガッツさんも声をかける。
「メリルおばあちゃんに、あ、会う方法をユウキが知ってるって!王女様が!!」
「「なんだって?!」」
「なんて言った?!」
ぐりんとすごい勢いでツキヨからユウキに視線を変え、ユウキに詰め寄る3人。
「な、なんで急にそんな反応に?ちょっ!待って!訳話すから落ち着いて!」
「ほら皆さん落ち着いて!」
ぱんぱんと手を叩き落ち着かせる黒龍。
数分後・・・
「はあ、時間かかりすぎ。もう!」
「だって、メリルおばあちゃんは私たちにとって大切な家族だから。ごめんねユウキ。」
ショボーンと反省しながらいうツキヨ。
家族、か。それならまあ仕方ないか。私もおばあちゃん亡くなって、もし生きていると知ったら焦ると思うし・・・。
「まあ、とりあえず簡単に話すと、メリルおばあちゃんは薬師でもあったけど、研究者でもあったのは知ってるよね?」
「うん。不死の研究をしてた。でも、研究失敗して、後遺症がひどくて病気にかかって死んじゃったの。」
んー。この情報は誰に聞いたんだろ?メリルって独り身だったはず。
「ねえ、それは誰に聞いたの?」
「え?不死の研究内容はおばあちゃんに聞いたよ。」
「いや、研究内容じゃなくて死因。」
「手紙に書いてあった。」
「手紙?遺言書みたいなものがあったの?」
「うん。」
ふむ。そんなもの書いてたのかな。まあ、本人に聞くか。
「まあ、そこらへんは本人に聞くのが一番か。じゃあ、元メリルおばあちゃん呼ぶね。」
「元?呼ぶってどういう・・・「サモン:アテナ」え?」
『マスター、なーにー?・・・って。え?なにこの状況?!』
「いや、お披露目会?」
『ちょっ!聞いてない!マスター!毎回心の準備って物が!』
「本当にメリルじゃないか!」
「メリル・・・なのか?」
「おばあちゃんだぁぁー」
「うわぁぁぁーん。」
ガッツさんとファイさんは信じられない様子。シャールとツキヨは号泣。
それを見て焦るアテナ。
『ちょっ、泣かないで!マスターも、見てないで慰めるの手伝って!!』
「いや、私にどうしろと?」
まさか泣くほどとは思わなかったんだもん。
『わ、私だってわからないわよ!』
泣き止み、落ち着くまで数十分後・・・
「つまり、メリルお前は研究を成功させ魂のみの不死という存在になって、生きていたということか?そのあと魔獣に変化し、ユウキと契約した、と?」
ガッツさんが簡単にまとめてくれました。
『えぇ。そういうことよ。』
「アテナって遺言書書いてあったの?」
『あー、あれを見たのね。家は残しておいて欲しかったの。ユウキみたいな人に買ってもらったほうが家も嬉しいと思って。それに、死に方としては納得がいく内容かと思って。まさか、魂のみの不死になって、魔獣に変化して全く新しい存在になるなんて思わないじゃない?魂のみになったら普通死んじゃうって考えるでしょ?』
「そうなんだ。」
その後少し、おしゃべりして日が傾いてきたのでレミリアを城に送るためにみんなと別れた。